国際政治、比較政治の研究者・三浦瑠麗氏が報道バラエティ「ワイドナショー」で行った「北朝鮮のテロリスト分子が特定の地域に潜んでいる」という旨の発言をし、その地域の特性と合間って「人種差別を助長している」と炎上しました。
久田将義氏と吉田豪氏がパーソナリティをつとめるニニコニコ生放送『タブーなワイドショー』でも、今回の騒動について言及。
ゲストの「正論新風賞」のパーティにも出席したという批評家・東浩紀氏による、会場での三浦氏の“とある発言”の解説も行われました。それぞれの視点からみた一連の炎上と、日本のマスメディアのあり方とは?
三浦氏の発言の何がマズかったのか
吉田氏:
これ、久田さんも怒ってましたよね。Twitter上で。
久田氏:
怒るというか。あれ、録画なんですよね。生放送ではなく。
吉田氏:
生ならわかるけど、これを残した。番組サイドはどうなの? っていうことですよね。
久田氏:
僕、『24』ってドラマ大好きですけど、どんどん出てきますからね、スリーパーセルって。だいたいイラン人とかがスリーパーセルなんですけど。なんていうかね。学者的に言う言葉じゃないかなと思ったんですね。
テレビ番組、ワイドショーって、そういうのをカットせずに乗せちゃうじゃないですか。だから「番組的に言ったほうがいいのかな」みたいな感じになっちゃうじゃないですか。そういうことろで、調子に乗っちゃったのかな? っていう気がするんですけど。
東氏:
そうでしょうね。ただ結局、三浦さんから、自分の発言がヘイトとかにもし利用されているとしたら不本意だし、実際に利用している人もいるようだけど、それとは一線を画します、という発言が出てきていない【※】、ということには大きな不安を覚えるんですよね。
※番組放送された2018年2月25日時点での発言。
結果的に差別を助長してしまった
久田氏:
ハフィントンポストでコメントは出ていましたよね。
吉田氏:
ちょっと出ていたけど、そういうコメントではなかったですよね。「私は意図してません」で終わっちゃっているでしょ?
東氏:
「私の発言を利用する人がいるとしたら、それは良くないです」というところまで、踏み込まないと。今回はやっぱり、三浦さんの発言で勢いづいている人たちがいることは確かですから。
久田氏:
あと僕は、なんか色気がどうのとか言っているのも嫌だし。
吉田氏:
三浦さんを叩く側の言論も、みたいなところですよね。
東氏:
叩く側の左翼の人たちの、東大に電話するとか、論外。パーフェクトに論外です。
そういう行動は、さっきも言ったように、産経新聞側の、自分たちが被害者だって意識を強めるだけなんですよ。
吉田氏:
はいはい。「騙されているんだこれ」って。
東氏:
右翼側もね、そこの部分はある意味で正しいわけ。だって、何かあったらすぐに大学に電話とかおかしい。なにいっても「弱者がどうなんだ」ってステレオタイプで全部言ってくるとか、“ステレオタイプで言論を封殺しようとする勢力”がいるというのは、本当なんだよね。
久田氏:
そうそう。
東氏:
それは、本当に良くない。左翼は、そういうことをやめるべきだと僕は思いますけど。
久田氏:
やめたほうがいいですよね。逆効果ですよね。
東氏:
逆効果です。間違いなく。
吉田氏:
“言い方”ですよね。「スパイがいる」ぐらいだったら、みんな納得したと思うんですよ。スパイはいるわなって。それなら、みんな怒らなかったと思いますよ。
久田氏:
いるよ。いるって。僕も、会ってる。たぶんこの人そうじゃないかな? という人は、いるもん。
吉田氏:
「大阪」っていうことで在日へのヘイトを煽る感じにしちゃったのが、完全なミスっていう。
久田氏:
大阪だと想像せざるを得ないでしょ?
リベラル側に戻ってくるのは難しい
東氏:
あと震災の後、神戸で迫撃砲が見つかったという問題ですね。例えばね。それもどれくらい根拠があることか分からないわけだけど。
僕、パーティーのときも三浦さんとしゃべったんだけど、「根拠はあるんだ。しかし、根拠は言えない」っていう、主張になっているわけですよ。
久田氏:
ああ。そうか。
吉田氏:
ああ。
東氏:
それだったら、言わないほうがいいこともある。
だって、それだとやっぱりヘイトを煽るように使われることもあるわけだから。だから、そこのところがちょっとコントロールできていないかな、と僕は個人的には思いますね。
久田氏:
三浦さんの立ち位置みたいなのが、テレビの影響かわからないですけれども、東さんから見てグラグラしている感はありますか?
東氏:
グラグラっていうか、今回で右に行ったと思いますよ。しばらく難しいと思いますね、リベラル側に戻ってくるのは。三浦さんは、すごく微妙なバランスでやっていたと思いますから。
それは、なんでかというと、彼女は安保は右だけど、女性問題や社会保障が左だからですよね。
久田氏:
はいはい。
東氏:
ただ、今回はそのバランスを崩してしまった。
戻るようなバランス感覚を発揮していない。もちろん先のことは分からないですけど、このままのスタンスだと、ガッと右側に行くと思います。右の人たちは、やっぱりすごく喜んでいるし。
久田氏:
ですよね。だから、もう「月刊Hanada」とかに書いてもおかしくないぐらいな感じですよね。
東氏:
そうそう。「月刊Hanada」からでっかい花が来るわけですよ。おぉっと! と。
吉田氏:
(笑)。
東氏:
アツい! みたいな。
久田氏:
(笑)。
吉田氏:
(笑)。青木理さんがたしか、三浦さんとギクシャクしてましたよね。
久田氏:
そりゃ、するでしょ? だって、思想全然違うもん。
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