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植物は自分と他者を区別する ─他者の花粉を選んで受精するペチュニアの花
Nature Plants が2015年1月に創刊された。その表紙を飾ったのは美しいペチュニアの花。ペチュニアは受精に際して、自分の花の花粉と、他の花の花粉を識別し、後者のみを受け入れる。近親交配を避けるこの巧みな仕組みを解明し、記念すべき創刊号に研究成果を発表した高山教授と久保研究員にお話しを伺った。
日本では燻炭(くんたん)と呼ばれ古くから用いられてきた土壌改良材「バイオ炭(biochar)」が、世界的なブームの兆しを見せている。穀皮や食品廃棄物を低酸素条件下で加熱して作るため、焼却に伴う二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、地中に埋蔵すれば温暖化ガス対策になるのではないかと研究者の間で関心が持たれるようになったのがきっかけだ。その後、農作物の収穫量を増やし、土壌や水の汚染を抑制するとして注目を集めるようになり、現在、科学的な研究が世界中で行われている。
Nature Plants が2015年1月に創刊された。その表紙を飾ったのは美しいペチュニアの花。ペチュニアは受精に際して、自分の花の花粉と、他の花の花粉を識別し、後者のみを受け入れる。近親交配を避けるこの巧みな仕組みを解明し、記念すべき創刊号に研究成果を発表した高山教授と久保研究員にお話しを伺った。
ラボテクニシャン(技術員、技術補佐員)がいなければ研究は成り立たない。それなのに、彼らの貢献は正しく認識されていないことが多い。
同一の宿主に、利害関係の異なる複数の寄生生物個体が存在する場合、それらは互いに競い合って宿主の行動を支配しようとする。どうやらサナダムシでは、勝利を収めるのは常に年長の1個体らしい。
アルカリ金属を水に入れると派手に爆発する。化学の授業でおなじみのこの実験の反応機構が、実は長く誤解されてきたことが、ハイスピードカメラを使った研究で判明した。
結核菌・北京系統株は、結核菌の中でも感染性が高く、多剤耐性のものも多い。この系統株が東アジアに出現したのは6000年以上前であることが分かった。
クレジットカードを利用した時間と大まかな場所に関するデータが たった4つ揃うだけで、個人の身元をほぼ特定できることが示された。匿名化されたビッグデータの管理方法について、今後、議論は必至だ。
「自然には存在しないアミノ酸」がなければ生きられないように遺伝子組換え(GM)生物の代謝系を書き換えるという、強固な生物学的封じ込め法が開発された。
イスラエル・マノットの洞窟で、約5万5000年前の新人型ホモ・サピエンスの頭骨が初めて発見された。この年代の中東にはネアンデルタール人が先住していたことが化石から示されており、彼らが共存していた可能性が高まった。
紙おむつの吸収体に利用される材料を使って脳組織を膨張させることにより、一般的な光学顕微鏡を使って、わずか60nmの特徴まで解像することができた。
精神疾患に対する新薬がほとんど登場しないことから、麻薬の一種であるケタミンに製薬会社や医師から大きな期待が寄せられている。しかし、それが高じて、十分なデータがまだ揃っていないにもかかわらず、うつ病治療用に処方され始めている現状には懸念も出ている。
バイオシミラー(バイオ後続品)は、先行品より低価格というメリットがあるが、科学、規制、特許のそれぞれの局面で課題を抱えている。
南太平洋モーレア島の動植物から地形に至るまでの生態系を、デジタルの仮想世界にそっくり再現して「バーチャル実験場」を構築しようという大規模計画が動き出した。
注意をそらされている時に下す決定の方が賢明という説が広く知られているが、新たな大規模実験と既存データのメタ分析ではそのような効果は見られなかった。無意識の力についての論争がさらに白熱化しそうだ。
生物資源から作られる土壌改良材「バイオ炭」が、農作物の収穫量を増やし、土壌や水の汚染を抑制するとして、世界的なブームの兆しを見せている。古くから籾殻を炭化して燻炭と呼び活用してきた日本人にとっては馴染み深いものだが、世界に知られるようになったのはごく最近で、その科学的な検証は始まったばかりだ。
人体には200種以上の細胞が存在するとされ、細胞独自の形態や運動性、極性などは、細胞内外のさまざまな情報の授受と伝達により獲得・決定されている。この過程はシグナル伝達と呼ばれ、生命活動の基盤をなす一方、異常を生じると、がんや循環器疾患、神経・精神疾患の原因となる。名古屋大学大学院医学研究科・神経情報薬理学講座の貝淵弘三教授は、35年にわたり、リン酸化反応を介したシグナル伝達系の解析を進めている。
マウスで、減数第一分裂と呼ばれる特殊な細胞分裂で重要な役割を果たすタンパク質が突き止められた。さらに、このタンパク質の機能解析から、減数第一分裂中に染色体分配が調節される仕組みが進化的に保存されたものであることが明らかになった。
関節部の骨を覆う関節軟骨は、軟骨組織の構成要素間に働く反発力に基づく、優れた耐荷重性と低摩擦性を示す。これに着想を得て、方向に依存した珍しい特性を数多く併せ持つ合成ゲル材料が新たに開発された。
宇宙滞在中の弟と地上の兄で遺伝子発現などを比較する
Nature 2015年2/5〜2/26号のハイライトを掲載しています。
主に手を取るのは寝る前と休憩時ですね。冊子版やスマートフォンでNature ダイジェスト の記事をみるのが日課になっています。
基本的には化学系の学生といえど、元々科学(サイエンス)が好きな子ばかりであると思うので、若い学生ほどよく読んでいる気がします。
平易な日本語で科学分野の最新記事が記載しており、大変読みやすい。自分の専門分野以外の情報を短時間で得るところができる。
山口潤一郎
早稲田大学 理工学術院先進理工学部
山口潤一郎研究室 准教授
Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778