今年1月4日に米国で出版されたトランプ政権の内幕を描いた『炎と怒り』──。発売から2カ月近く経つが、今も米アマゾン・ドット・コムの政治分野では書籍売り上げランキングで上位3位を下らない。
35カ国語に訳されることが決まっており、その多くが3月上旬までに世界各国の本屋に並ぶという。邦訳(早川書房刊)も2月23日に発売された。
トランプ政権が発足した2017年1月からホワイトハウス一階ロビーのカウチに陣取り、200件以上の取材を経て『炎と怒り』を書いたという米ジャーナリストのマイケル・ウォルフ氏に、この本を書いた狙いなどについて、ロンドンで聞いた。その内容を3回に分けてお届けする。
トランプ氏を含めトランプ陣営は「勝つ」と思っていなかった
衝撃的な内容でした。読む前から報道でどんな内容かあらかじめ知っていたので、「心構え」はあったつもりですが、それでもあまりにショッキングな内容でした。
マイケル・ウォルフ氏(以下、ウォルフ):ありがとう。政治という側面からみても衝撃的ですし、まるで喜劇ではないかという点でも強烈な内容だと思います。
何よりも衝撃的だったのはトランプ氏自身を含め、トランプ陣営が大統領選で勝つことを想定していなかった、という部分でした。
ウォルフ:トランプ勝利には、世界中の人が驚かされたわけですが、最も驚いたのがトランプ本人でした。
勝つつもりがないということを知ったのは、いつですか。
ウォルフ:大統領選挙中は、誰もがトランプは負けると思っていました。大統領選挙中、私はかなりトランプ陣営を取材していました。トランプ陣営に確かにスタッフはいたが、誰もちゃんとは働いていなかった。だから取材していると彼らが「自分たちは負ける」と思っているのが伝わってきた。誰も必死になっていなかった。私は、2016年の大統領選の前にも大統領選の取材をしてきた経験からこういう感触が分かります。当時、支持率で17~20ポイントも(民主党のヒラリー候補に)差をつけられていましたから、勝てるはずがないと彼らは考えていのです。
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