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裁量労働制ではSEを明確に定義
SEの明確な定義を載せているのは厚生労働省のWebサイト。労働基準局監督課の専門業務型裁量労働制のWebページにきちんと記載されている。これだけ話題になったので、改めて調べてみた読者も多いと思うが、裁量労働制とは実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で取り決めた「みなし労働時間」を基に賃金を支払う制度。で、「専門業務型」と「企画業務型」という2パターンで裁量労働制の導入が認められている。
SEについては専門型業務として裁量労働制を導入できる。当然「じゃあSEって何だ」が問題になるわけだが、「情報処理システムの分析又は設計の業務」として明確に定義されている。少し長くて役所言葉なのが難だが、重要な定義なので引用してみよう。
「(i)ニーズの把握、ユーザーの業務分析等に基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定、(ⅱ)入出力設計、処理手順の設計等アプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定等、(ⅲ)システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善等の業務をいうものであること。プログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれないものであること。」
いかがだろうか。とても明快で腹落ちするSEの定義だ。断っておくが専門業務型裁量労働制の対象業務として挙げられているのは、あくまでも「情報処理システムの分析又は設計の業務」であって、SEという言葉は一切使っていない。ただ、これこそがまさにSE、あるいはシステムエンジニア(より正確に言えばシステムズエンジニア)の業務であり、プログラマー(コーダー)との線引きも明確だ。
「何がSEの仕事なのか」「私はいったい何者なのか」と悩む若手技術者には、このWebページを教えてあげられればよかったな。もちろん、「げっ、私の仕事はSEの業務と違う。『プログラムの設計又は作成を行うプログラマー』じゃん」と衝撃を受けるかもしれない。だが、今の仕事や将来のキャリアについて真剣に考える契機となるのなら、それもいいかである。その意味では「あなたはコボラー」などと面と向かって言ってあげたほうがよかったかもしれない。いかんなぁ、今回は反省がやたらと多い。