今日は理科っぽい話からさせてください。
伝統的な納豆の製法については、知っている人も多いだろう。ゆでた大豆を稲のワラで包み、発酵させて作るのだ。
いわゆる「わらづと納豆」というやつだ。 でもこの間、ふと考えついた。 あれ、稲じゃなくてそのへんの枯れ草でも作れるんじゃないか。そう思ったのには科学的根拠がある。 僕の話を聞いてくれ。 ※2010年3月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。
前の記事:「つくろう! 嵐を知らせる小瓶「ストームグラス」」 人気記事:「32年間眠りつづけた「コスモ星丸」を発掘した」 > 個人サイト まさゆき研究所 新棟 「納豆菌」は日本限定の呼び名納豆菌、という名前は日本でしか使われていないという話をご存知だろうか。
納豆菌は生物学的には、枯草菌(こそうきん)という細菌のごくマイナーな変種にすぎない。どちらも学名で表すとバチルス・サブチリスとなり、同じ種に含まれる。海外に行ったらどちらもそうとしか呼ばれない。 例えて言うなら、「天皇」も「皇帝」も、「エンペラー」と訳されるようなものだろうか。 納豆を作る納豆菌は、どこに住んでいるでしょう?
さてその枯草菌だが、どこに生息しているのかというと、その名前の通り、枯れ草に生息しているのである。もちろん稲のワラにもだ。なので、稲のワラで茹でた大豆を包むと、ワラに付着していた枯草菌(納豆菌含む)が頑張って繁殖し、大豆が発酵して納豆になる、というわけなのだ。
どうです、知識と名前がつながった感じがするでしょう。 ここまで説明すればもうお分かりだと思う。なぜ昔は、稲のワラで納豆を作っていたのか。それは一番大量に手に入った枯れ草だったからだろう。 じゃあ別に、そのへんの枯れ草でもいいんじゃないか。納豆できるんじゃないか。僕はさっそく実験に取り掛かった。 枯草菌(納豆菌含む)は、枯れ草に住んでいます。
まずは枯れ草採集本当にそのへんの枯れ草を刈り取ってきた。まずはここ。
そのへんの適当な空き地。
びっくりするぐらい普通の空き地に、ばさばさと生えている普通の枯れ草だ。これをちょっと刈り取ってきた。
失礼しまーす!
枯れ草ゲットー!(以降、枯れ草1と呼ぶ)
続いてさっきの場所のすぐそば。空き地兼駐車場みたいになっている場所。ここにも普通の枯れ草がいっぱい生えていた。
なんともコメントしづらい、やっぱ普通の空き地。
お邪魔します。
ワラのいい匂い。(以降、枯れ草2と呼ぶ)
水辺の空き地は危険ちょっと遠いところも行ってみようかと思い、市内の池に向かってみた。池のはたにアシみたいなのがいっぱい生えていた気がしたからだ。しかし取ってみて、意外な罠が潜んでいることを発見する。
おお、生えてる生えてる。
寒いので、ジャージに着替えてます。
何かの虫の……卵??
これを使うのはさすがにためらわれる。ライターのほそいさんは、この記事で虫をバリバリ食べまくっていたが、僕はそこまで振り切れていない。 水辺の草は全体的に、陸地の草よりも昆虫や微生物たちとのふれあいが激しいようだった。平たく言えば腐りかけていて、腐葉土っぽいような印象を受けたので、使用するのはやめにして、再びさっきの場所に戻って枯れ草を採集した。
ススキっぽいの発見。
陸地の枯れ草は信用できる。
ススキ的な草、ゲットー!(以降、枯れ草3と呼ぶ)
さて、ここらで枯れ草3種類の特徴をまとめてみようと思う。
以上3種の枯れ草を用いて、納豆を作っていこうと思う。場所は、僕の勤務先である高校の理科室に移る。
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