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トップ > シゴタノ! > デジタルノート論考 その1





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倉下忠憲メモの基本は、ともかく書きつけ、それをまとめておくことです。これはアナログであってもデジタルであっても変わりません。

むしろ、メモをとる状況はさまざまなのですから、アナログとデジタルの両方を駆使して情報を保存しておくことが、現代のメモ事情では必要でしょう。

でもってこれは記録の扱い方の基礎でもあります。言い換えれば、入り口部分です。断片的な情報として固定し、後から利用する。一回性の情報であればこれだけでも十分でしょう。

しかし、情報には違った利用法もあります。それはたとえば、一つのテーマについて継続的に考えていく、というようなものです。これはどちらかと言えば、メモではなく、ノートの領分と言えます。

アナログノートであれば、そうしたときは一冊ノートを新調し、それをテーマノートとして使えば十分です。では、デジタルノートではどうでしょうか。

膨大な情報が扱え、さらにそれらの編集が自由自在なデジタルノートは、案外これが難しくなります。そこで今回は、デジタルツールにおけるテーマノートの設定について考えてみましょう。

Evernote-ノートブック

デジタルのノートアプリならなんでも構わないのですが、ここでは代表例としてEvernoteをあげておきます。OneNoteでもUlyssesでも、その他のアプリでも基本的に同じことが言えます。

まず、テーマを設定したら、そのテーマをタイトルに持つノートブックを作ります。あとは、思いついたことをそこに書き込んでいく。簡単ですね。一つの注意点としては、そのノートブックはリストの上部にくるようにしておきましょう。でないと、時間が経ったときにそのノートブックを作っていたことを忘れてしまいます。存在を忘れると読み返すこともなくなるので、継続的な思考が難しくなります。

アナログのノートであれば、机の上にノートを「置いておく」ことができるわけですが、デジタルではそれができません。だからこそ、普段目に入る場所にそのノートブックを置いておくのがポイントです。

WorkFlowy-項目

続いてアウトライナーです。どんなアウトライナーを使ってもいいのですが、ここではWorkFlowyにしておきましょう。

ここでもやることはEvernoteと同じです。テーマ名の項目を作り、そこに関係することを日々綴っていく。手間でなければ、書き込む日付ごとに下位項目を作ってもいいかもしれません。でもって、そのテーマ項目は上部に配置しておくのがやはり肝です。

アウトライナーを使うとうれしいのは、項目の移動が自由なので上の方に配置するのが簡単なこと。ボリュームが増えてきたときに古い項目だけを隠すことができる点があります。ただし、箇条書きのフォーマットに長文を書き込む点に苦手感を感じる人もいますので、そこは好みに合わせると良いでしょう。

テキストファイル

パソコンの方であれば、まっさきに思いつくのがテキストファイルによる管理かもしれません。Wordなどを使ってもよいのですが、どんな端末でも楽々読み込める点、加工しやすい点などを合わせて考えるとやはりプレーンなテキストファイルは最強です。

テーマひとつにつき一つのテキストファイルを作り、保存しておく。保存先をクラウドストレージにすれば完璧です。

一見簡単な方法で、思いついた瞬間はうまくいくのですが、時間が経ち数が増えてくるといろいろ問題が生じます。ファイルが見つけにくくなってきて、埋没問題が生じ始めます。

だったらとデスクトップ上にフィアルを配置しても、やはり数が増えてくると限界はあります。ファイルにラベル付けする工夫などでも対処は可能でしょうが、完全ではありません。かといって分類のためにフォルダを作り始めると、ますます探すときに混乱しはじめます。

テーマの総数が少ないならば魅力的な方法ですが、そうでない場合は他のツールを検討した方がよいでしょう。

ちなみに、一つのテキストファイルに継続的に書き込んでいく場合、「新規追加を下にするか上にするか」問題があります。一見どうでもよさそうですが、これも一長一短あって、なかなか決められない問題です。

ブログ

まったく別の切り口として、ブログを作る、という方法があります。公開でも非公開でも構いません。自分のノートの代わりにブログシステムを使う、というだけです。

テーマを設定し、それに関することを淡々と記事にしていく。カテゴリは気にせずに、できるだけタグだけは付けていく。それだけで立派なテーマノートになります。そのブログのURLを、ブラウザのブックマークツールバーにでも置いておけば、いつも目にすることになるでしょう。

トップページにアクセスすれば直近の自分の「思考」をリコールできますし、それが契機となって次の思考が引き出されるかもしれません。

加えて言うならば、たとえアクセス数が0であっても、ブログの記事を書こうとすると「外向き」の文章が出てきます。多少は意味の通ったまとまりのある文章が出てくる、ということです。そのテーマについてのちのちまとめるつもりがあるならば、書き殴りよりもそうしたまとまりのある文章の方がよいでしょう。

ただしそれが過剰に機能し、「ちゃんとした文章を書かなければ」となってしまうと、ノートの書き込みが増えません。そういう意識が強く働いてしまう人は、自分のローカルで展開していった方がよいでしょう。ポイントは、どちらの方がすいすい筆が進むか、書く意欲が湧くかで、それを見極めて書く場所を選択してみるとよいでしょう。

