スタートアップに経営統合という「第3の道」

元DeNA会長の春田真氏らが仕掛ける業界再編

2018年3月5日(月)

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 次々に新たなサービスが登場する一方、勝ち残りに向けた競争も激しいスタートアップ業界。株式上場や大手企業による出資、買収など日々話題は尽きないが、それらほどにはこれまで目立っていなかった事例がある。同じ分野でしのぎを削る、または全く異なる分野で事業を展開してきたスタートアップ同士の経営統合だ。

 優秀な人材を集めたり、技術水準を高めたりと、スタートアップが飛躍するために求められるハードルは高い。経営統合はお互いの強みを持ち寄り体制を強化するという点では有効な手段だが、日本では欧米などに比べて一般的ではなかった。しかし、足元ではこうした「業界再編」のメリットに目をつけ、積極的に動く起業家らが徐々に現れてきている。

 「2社が一緒になることで、日本のEC(電子商取引)分野において様々な挑戦ができる」。こう強調するのは、ネット広告サービス、フリークアウト・ホールディングスの佐藤裕介取締役。2社とは、2月1日付で経営統合した、決済サービスを手掛けるコイニー(東京・渋谷)と、ECサイト構築支援サービスのストアーズ・ドット・ジェーピー(旧ブラケット、同)だ。

 コイニーとストアーズは共に2012年にサービスを開始した、EC業界の有力スタートアップ。しかし、事業領域はこれまで大きく異なっていた。コイニーは、中小の小売店や飲食店向けに、スマートフォンを使ってカード決済の受付ができる決済端末を提供するサービスで、ストアーズは中小企業や個人が無料でネット通販サイトを運用できるサービスを展開している。

佐藤裕介氏はEC分野の成長性に目をつけ、2社の経営統合を主導した

 ビジネスモデルの違う2社の経営統合を主導したのは、グーグル出身で1月31日までフリークアウトの社長を務めていた佐藤氏である。

 双方の経営陣と個人的なつながりのあった佐藤氏は、兼ねてから2社のビジネスモデルに着目していた。オンラインとオフラインの垣根がなくなり、購買行動も多様化する中、中小企業や個人のECビジネスを支援する事業はさらに需要が拡大すると予測。一方、スタートアップが持つ経営資源には限りもあり、いかに迅速に事業を拡大するかもカギとなる。

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「スタートアップに経営統合という「第3の道」」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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