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天才・羽生結弦を育てた「羽生家の家訓」

なぜあれほど、心が強いのか
週刊現代 プロフィール

「結弦の両親が表に出ないのは、頑張っているのは本人であって、親は関係ないという考えからなんです。五輪で金メダルを獲得しても『私たちがしゃしゃり出て話すことはない』と言っていましたね。控え目で多くを語らない、お二人とも、まさに東北人の気質を持った両親です」

羽生家に近い友人はそう説明する。

息子が謙虚なら、親もまた謙虚。一体、羽生家ではどんな教育が行われ、天才・羽生結弦が育まれたのか。その秘密を探るべく、本誌は羽生の地元・仙台に飛んだ。

羽生が生まれ育ったのは仙台市泉区。両親と姉の4人家族で、父は中学校の教頭として勤め、母は専業主婦、4歳上の姉は、羽生のホームリンクだったアイスリンク仙台の職員として働いている。

羽生が生まれ育った県営住宅は、仙台駅から車で20分ほどのところにあった。

「フィギュアは、靴や衣装、リンク代など、ものすごくおカネがかかるスポーツです。家族の協力なしにはできません。羽生家は父親が公務員で貧しくはないけど、カネ持ちというわけでもない。家賃5万円でつつましく暮らしていました。節約のために、つい3年前まで結弦の衣装はお母さんが作っていたんです」(前出の友人)

雪の降る中、羽生家の表札を探したが、見つからない。近隣住民がこう教えてくれた。

「金メダル獲得後、自宅に取材が殺到したでしょ。だから昨年(2014年)の10月頃、羽生さんちは仙台市内のマンションに引っ越したのよ」

今度は仙台市内に住む母方の祖父母の自宅を訪ねてみた。

取材で来た旨を告げると、祖母はインターフォン越しに、「東京からせっかく来ていただいて申し訳ないのですが、孫についてお話しすることはできません」と、申し訳なさそうに言う。だが、少しだけでもとお願いすると、ポツリポツリと答えてくれた。

 

—羽生選手の人間性はご両親をはじめ、周囲の方の教育の賜物だと思います。

いいえ、あの子の両親は当たり前のことをしてきただけです。特別なことは何もしていません。

—羽生家には「家訓」のようなものはあるんでしょうか。

ゆづを育てたのは、両親ですから、私たちは話す立場にありません。私たち祖父母がいろいろと話したような記事が出てしまったら、恥ずかしくて生きていけませんよ。

—有名になってもご両親をはじめ、皆さん、表に出てきません。それが羽生家の方針ですか?

頑張っているのはゆづ本人ですから。

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