ちなみに、上記と同じことはScrapboxでもできます。これも強力な選択肢の一つです。

さいごに

今回は、四種のデジタルツールについてノート的に考えてみました。

現代は瞬間的に断片的な情報を高速に大量に流す人が目立つ傾向にありますが、そうでないタイプの思考を求めている人もいるでしょう。そうした場合には、時間をかけてゆっくり対象について考えいく時間と、そのためのツールが必要となります。

この記事を参考にそうした思考を進めて頂ければ、それにまさる喜びはありません。

▼今週の一冊:

一時期ノート術の本がたくさん出ていたのですが、最近は少し下火になってきましたね。ビジネスにおけるノートの使い方なら、以下の本が簡単にまとまっています。

でもって、2018年3月のKindle月替わりセールの対象です。


▼編集後記:
倉下忠憲
同じく3月の月替わりセールで拙著『「目標」の研究』が値引きとなっております。目標についていろいろ考えた本なのでよろしければぜひ。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。



▼「R25世代の知的生産」の新着エントリー

» 「R25世代の知的生産」の記事一覧

03月24日(土)残業ゼロ化ワークショップ

残業ゼロ化ワークショップ
「残業ゼロ」を実現する(=残業ゼロ化)ためのワークショップを開催します。

●残業ゼロを実現し、継続している講師陣によるレクチャー
●同講師陣による一対一の個別相談タイム

という構成で、あなたの現状分析から問題点の発見、そして克服の道筋をつけるところまでを行います。

ツールとしてはタスクシュート(TaskChute2、TaskChute Cloud、たすくま)を前提としますが、相談内容によってはタスクシュートを使わない解決策をご提案させていただく場合もあります。

タスクシュートが使えるようになることではなく、
残業をゼロにし、そしてこれを継続する体質に変えること。

これが、残業ゼロ化ワークショップが目指しているゴールです。

もちろん、タスクシュートが「残業ゼロ」のための手段に過ぎないのと同様に、「残業ゼロ化」もまた何かの手段です。

その「何か」とは人それぞれに異なるかと思いますが、その実現のためにも最初の一歩である「残業ゼロ化」に取り組んでいきましょう。


» 残業ゼロ化ワークショップ@渋谷


「タスク管理トレーニングセンター」のご案内


タスクカフェは東京(渋谷)でのみ開催しているため、地理的にご参加が難しいという方、あるいは日程的に厳しいという方もいらっしゃるかと思います。

そこで、オンラインコミュニティ「タスク管理トレーニングセンター」を開設しました。


▼タスク管理トレーニングセンターとは?

「タスク管理トレーニングセンター」は、タスク管理にまつわる以下のような課題に取り組みます。
  • いろいろな本を読んだりセミナーを受けたが自分なりの方法が確立できていない
  • こちらの業務環境や状況に合わせて客観的なアドバイスをして欲しい
  • 誰に質問していいのか分からない
  • どのツールが自分に合うのかが分からない
  • TaskChute2で「こういうこと」をしたいが方法が分からない
  • たすくまで「こういうこと」をしたいが方法が分からない
  • TaskChute Cloudで「こういうこと」をしたいが方法が分からない
  • この使い方で合っているか不安
  • もっといいやり方があれば教えて欲しい
  • 他の方とタスク管理に関する課題を共有したい
これらの課題の解決のために以下のようなメニューをご用意しています。
  • タスク管理アプリの開発者とタスク管理のエキスパートがあなたのご質問にお答えします
  • 一般非公開のコミュニティで他の参加者の方と課題を共有できます
  • タスク管理の考え方・やり方の理解を深めるためのレクチャー動画をご覧いただけます

ご質問にお答えするのは、TaskChute開発者の大橋悦夫、たすくま開発者の富さやか、TaskChute Cloud開発者の松崎純一、そして、タスクシュート歴10年の佐々木正悟の4名です。

また、毎月のタスクカフェのレクチャー内容を動画で公開しています。

これまでにお答えしているご質問や現在公開中のレクチャー動画については、以下のページにて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

» タスク管理トレーニングセンター
タスク管理トレーニングセンター

タスクシュート® とは?

» TaskChute2(Windows・Excel)

タスク管理ツール・TaskChute2


» TaskChute Cloud(クラウド)

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» たすくま(iPhone)


» たすくま「超」入門
たすくま「超」入門

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仕事に必要なことはすべて映画で学べる
星5つ 著者は「うる星やつら」、「パトレイバー」、「攻殻機動隊」の押井守さん。

全編、映画作品の解説 → 分析 → 現実へのフィードバック、という三段構成で「あぁ、あの映画はそういう風に解釈するのか!」とか「あのシーンはそういうことだったのか!」あるいは「そこに落とし込むのか!」といった「!」の連続。

人生の時間は限られているので、あらゆることを経験することは不可能。となれば、誰かの経験を疑似体験することで糧にしていくしかない。

映画はそんな疑似体験のためのかっこうの手段といえる。

映画は2時間前後という尺...
» 続きを読む

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