毎月恒例の面白かった漫画の紹介をしていきます。
読んだ漫画の冊数は38タイトルの78冊。
2月は読むと優しくなれる作品やこれまで見逃していた隠れた良作に多く出会えた月でした。
一見うーんと思うような作品でも噛めば噛むほど味のある、そんな2月のおすすめ漫画の感想をまとめました。
先月はこちら
それでは早速紹介していきます。
今月のピックアップタイトル
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん(1~9巻/長田悠幸×町田一八)
伝説のギタリスト ジミ・ヘンドリックスに取り憑かれて27歳までに伝説を作ることになった高校教師の話。イロモノっぽい掴みではあるが圧巻の熱量をもってして特に5巻辺りからギュンギュンに盛り上がって勢いが止まらない。
要所でジミヘンの超絶テクに助けられ触発されながら軽音部が一人また一人と己の限界を越えようともがき成長していく様には込み上げるものがある。
9巻では対立していた吹奏楽部にスポットを当てとんでもない提案をしてきた。
彼女たちなら伝説を作るかもしれない。そんな予感にすごくワクワクする。
なつやすみの友(全1巻/雨野さやか)
ひとしきり遊んだあとにする線香花火のように、もの悲しさと楽しかったひとときを思い返す嬉しさが入りまじる良作。
同時発売の『星の砂 雨野さやか短編集』も読んだ感想としては両方読むことで作者の確かなストーリーテラーとしての実力を磐石にするものに感じるので併せて読むことを勧めています。
個人的には先になつやすみの友を読んで世界観に浸ってから読むのがいいかもしれません。
不倫という背徳感のあるテーマ、そして大人の女性と少年という組み合わせに『私の少年』や『あげくの果てのカノン』のような得も言われぬ趣深さを連想したのですが、それとはまた異なるベクトルで心に響く巧みな描写が光ります。
赤が似合うと言われて大切にしてきたものを捨て自分の色を選んだ瞬間には何だか込み上げるものがありました。
どちらも1冊300ページを超えるボリュームで満足感と清涼な読後感を味わえます。
全1巻なので気軽に手を出してみてください。
ジャヒー様はくじけない!(1巻/昆布わかめ)
魔界No.2(元)のジャヒー様がなんやかんやあって現代日本にやってきて色々頑張るお話。
魔界ではやりたい放題だったジャヒ―様も、こちらの世界では魔力がないため可愛らしい姿に。
根っからのお調子者でちょっとうまくいくとすぐ調子に乗って空回りする姿がおいたわしい。
尊大な態度だと読んでてイラつくところもあるかと思っていましたが、ポケモンのムサシとコジロウみたいにちょっとうざいけど何故か憎めないキャラで応援しなきゃ(使命感)という気持ちにさせられます。
また、大家さんや店長、手下のドゥルジなどジャヒ―様を取り巻く周囲の登場人物たちもキャラが立ってて読んでて楽しいし、そうしたキャラの良さだけでなくきちんとコントのように前振りとオチのついた話で大変楽しく読むことができました。
2巻でちょっとストーリーも進むみたいで次巻が楽しみです。
薬屋のひとりごと(2巻/原作:日向夏、作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)
1巻では宮中で巻き起こるミステリーが中心でそれはそれで面白かったが2巻では本性隠さなくなって更に面白くなりました。
嫌な人と良い人の配置が上手いので不快さは最小限に爽快感を味わえる。
ドスの利いた表情で脅したり、毒食って惚けたりコロコロ変わる表情がとても面白い。主人公なのにマッドサイエンティストっぽさがクセになります。
二月の勝者 ー絶対合格の教室ー(1巻/高瀬 志帆)
「はじめまして。君達全員を第一志望校に合格させるためにやって来た、黒木蔵人です。」
本作は中学受験をテーマにした話。これまで受験漫画と言えば『ドラゴン桜』一強であったがそこに名乗りを上げようとする漫画が現れた。
「絶対」という言葉には多大な責任が伴うものであるが、確かな理論とインパクトのある言葉を持ってして物語に説得力と求心力を持たせています。
この漫画をきっかけに中学受験を目指す人が出てきたり、おかげで不安の募るセンター試験改革に向けて、多くの受験生そして保護者が為になった、支えになったという声が聞ければいいな。
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1~12巻/谷川ニコ)
何やら12巻のAmazonレビューがすごいことになってると聞いて一気読み。
