三井住友F:海外ローン販売急拡大、バーゼル規制で-地銀や生保向け

  • 野放図に融資してアセットを積み上げる環境ではないと三井住友銀
  • 地銀には海外ローン債権が「やむを得ない選択になる」-S&P

三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行は、海外ローン債権の国内機関投資家向け販売を急拡大させている。より高い運用利回りを狙う国内投資家とリスク資産調整が必要な銀行側の意向が一致した。

  三井住友銀は今年度(2018年3月期)、約3000億円と前年度比1.5倍の海外ローン債権を地方銀行や生命保険会社といった投資家に販売する。来年度も国内金利上昇などがない限り同程度の拡大を見込む。同行ディストリビューション営業部の栗谷圭・企画管理グループ長は、新バーゼル規制もあり「今までのように野放図に融資だけをしてアセットを積み上げて良いという環境ではなくなってきた」と述べた。

  日本銀行の異次元緩和で国内の金利水準が低下、地銀や生保といった国内投資家は少しでも高い利回りを求めて運用先のすそ野を広げている。ここに三井住友銀の航空機融資やプロジェクト融資などの海外ローン債権が投資先として浮上した。銀行にとっては債権売却でリスク資産をコントロールできる上、新規融資への外貨調達にもなる。

  S&Pグローバル・レーティングの吉澤亮二主席アナリストは、収益源が細る中で地銀は海外ローン債権が「やむを得ない選択になっている」と述べた。同時に「リスク管理と外貨調達の能力面で課題がある」と指摘した。三井住友銀の栗谷氏も、地銀や保険の海外ローン債権購入は異次元緩和前から検討しているところはあったが「国内だけではやってけないという流れが加速したのは間違いない」と語った。

  現在の銀行の最優遇金利は、米国の4.5%に対して日本では1%に留まる。邦銀は主要行を中心に海外融資を伸ばしており、国際与信残高は異次元緩和前(12年末)から現在までに9000億ドル以上増加。17年9月末には3兆9485億ドルに達した。

  三井住友銀の栗谷氏によると、三井住友銀が国内投資家に販売している海外ローン債権は、ドルとユーロ建てが主体で欧米向けが半分以上。販売方式は、債権譲渡が7-8割程度で残りは証券化商品として組成するなどしている。

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