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自然と超人
八百万神は一神を認めうるが一神は八百万神を認めうるのか。

>同じ未来像を共有しているにもかかわらず、僕と彼の思想はその結論で決定的に異なります。前著「サピエンス全史」を継承する形で、ハラリは大多数の集合的な協働能力が人類と他の生物を分かつと主張しています。
>ネットワーク化されたアルゴリズムが僕らの認知的な限界を突破したとき、導かれるべきは「ネイチャー(僕はよく“計算機自然”と表現します)になるはずでしょう。それにもかかわらず、ハラリが結論として導出するのは「超人(Homo Deus=神の人)」なのです。
>このズレに気づいたとき、「あ、この感覚の差は思ったより大きいし、これから東洋的感覚を持ち合わせたアジア諸国の行く末は明るい」と改めて思いました。
僕の感覚では「超人(神)」も「自然」も本質的には同一だと感じますね。

例を挙げると岡田斗司夫が話していた「オーバーロード仮説」です。ざっくり説明すると人間は自分と他人に共通する属性(日本人、オタク、会社員など)といった属性によって意思がコントロールされるという話でしたが、要は人間には脳生理学的に人間同士が形成したグループに対してある種身体的な同一性を持ちつつ、グループのルールにそぐわない人間を排除する特性があり、それが「オーバーロード」ではないか、という話です。

ここで語られている話も、アルゴリズムやニューラルネットというのが、本質的には人間からアウトプットされた「ルール」であって、それがこれまでは人間の脳内の生理学的な理によって抽象的に発生していたものが、人間の脳を離れて具体的(フィジカル)な構造として具現化するというのが、未来のテクノロジーの本質ではないかと考えてます。

先の例に立ち返ってみれば、集団のルールというのはどこから生まれるかと言えば、脳生理学的作用なのでロジックではないですし、そうしたものに対して何か定性的な形を見出すとすれば、西洋では「神」であり、東洋(日本)では「自然」なのだと思います。日本人の宗教観が「八百万の神」であることも、本質的には人間が生み出す不条理なルールの根源が「神=自然」であるということを指し示してると思います。
申し訳ないのですが、自分の感覚だとHomo Deus半分以上サピエンス全史の内容と同じでした。

良ければWiredのまとめも。
https://wired.jp/series/wired-book-review/05_homo-deus/
落合さんの云わんとすることは、個人的には動物福祉という観点から紐解いているので東洋思想の優位性が理解できる。幸福と不死というテーゼに対して、今を生きる我々が持つべきは「死生観」であろう。それを動物福祉という分野でサービス化しようとしている。

たとえば海外ではすでに畜産牛の人気は赤身が主体で、牧草で肥育されたグラスフェッドビーフが最高級となっている。欧州基準のCodexでも、飼養環境や屠殺方法に対して厳格な基準が設けられており、動物福祉に基づいた畜産が適正価格で取引されるといった状況になりつつある。

翻って日本においては、A5ランクは霜降りのサシが入った黒毛和牛というイメージだけど、これは豆やコーンの穀物濃厚飼料で糖尿病状態にまで肥育したものだ。当然、動物福祉の観点で言えば虐待に当たるものだし、屠殺の現場でも作業効率が重視されて苦痛を与えるといった状況になっている。

しかし、東洋思想に当てはめればこの畜肉利用と動物福祉という、矛盾する考え方がスムーズに理解できることに気づく。つまり、輪廻転生の考え方において人間は前世の行ないによって天界か人間界か畜生に生まれ変わり、畜生に生まれた者も死によって救われるといった東洋思想は、動物福祉を社会に浸透させていくには都合が良い。

もちろん一筋縄でいく分野ではないし、様々な既得権益や既存業界があるわけなので批判も受けるだろう。でも根っこの価値観の部分で東洋思想の考え方と結び付けられれば、現状の東洋思想の上に西洋システムが乗っかった歪な状態を是正できると考えている。
英語で読むのは大変なので日本語訳が待ち遠しい。

記事を読む限り、一神教的価値観から脱却できない未来が書いてあるようですが、そもそも狩猟採取時代からローマ前期やギリシャまで西洋含めて多神教だったので、テクノロジーによってエネルギー効率や生産性が上がると世界が多神教的価値観戻ることは十分にありえる。

そもそもその時に有利とか不利とか関係なくなってるような気がしますが。
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