ポケットモンスター、縮めてポケモン。1996年2月に発売された原作ゲームのほか、テレビアニメや映画など、言わずと知れた日本を代表するコンテンツです。
2016年夏のスマートフォンゲーム「Pokémon GO」の地球規模のブームは記憶に新しいところ。現在までに800種類以上のポケモンが“発見”されています。
さて、「株式会社ポケモン」という会社をご存知でしょうか。ポケモンファンを除けば、多くの人がゲーム内の設定かと思うような社名ですが、2018年4月で創立20周年を迎える実在する企業です。
同社商品部の鈴木英里子さんに“ポケモンのお仕事”を紹介してもらいました。
株式会社ポケモンの鈴木さん
社員全員がポケモンをプロデュースする会社
株式会社ポケモンは、ポケモンセンター株式会社として1998年4月に設立。2000年10月に現社名に変更し、事業を拡大してきています。
ゲームやアニメなど「ポケモンに関するあらゆるコンテンツをプロデュースする」という同社は、オフィシャルグッズを販売する「ポケモンセンター」と「ポケモンストア」計25店(※)の運営やイベントの開催、プロモーション活動などを行う企業です。世界累計6兆円(2017年3月時点)という巨大市場を支えています。
※2018年3月14日オープンの「ポケモンセンタートウキョーDX」含む
会社のエントランスに並ぶぬいぐるみ
東京都港区六本木にある本社エントランスでは、ずらりと棚に並んだポケモングッズが来訪者を出迎えます。
社是に掲げるのは「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること」です。
株式会社ポケモンは、ポケモンにまつわるあらゆることが仕事です。
「ポケモン」というブランドが価値の高いものとして評価されて多くの人に支持されていくことを目指し、社員全員がポケモンのプロデューサーという意識で仕事に従事しています。
私の商品部という部署では、商品化する際のライセンス管理、オフィシャルショップオリジナルグッズの企画・開発を行っています。ポケモン1匹1匹の新しい魅力を引き出して、ファンの皆さまの喜びを生み出す仕事です。
ピカチュウやイーブイといった知名度が高いポケモンだけでなく、ちょっとコアな方が好きなようなポケモンも企画に合っていれば積極的に商品化し、ポケモンを皆さんに好きになってもらえるよう商品を増やしています。(鈴木さん)
ピカチュウの必殺技ポーズで話題
鈴木さんは昨年11月、公式Facebookの投稿で、カメラの演出機能を説明する広告動画に登場したことで注目を集めました。
▼話題になったポケモン公式Facebookの投稿
ピカチュウと一緒にびしっと必殺技のポーズを決める姿は83万回以上再生され、ネット上でまとめ記事が作成されるほどの反響を呼びました。
純粋にびっくりしましたね(笑)
ポケモンに関心がない友達からも「動画見たよ」って連絡がありました。普段はポケモンに接点がない人を含めて広範囲で「ポケモン」が話題になり、少しは広告に貢献できたかなと思っています。(鈴木さん)
株式会社ポケモンにて
商品部ではオリジナルグッズの企画を担当。私生活でも大のぬいぐるみ好きで、たくさんのキャラクターグッズ類を日々研究しているといいます。
この仕事は各自の裁量が大きく、企画立案から実際のメーカーとのやり取りまで任されるので、担当者の個性が出やすいです。
私の場合は、自分が欲しいと思える商品であるかどうかを大切にしています。たとえば、ぬいぐるみは“お顔”が可愛いことが絶対だと思うので、目や口の位置は微調整を繰り返します。元のポケモンの良さを損なっていないか、気を付けながらぬいぐるみにしています。(鈴木さん)
ピカチュウは「奥が深い」
鈴木さんはいちばん好きなポケモンは、最も有名だろうあのポケモンだ。
いちばん好きなのはピカチュウです!
皆さまによく知って頂いているからこそ、奥が深いんです。すでにたくさんグッズがあって、ぬいぐるみだけでもすごい量。過去のグッズと被りがなく、かつピカチュウをもっと魅力的に見せるグッズとは何かを考えています。
たとえば、白いピカチュウを作った時はポケモンの世界観として「ピカチュウ」が白くなることはありませんから、アートに登場する「雪像のピカチュウ」として商品化しました!(鈴木さん)
鈴木さんが担当したピカチュウグッズ(前列)
3月に創業地に最大店オープン
ポケモンのオリジナルグッズなどを扱うポケモンセンターは、急増する外国人観光客の間でも観光スポットとして定着しているといいます。
3月14日には、日本橋高島屋S.C.東館(東京都中央区)に「ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェ」がオープンします。25店目のオフィシャルショップで、初めてカフェを併設。カフェを合わせた店舗面積はポケモンセンター史上最大となるそうです。
日本橋はポケモンセンターが初めて出店した創業の地。地元自治体の中央区とも連携し、地域のにぎわいを生み出す拠点づくりを行うとしています。
「ポケモンセンタートウキョーDX&ポケモンカフェ」のオープン記念として新登場するグッズ
「ぜひお気に入りのポケモングッズを探してください!」と明るく笑う鈴木さん。その目には、世界的コンテンツを支える並々ならぬ情熱があふれていました。