親子や夫婦などの共有名義でマイホームを取得するときには、誰がいくらのお金を出したかによって持分比率を決め、それに応じて共有名義で登記するのが原則。
そうしないで、たとえば夫婦で半分ずつ負担したのに、どちらか一方だけの名義で登記すると、配偶者間で贈与があったとみなされ、贈与税の対象にされかねない。
逆に夫婦や親子で協力して資金を出し合い、共有名義で登記すれば、税金はかからず、住宅ローン減税額や、すまい給付金の給付額が多くなるなどのメリットがある。
夫が会社員、妻が専業主婦でマイホームを買う場合、頭金として出す預金も夫名義で、夫の単独名義でローンを組むのであれば、100%夫名義にするのが原則。
しかし、専業主婦であっても、独身時代からの妻名義の預金が500万円あったり、妻の親から住宅取得資金として贈与を受けたお金が1000万円あったりした場合には、その分は妻の名義として共有名義で登記しなければならない。
それを夫の単独名義にしてしまうと、妻から夫に贈与があったものとみなされてしまう。仮に1000万円の贈与があったと判断された場合、年間の基礎控除110万円を差し引いた890万円に税金がかかり、
890万円×0.3(40%)-90万円(控除額)
の計算式で、177万円の贈与税になるので、注意が必要だ。
こんな税金がかからないようにするにはどうすればいいのかといえば、出資額に応じて持分を按分して登記することだ。たとえば――。
4000万円のマンションで、夫名義のローン2500万円、夫名義の預金500万円、妻が親から贈与を受けた1000万円を出す場合、夫は4000万円のうちの3000万円、75%の持分で、妻が4000万円のうちの1000万円にあたる25%の持分になる。
同じく4000万円の一戸建てを夫婦共働きで3000万円のローン、夫名義の預金500万円、妻名義の預金500万円の合計1000万円の頭金で買う場合は、まずローン借入額を年収で按分する。
夫が400万円、妻が200万円の年収なら夫のローン借入額は、3000万円×400万円/400万円+200万円で、2000万円になる。妻は残りの1000万円。
それぞれ預金と合わせると夫2500万円、妻1500万円だから夫が4000万円のうちの62.5%、妻が37.5%ということになる。その割合で登記すれば、贈与税の心配がないわけだ。