プリキュアの数字ブログ

プリキュアの数字に関するブログです。数字以外の事も半分くらい。数字に公平であるため広告、アフィリエイトは導入していません。価格.comのプリキュアおもちゃ特集ページ書きました。

「十分がんばっているヤツに、がんばれ言うのは酷」これを言える今年のプリキュアは、強い。

「十分がんばっとるヤツに、がんばれいうんは酷やで」

 (HUGっと!プリキュア 第5話より)

第5話でハリーの言ったセリフですが、
これを、今年のプリキュアで言及するのって、結構凄い事じゃないですか。

* * * *

「今年のプリキュアは、もしかすると、ものすごいのではないか?」

って毎週、思っている気がしますけど、この「HUGっと!プリキュア」のほまれ変身エピソードの第4話、第5話は序盤の「HUGプリ」を決定付けるに充分な「とんでもない」出来だったと思うのです。

「HUGっと!プリキュア」も第5話まで終了し、ようやく3人のプリキュアが出揃いました。

「ほまれ、キュアエトワールに変身」に2話を費やした第4話、5話はとにかく「人間関係」を濃密に描きました。

・かつて、スケートのジャンプで失敗し、心に傷を負った少女、ほまれ。
・「もう一度飛びたい」という想いがミライクリスタルを呼び出す。
・しかし、そのトラウマは深く、飛べずに変身を失敗してしまう
・「フレ!フレ!」と応援するはなちゃんに「やめて」と突き放すほまれ。
・それでも「また明日、また明日ね」と声をかけるはなちゃん。
(ここまでが4話)

(ここからが5話)
・プリキュアはどうでも良く、ほまれちゃんと友達になりたいと願う、はなとさあや
・そのやさしさを感情で受け入れられないほまれちゃんは店を出ていく。
・応援する事の難しさを実感するはなちゃん。

そんな時の、冒頭のこの台詞です。

「十分がんばっとるヤツに、がんばれいうんは酷やで」

 (HUGっと!プリキュア 第5話より)

再度言いますが、これを、今年のプリキュアで言及するのって、結構凄い事じゃないですか。

だって「フレフレ!みんな」ってみんなを応援するプリキュア「キュアエール」に対して「応援する事の難しさ」を説いているのです。

ただ「応援する事は良い事」と女児に伝えるだけではなく、きちんと「応援の裏に潜む危うさ」までをも描いているのです。

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(HUGっと!プリキュア 第5話より)


そう。みんな頑張っているのです。頑張っている人に「頑張れ」というのは、「自分はまだ頑張っていないのじゃないか・・・」ってなりますよね。

大人の世界では結構浸透してきている考えですが(うつ病患者さんにも「がんばれ」は禁句だってよく言いますよね。)、

それを日曜の朝の女児に向けて言うのは、本当に勇気がいると思います。

「応援は良い事、みんな元気になる」って事だけを言っておいた方が耳障りは良いし、作る方も楽だと思うのです。

あえてそれを「フレフレ!みんな」って応援するキャラを使ってマイナス面に言及しているのです。

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(HUGっと!プリキュア 第5話より)


「応援」は上辺だけでは相手の心に届かない。

「相手を知り、相手の事を考えて初めて、応援は相手に届くものになる」

ってのを子供達へと伝えているのです。

その後の3人の会話もお見事です。
はなとさあやは「それでも、放って置けないから」といってほまれときちんと向き合い、コミュニケーションを試みます。

はなちゃんみたいになりたい、というほまれ。
しかし、はなちゃんも「突っ走りすぎて引かれる事もあるって事を自覚しつつも、そのキャラを通している、それは”なりたい自分になるため”である」と知り、自分がどうなりたいのか、を考えます。
(その間、薬師寺さあやちゃんは2人に「好き」と伝える事に終始しているのが、これはこれで素敵。)

はなちゃんが「突っ走って引かれる」ことを自覚しているのも、新しい発見でした。
あの娘はあの娘で「引かれるかもしれない」事を承知の上で、ずっとみんなを応援していたのですよね。だからこその覚悟、それは4話、5話の「表情」と「行動」に表れていましたよね。

3人のプリキュアが「私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます」と「それぞれに無い所を補いあう」事で仲良くなり、強くなる、という帰結も素敵です。

第5話は、確かに、ほまれちゃんがエトワールに変身する動機がやや弱い、というか、ほまれちゃんが 前回ジャンプで変身失敗したのだから、今回はそれよりも高いジャンプでミライクリスタルを取って変身する、くらいのカタルシスがあった方が良かった気もしますが、それは高望みって事なのでしょう。
きっと、子供達は大満足だったのではないでしょうか。


しかし、第1話から、このハリハムハリーとかいう妖精、

イケメンかつ、育児もやりつつ、親への評判も良く、商売も順調、プリキュア3人にきちんと目を配り配慮し、大人な助言もできつつ、コメディリリーフも出来て、怪物が現れると、即座に現場に駆け付ける。

ちょっと有能すぎるくらいに有能なのですけど、今までのあらゆる男性キャラの分析の結果のお母さんお父さんに嫌われない「最適解」なのでしょうね。やるぜハリー。


ホウ・レン・ソウ

 あと、今回も「企業用語」が出てきました。
今回は「報告、連絡、相談」でした

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 (HUGっと!プリキュア 第5話より)

「報告、連絡、相談」大事ですよね。耳が痛いです。
それをアルバイトのルールーさんにたしなめられるチャラリートさん、この先大丈夫でしょうか。

「これはな、通称”ホウ・レン・ソウ”っていうんだぞ」と胃を痛めながらも子供に説明しているお父さんもいるのでしょう。

とにもかくにも、

「お仕事の楽しさ」を伝えるのに敵側で「お仕事のつらさ」を描写し、

「応援の素晴らしさ」を伝えるために「応援の負の部分」もきちんと子どもに伝えているのです。

いや(毎年すごいのは承知なのですけど)
今年のプリキュアは、すごいなって思います。

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まだ、たったの「5話」ですぜ、旦那。

わずか1ヶ月、1/10が終わった段階で、育児描写から人間描写、企業ネタまでふんだんに取り入れ、全く無駄の無いこの密度。

佐藤順一、座古明史両監督をはじめ、シリーズ構成坪田文さん、その他制作スタッフさんがいかに力をいれているか、がわかります。

うん。確信した。

「十分がんばっているヤツに、がんばれ言うのは酷」

これを言える今年のプリキュアは、ただひたすらに、強い。

 

(おわり)