Weekly Memo:AIがらみの仕事、やれといわれても約7割が「自信なし」 そんな時代に生き残るには (1/2)

企業で働く人たちは、AIが職場にもたらす影響についてどう考えているのか ――。日本労働組合総連合会(連合)の最新調査を基に考察してみたい。

» 2018年03月05日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

AIの認知率は9割、3分の2が「AIで仕事が変わる」と回答

 日本労働組合総連合会(連合)が先頃、企業で働く人たちを対象にAIが職場環境や働き方、労働条件にもたらす影響について聞いた調査結果を公表した。それによると、AIを導入されたら現在のスキルや技術で対応できるかと問われて否定的な答えが7割近くになるなど、回答者の本音が透けて見えるところもあった。

 「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」と題したこの調査は、2017年12月15~19日の5日間、全国の20歳以上の働く男女1000人からインターネットを通じて回答を得た。以下、その中から筆者が注目した調査結果を6つ取り上げておきたい。

 まず1つ目は、AIとはどのようなものか知っているかと聞いたところ、「意味をよく知っている」は31.5%、「言葉自体は聞いたことがある」は57.8%となり、それらを合わせた認知率は89.3%で、「全く知らない」は10.7%だった。男女別・年代別にみると図1のようになり、「意味をよく知っている」と答えた男性がおよそ4割に対し、女性はおよそ2割にとどまった。

Photo 図1 AIの認知率(出典:日本労働組合総連合会の「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」、以下同)

 2つ目は、今後、自分の職場でAIの導入・活用が進んだ場合、自分の仕事が変わっていくと思うかを聞いたところ、「変わる」(「かなり変わる」「やや変わる」の合計)が65.6%、「変わらない」(「全く変わらない」「あまり変わらない」の合計)が34.4%で、AIによって自分の仕事が変わると考えている人の割合がおよそ3分の2を占めた。業種別にみると図2のようになり、不動産業と卸売・小売業において「変わらない」の回答が特に多かったのが印象的だった。

Photo 図2 AIで「自分の仕事が変わる」と考えている人が3分の2に

 さらに、AI認知状況別にみると、AIをよく知っている人では77.4%が「変わる」と回答した一方、AIを全く知らない人では70.1%が「変わらない」と答えていることから、AIの認知状況の違いによってAIによる仕事の変化に対する見方が異なることが分かった。

 3つ目は、今後、自分の職場でAIの導入・活用が進んだ場合、仕事における自分の身体的・精神的な負担がどうなるかを聞いたところ、「楽になる」(「かなり楽になる」「やや楽になる」の合計)が43.5%、「変わらない」が49.5%、「負担が増える」(「かなり負担が増える」「やや負担が増える」の合計)が7.0%となった。「変わらない」が「楽になる」を少し上回っている状況だが、これはまだ「楽になるイメージが描けない」ということだろう。業種別にみると図3のようになり、「楽になる」と答えた人が、情報通信業(54.0%)と飲食業・宿泊業(50%)で5割を超える結果となった。

Photo 図3 AIで4割半ばが「仕事が楽になる」と予想

 さらに、AI認知状況別にみると、AIの意味をよく知っている人では56.5%が「楽になる」と回答している一方、AIを全く知らない人では21.5%が「負担が増える」と答えており、これもまたAIの認知状況の違いによって仕事における負担に対する見方も異なることが分かった。

松岡功
松岡功
ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。
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