状態による水質の判断と調整法


状態による水質の判断
状況状態
アンモニア(NH3/NH4 +)過多 呼吸が早くなり鼻上げする/食欲がなくなる/目の白濁/遊泳困難
亜硝酸(NO2)過多 苦しがって鼻上げ等の酸欠に良く似た症状
エアレーションしてもなかなか回復しない
食欲がなくなる/魚がおびえやすくなる
pHショック pHの急激な変化(1以上)によるショック状態
切りもみの状態で遊泳し死に至る
pH不適当 生理機能障害/産卵機能障害/病気の多発/ストレス症状の多発/
浸透圧調整機能障害/体表粘膜分泌異常
高すぎ→肌荒れ/えらを傷める
低すぎ→魚が落ち着かなくなる/眼球が白濁する
総硬度(GH)不適当 産卵機能障害/ストレス症状/病気の多発/体表粘膜分泌異常
高すぎ→下痢/食欲不振/肌荒れ/痩せてくる
低すぎ→水が急激に酸性化する/肌荒れ/呼吸困難
炭酸塩硬度(KH)不適当 低すぎる場合pHの急激な変化につながる
ストレスの発生/病気の多発/生理機能の障害
酸素(O2)不足 鼻上げ・呼吸困難・窒息死/水草の呼吸活動阻害/
バクテリア減少・死滅
二酸化炭素(CO2)過多 鼻上げ・呼吸困難・窒息死/
二酸化炭素(CO2)過小 水草の生長阻害/水草の枯死
硝酸塩(HNO3)過多 水が酸性化する/眼球が白濁する/呼吸が早くなる


状態症状
ストレス 人影におびえる/餌を与えても近づいて来ない/いつも物影に潜む
体色変化(色が抜ける)/ヒレ部分の出血/神経過敏/成長の低下/衰弱死

状況から判断できる水質もありますが、多くの場合ある程度の経験が必要で また状況からは複数の状況が想定されて、特定できない事が多いのも事実です。
測定計や試験薬をいくつか使う事で、特定できなかったものを特定する事が可能になる場合もあり、いくつかの重要な項目に関しては測定計や試薬、試験紙による測定が出来た方が良いと思います。
特に pH計は水質管理に強力な武器になります。 次点は総硬度(GH)の試薬か試験紙でしょうか?
水槽立ち上げ直後なら次点として亜硝酸(NO3)の測定ができた方が便利でしょう。
もっとも、バクテリアが十分定着してしまったら酸欠などでバクテリアを大量に失った時くらいしか使わない気がしますが…

アンモニア(NH3)は水中ではそのほとんどがアンモニウムイオン(NH4 -)となり、アンモニアとアンモニウムイオンは pHと水温によって決まる比率で存在します。
その比率は pHが低い程、そして温度が低い程、アンモニアの比率が減少し、アンモニウムイオンの形態の時は魚に無害で、アンモニアの形態の時 魚にとって有害となります。
ですから、水中に存在するアンモニアの実質的な濃度を減少させる為には、pHを下げるか、水温を下げるという手法を用いる事も出来る事になります。
ちなみに 水温26°の時に pHが7.8では アンモニアとアンモニウムイオンの比率はアンモニアが 3.4%となります。
アンモニアを亜硝酸塩にするバクテリアは、硝化作用を行うバクテリアの中では増殖が早い部類であり、また中性から弱酸性を好むカラシンの類を飼育する場合、アンモニアの比率も必然的に低い値となります。 ですから通常はアンモニアの濃度があがって熱帯魚を失う事はあまりないかもしれません。
もっとも海水魚等、アルカリ性寄りの水質を好む魚等を飼育する場合には、アンモニアの濃度にも気を配るべきでしょう。


水質の調整法
pH
酸化アルカリ化
リン酸、硝酸、ピートや流木を投入重炭酸ナトリウム、珊瑚石や貝殻を投入
二酸化炭素を添加エアレーション
pH降下剤を投入pH上昇剤を投入
換水によって中性化
急激な(pH値1以上)の変化はpHショックを引き起こし、魚を殺す事になります。
水(H2O)の中の、水素イオン(H+)は水を酸性にし、水酸イオン(OH-)は水をアルカリ性にします。

硬度(GH)
上昇(硬水化)下降(軟水化)
珊瑚石や貝殻、砂利や石を投入イオン交換樹脂、ピートや流木を投入
硬化剤を投入軟化剤を投入

水草を投入
換水によって中性化

炭酸塩硬度(KH)
上昇下降
KH上昇剤を投入KH降下剤を投入
KHがGHに含まれる事から、GHの増加/減少を行って、GHと共にKHの増減を行う
(たぶんこれでいいんじゃないかという予想(^^;)
換水によって中性化
状況対策
アンモニア(NH3/NH4 +)過多 pHを下げる/温度を下げる/ゼオライトや活性炭を投入
3つの内 最初の2つは硝化作用の原料たるアンモニア自体を減少させる訳ではない為、亜硝酸塩を硝酸塩にするバクテリアが繁殖していない場合、いずれ亜硝酸塩に悩まされる可能性が高い
亜硝酸(NO2)過多 ゼオライトや活性炭の投入によって亜硝酸塩の原料となるアンモニアを減少させる/好気性バクテリアを増やす努力をする(好気性バクテリアが増えるまで我慢する)
pHショック ショック状態であり、復活は難しいかも知れない。
このような状態にしない為にも 急激なpHの変化を起こさない為 水槽に何かを入れる時、濾材を変更する時には最新の注意をしたい(^^;
水槽のpHを急激に変化させてしまった場合は元の状態に近づける/新しい魚やエビ等をを投入する場合は pHショックを起こさないよう徐々に水層の水質に慣らすようにする/二酸化炭素の強制添加時に大量のエアレーションを行うと急激にpHが上昇する場合がある
酸素(O2)不足 エアレーションを行う。
酸素不足となった場合、多くの好気性バクテリアを失った可能性が高い。 バクテリアの繁殖を行う努力をするべきかも知れない。
二酸化炭素(CO2)過多 エアレーションを行って、酸素を添加し二酸化炭素を放出する
二酸化炭素(CO2)過小 二酸化炭素の添加を行う/pHやKHをさげて自然に二酸化炭素が融解するのを促す
硝酸塩(HNO3)過多 水換えを行う/還元、脱窒素のバクテリアの繁殖を促す努力をする


Last modified: Mon Jun 29 00:39:31 1998