序盤はぼっち喪女の痛い話で、弟に対して「歩く生殖器」「存在がレッドカード」と言い放ったりヤンキーの乳首つまんだりとギャグ漫画としてのポテンシャルは高め。
ただ主人公の言動でわかる通りアニメ化した作品にあれですが読む人は選びます。
そんなギャグ漫画であったはずのこの作品が何故こんな高評価の嵐になっているのか更に読み進めると、本当に気付かないうちに青春群像劇になってるのに驚かされます。
ゆうちゃんや従妹のきーちゃんでもこっちの毒を中和していき、ヤンキー、ガチレズ、ゆりと周囲のキャラの面白さがストーリーを重層的にした結果が今回の卒業式をきっかけに爆発させています。
無為に過ごしてるようでちゃんと意味があったんだと後々気付くのはまさに青春。
サラッと流されてたけど三者面談で親が言ってた「学校に行きたくないと言わなくなった」という台詞が結構心に残った。もこっちとしては何の気なしに言ってるだけで深刻な話でもない、ただ「気付いたら言わなくなってた」だけなんだけどそこら辺に成長を感じる。これは年を取るほど胸にくる漫画だと思う。
以上が2月のピックアップタイトルでした。
続いては新規開拓した1巻を中心に紹介していきます。
コールドゲーム(1巻/和泉 かねよし)
ここはあらゆる陰謀と策略が蠢く宮殿。ドレスが甲冑、笑顔が盾。
女性が自分自身を守るにはあまりにも無力で理不尽なこの世界でできるだけ憎まず争わず生きていければいい。そんな願いが叶うはずもなく…。
秘密と野望を抱える少女の、恋とプライドを懸けた宮廷サバイバル。
1巻は壮絶な物語の序章という感じですが大ヒット作『女王の花』の作者の最新作ということで、これから更なる盛り上がりを見せてくれそうな予感を感じさせます。
魔女の怪画集(1巻/晴智)
絵を所有する者に奇跡を起こす少女アイシャの描く怪画を巡る額装ファンタジー。
舞台となるのは少女が魔女と称され消えた後の世界の話であるが、果たしてこの少女がどうして生まれたのか、そのルーツが気になる引きでした。
悲しいお話ですが決して後ろ向きな話ではない。怪画を封印したあとに語られる美しい絵にも注目して欲しい。
星の砂 雨野さやか短編集(全1巻/雨野さやか)
なつやすみの友と同時発売の短編集。両方読んだ感想としては併せて読むことで作者の確かなストーリーテラーとしての実力を磐石にするものに感じるのでどちらも読んでみて欲しい。
手に握るものはガラス玉かビー玉か、はたまた宝石か、いずれにせよキラキラしたものに違いない。こぼれ落ちないようにしっかりと握りしめたい。
おじさまと猫(1巻/桜井海)
とても暖かく素敵な関係がこの漫画にはあります。
ぺットショップで誰からも見向きもされなかった猫のふくまるがおじさまと出会うことで愛情を知り、おじさまもまたふくまると出会うことで生き甲斐を得る。そんな二人の関係に何もしがらみもない。
心の底から「出会えて良かったね」そう思える素敵なお話です。
スナックバス江(1巻/フォビドゥン澁川)
ヤンジャンで一番イカしたやべーやつ。キレッキレの台詞回しで常に臨戦態勢で攻めてる。ポプテピピックが流行るぐらいだしフォビドゥン先生が認められる日もきっと近い。
世界で一番おっぱいが好き(1巻/昆布わかめ)
「今日も最高のおっぱいだね♡」という最高に最低な台詞や溢れんばかりの豊満なおっぱいが印象的なちょっとおバカな百合ラブコメ。
欲求に素直な女子高生を面白おかしく描いており、おっぱいへの愛を絶え間なく感じる一作です。
ピックアップで取り上げた『ジャヒ―様はくじけない!』共々読んでてとても楽しい話と作画で今までどこに隠れてたんだと不思議で仕方ない期待の新星です。
表紙に惹かれたなら間違いなく「買い」。おっぱいは世界を救う。
以降は新作旧作を交えながら紹介していきます。
ギャルごはん(3巻/太陽まりい)
2巻の最後に登場した副会長の藤原さん登場でラブコメが更に加速。とてつもない破壊力で読んでて最高に悶えます。他のレビューからの引用ですが
ギャルがピュアで可愛い、可愛すぎる。反則級。これに尽きる。
この巻ではギャルの岡崎みくが恋する矢部先生に弁当を渡す回がある。
そこで先生がぽろっと女の子から弁当をもらうのが夢だったと言った時、岡崎は照れ顔をしながら小さくガッツポーズをする。それがもう可愛すぎてだめなのだ。ダメ。ダメだ。語彙力を失う。
王子が私をあきらめない!(3巻/アサダ ニッキ)
ベッタベタの設定でもお約束のような展開でも突き抜ければ面白くなることを証明してくれる漫画。
歩けばどぶ川がみる間に浄化され、ゴムのような肉がA5ランクに様変わりするような超人でも小梅には敵わないのがいい。お約束のようなライバル登場でどう話が転がるか次巻も楽しみ。
