Googleの元CEO「20年以内に、ロボットが人間を攻撃してくる映画のような世界がやってくる」

(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 人工知能(AI)が発展しロボット兵器が自らの意思を持って判断して人間を攻撃してくる、いわゆる「自律型致死兵器システム(LAWS)」の脅威については2018年2月にドイツのミュンヘンで開催されていた「第54回ミュンヘン安全保障会議」でも議論の的となっていた。そのようなロボットは「ロボット兵器」や「キラーロボット」とも呼ばれている。まるでSF映画のような世界だが、国際社会では真剣に議論されている。

「AIに対する責任は、これからも人間側にある」

 Google元CEOシュミット氏は、同会議において「20年以内に、ロボットが人間を攻撃してくる映画のような世界がやってくる」と述べた。そして「誰もがこの問題については、すぐにSF映画のようにロボットが人間を襲撃し、殺害するシナリオを話したがる。だが、そのような世界になるのは10年から20年先の話だ。キラーロボットの問題は懸念すべきことだが、すぐに起きることではない」と話した。

 シュミット氏によると、自律型のキラーロボットは起こりうるが、すぐに人間を襲撃してくるようになるわけではないと考えている。ロボットが人間を襲撃してくる社会が来ないとは語っていない。そのような時代が来るには10年から20年後になるだろうとシュミット氏は予測している。

 シュミット氏は「映画の見過ぎだよ。AIに対する責任は、これからも人間側にあることを明らかにすべきだ」とAIに対する人間の責任の重要性も語っていた。

小型ドローンが人類を襲う動画も、UCB教授らが制作

 AIの進化で自律型ロボットが人間を襲撃してくる脅威については、テスラのイーロン・マスクCEOが、2017年には「AIは人類に深刻な影響を与える。人間社会の存続にとっての根本的な危機だ("a fundamental risk to the existence of human civilization")」と懸念を表明していた。

 また2017年11月には、国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組で公式専門家会議が開催され、「自律型致死兵器システム(LAWS)」について議論がされた。

 それに合わせて、カリフォルニア大学バークレイ校コンピュータサイエンス学科で35年以上AIの研究をしてきたStuart Russel教授らが「Slaughterbots」(Slaughter:虐殺とRobots:ロボットの造語)という動画を公開して、脅威を訴えている。