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野球 週刊現代

実力はあるのにどこからも声がかからない…「わが社の村田修一くん」

「扱いづらい」「部下に悪影響がありそう」

実績は申し分なし。だが、若手育成の方針に合わないとの理由で巨人をクビになった村田修一の所属先がいまだ決まらない。そんな村田のような〝居場所なき実力者〟、あなたの会社にもいませんか。

2番手では我慢できない

2月1日、プロ野球12球団が一斉にキャンプインした。だが、昨年、巨人をクビになった村田修一(37歳)はいまだ所属球団が決まっていない。

'16年は全試合に出場し、打率3割2厘、25本塁打、81打点と申し分ない数字を残した。昨季も118試合に出場し、58打点の活躍をした功労者である。

村田のような実績充分の選手になぜ声がかからないのか。年齢のせいなのか、それとも他に理由があるのか。その答えは、案外、身近なところにあるかもしれない。

「巨人は優秀な選手が揃っている球団ですが、エリート社員を多く抱えている大企業でも、同じような現象は起こりがちです。

他の球団(部署)ならば活躍できる余地があるのに、なかなか使ってもらえない。そうなればどうしてもモチベーションは下がる。同じ球団(部署)に自分より評価されている人間がいると、本人のやる気は落ちる一方です」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)

 

その結果、村田のようにクビにこそならないが、会社員の場合、会社が持て余す人材になってしまうケースはどこにでもある。

大手ビール会社勤務の高木敬二さん(仮名)は、入社後、マーケティング部で頭角を現すと、営業部に異動を命じられ、ここでも好成績を挙げた。

「一つ上の先輩が全国トップの営業成績を残していて、私はいくら頑張っても2番手に甘んじていました。必死に食らいつきましたが、先輩には歯が立たない。

営業に配属されて5年目のとき、部長に『マーケティング部に戻してください』とお願いしたんです」(高木さん)

だが、高木さんは上司に恵まれなかった。この部長は、「優秀な二人を抱え込んでいれば自らの出世が見込める」と考え、高木さんを手放そうとしなかった。

そのうえ、部長に意見すると、「ワガママは先輩社員を超えてからにしろ」と連日のように言われ、「不満分子で扱いづらい」というレッテルまで貼られてしまった。

「何度言っても聞き入れられないので、人事部にも相談したのですが、飼い殺し状態が長く続きました。

トップ成績の先輩は順調に昇進したのに、自分はレッテルが効いたのか塩漬け。やる気もなくなって営業成績も下がり、もう飛ばされるのを待つのみです」(高木さん)

人材コンサルタント・小林毅氏が話す。

「仕事に不満を感じたとき、『上司はちゃんと見てくれている。きっと察してくれているだろう』と思って仕事をしている人はダメです。期待してはいけません。

『オレはちゃんと見ているぞ』という上司に限って、ぜんぜん見ていないものなのです」

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