職場の飲み会で部下だった女性警察官にわいせつな行為をしたとして強制わいせつ罪に問われた、いずれも元福岡県警警部補の於保(おほ)重信被告(59)と枝尾光博被告(58)の公判が2日、福岡地裁であり、同席した男性警察官が証人で出廷した。男性は、女性警察官が抵抗して悲鳴を上げたのに「2人の行為を止める人は誰もいなかった」と証言した。
起訴状によると、両被告は県警留置管理課に所属していた2015年9月、福岡市の居酒屋で開かれた懇親会で40代の女性警察官の体を無理やり触ったとされる。
証言によると、懇親会が始まって1時間半ほど過ぎたころ、「いや。やめて」という悲鳴が響き、於保被告が背後から女性警察官を押さえつけ、枝尾被告が両足を開脚させて覆いかぶさっていた。数十秒の出来事だったといい「普段からセクハラはあったが、度が過ぎている」と感じた。
会には同課の計16人が参加していたが、誰も助けなかった。検察、弁護側双方から理由を問われると、男性警察官は「自分の今後の経歴に傷がつく可能性もあり、(課の班長の)於保被告には逆らえなかった」と述べた。別の課員は枝尾被告のスマートフォンで女性の様子を連写したという。
両被告は「わいせつ目的はなかった」と無罪を主張し、弁護側は「宴会芸の一環」としている。(共同)