木嶋佳苗、麻原彰晃が“ご近所さん”に… ネットで話題の新築マンション
東京都葛飾区小菅一丁目に、現在「ソライエ葛飾小菅」なるマンションが建設中である。そのものは何の変哲もない物件なのだが、一部ネットで話題を集めるワケは、その“ご近所”にあった。道路を挟んだお向かいに、およそ60名の死刑囚を収監する「東京拘置所」があるのだ。
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“東拘”で暮らす面々には、“毒婦”こと木嶋佳苗やオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫、秋葉原通り魔事件の加藤智大らの死刑確定囚がいる。このほか、刑事被告人や他の刑務所へ移送される受刑者が収容され、定員は3010人。全国に8カ所ある拘置所の中で最大の規模であるという。
地上8階建て、全191戸の「ソライエ葛飾小菅」が建つ土地は、もともと拘置所の官舎が建つ区画のひとつで、法務省が所有していた。近隣住民によれば、「近所にある別の官舎を建て替えることになって、あそこの官舎がいらなくなった。だから取り壊して東武鉄道に売ったみたい」とのこと。登記を確認すると、財務省への名義変更を挟み、2年前の2月に所有権が移転している。
「クソ物件オブザイヤー」にも
このマンション、東拘にいっさい言及しないことが、ネット上での“ネタ”化に拍車をかけた節がある。
例えば公式HPにある「ロケーション」地図を見てみても、近くの郵便局や交番、銀行が表示されているものの、その上部のスペースにはなにもナシ。東京ドーム4個分の敷地がぽっかりと空いているのは、なかなか不自然である。売り文句も「ちょっとスゴイぞ、コスゲ。」「コスゲー」の駄洒落と、“リバーサイドライフ”を謳うのみ。東西に流れる綾瀬川と荒川以外の立地には口を閉ざす。
こうした点について、SNSなどでは、
〈あの建物には触れないんだ〉〈よくこの場所の土地を仕入れた〉〈面会に便利そう〉
と言った声があがり、ヘンな間取りや立地、話題になった建物を表彰(?)する「クソ物件オブザイヤー2017」(主催:全国宅地建物取引ツイッタラー協会)の「分譲マンション賞」にも輝いた。今年10月中旬の入居開始予定時期に向け、2月下旬には第2期の販売が開始されるようだが、現状はどうなっているのだろうか。
モデルルームに行った客に尋ねると
「なんか、思っていたよりいいマンションみたいで迷ってます……」
というのは、モデルルームを見学した客のひとりである。
「東武鉄道の小菅駅、JRとメトロが止まる綾瀬駅のどちらも使えて、銀座まで25分くらいで出られます。モデルルームで見せられた紹介映像では、『東京駅から直線距離で10km圏内』『駅徒歩10分未満』『敷地面積6000�』周囲が道路の『独立敷地』の条件を満たすマンションはここだけ、とアピールしてましたね」
気になるお値段だが、HPの物件概要によると2900万円台~4888万円という価格帯で、間取りは58平米の2LDKから、79平米の4LDKまでと幅広い。近隣の新築マンションの中では高級な部類、東京23区内全体でいえばお買い得といえそうだが、これを高いと見るか安いと見るかは、やはり東拘をどう捉えるか、という話で……。
「下見で初めて現地に行ってみました。てっきり、高い塀がぐるりとまわりを囲んで……という場所かと思ったら、ものものしい雰囲気はありませんでした。敷地の奥にタワーがそびえ立っているだけで、マンション側からは圧迫感はありません。あのタワーの中が収容スペースなんですってね。拘置所のお隣という立地、私はぜんぜん構わないのですが、同行した妻は気にしていましたね。担当の方は『8割が南向きの部屋なので目に入りにくいですよ』とか『考え方によっては、これだけセキュリティが万全な地域はありません』と言っていたんですけれど」
このあたり、売り主の東武鉄道はどう考えるのか。現在の部屋の売れ行きと併せて尋ねてみると、
「入居をご希望されるお客様からの問い合わせは特段ございません。(ホームページの)『ロケーション』地図に拘置所がないのは、本物件周辺にある生活に便利な施設を紹介する目的のページだからです。現段階の申し込み件数は、公開しておりません」
果たして完売なるか。
週刊新潮WEB取材班
2018年2月12日 掲載