Dr.STONE(3~4巻/作画:Boichi、原作:稲垣 理一郎)
単純明快、スピーディーでパワフルな熱い展開ですごく面白い。
自分がジャンプに求めてるのをこれでもかとやってくれる。登場人物は男気に溢れてカッコいい。
特に眼鏡作りのエピソードはかなりお気に入り。スイカの立場になると感動しっぱなしだろうなと初めて見聞きした出来事に遭遇したときのワクワクが蘇る。
彼方のアストラ(全5巻/篠原 健太)
各所で話題になっていたので一気読み。良質なジュブナイルSFミステリーとしてこれから漫画を知っていく少年少女に勧めたい一作。
「これから漫画を知っていく少年少女」という制約を付けたのは作者ではなくスケットダンスのファンだった人であったり、登場人物や世界観をこれでもかと掘り下げられる長編漫画に慣れた大人にとってやや物足りなさを感じる人が少なからずいるように思えたからだ。かくいう自分がそう。
ただ「面白いミステリー漫画がある」という触れ込みで手に取った人や全5巻という手に取りやすさに惹かれるならかなり記憶に残る作品になる可能性は非常に高いです。
4巻の怒涛の展開は一見の価値あり。
1巻のレビュー数より最終5巻のレビュー数の方が多いのはこの作品が愛されている証拠です。
海辺のエトランゼ(全1巻/紀伊カンナ)
「俺、駿のこと好きだよ」「だから俺のこと好きになってよ」
たまたま同性が好きになっただけ。そんなBLなら多分問題読めるという内容を以前ブログに書いたらコメントで勧められた本作。理解する気もない者からの悪意に満ちた言葉は少なく優しい世界観であるが、きちんと前に進もうとする展開なのが非常に良かった。
ノーマルな実央がゲイの駿に好意を寄せられて再びやってくるのに3年の月日を経過させたのも非常に好感の持てる話運び。続編で彼らとその周囲がどう変化するのか楽しみ。
もちろんこれだけでも十分に楽しめるすっきりした読み口です。
春風のエトランゼ(全3巻/紀伊カンナ)
『海辺のエトランゼ』の続編で駿の実家を訪問したところからスタート。
久々に戻ってきた実家には見に覚えのない弟がいたり少し複雑な新しい環境での二人の関係性をコミカルにすっきりした読み口で描かれとても読みやすかった。
深刻になりがちな局面でも優しくあっけらかんとした部分はあるので重厚さを求める人には少し物足りないかもしれないが、個人的に細田守作品のように朗らかで爽やかな作風は、BLに触手が伸びなかった人でも読みやすいと思います。BL初心者におすすめ。
剣姫、咲く(3巻/山高 守人)
「アイツにとって剣道は呪いなんだよ」
咲姫の一途で歪な剣道への気持ちに踏み込もうとする引きの強い巻。
2巻から3巻にかけて描かれた諸葉と火之浦の戦いは百合方面でも注目を集めつつある本作を更に盛り上げることになっていて良い。
とはいえメインはド派手なアクションで魅せるスポ根剣道なので、例えば『はねバド!』のように主人公がやべーやつな漫画を探してる人にオススメ。主人公、作者ともども今後の進化に期待。
BEASTARS(7巻/板垣巴留)
「この世の獣は2つに分かれてるんだ」「それは肉食と草食という単純なものではなく…もっと複雑で明確な2つ」
ルイが学園から去ったことで歯車が大きく動き始めた。罪の意識もなく愉快に笑う犯人の正体が分かるとき物語は間違いなく大きな転換期を迎える。タイトルにSを付けた意味であったりレゴシの考え方も変わっているかもしれない。その瞬間が非常に楽しみ。
求められる新しいヒーローはこれまでのビースターとは一線を画すものになるだろう。青春ヒューマンドラマと称するには非常にドロドロしているが読みごたえは週刊連載の中でもピカイチ。
タビと道連れ(全6巻/たなかのか)
今日が終わるとまた今日が始まる街のお話。同じ一日を永遠に繰り返していた街に突如現れたタビの閉ざされた心が、この閉ざされた街で少しずつ開いていく少し不思議なSFファンタジー。
1巻の時点では謎ばかりでどうなっているんだ…って感じだったけど読み進めていくうちにどんどん回収されていく伏線が快感。
作者の言葉や孤独に対する感性がかなり鋭くちょっと難解な所もありますが、その繊細なストーリーに惹かれる人は多いと思います。
不思議と現実が絡み合って、皆が皆を救い、救われる物語。
おわりに
以上21タイトルでした。
今月から「面白かった」から「おすすめ」にタイトルを少し変更しましたが内容に大きな変更はありません。
以前は「おすすめ」という言葉に責任みたいなものを感じていたので「(個人的に)面白かった」という体でやっていましたが、そういうのいちいち気にしても仕方ないですよね。
紹介した作品の中から読みたいものを自分で取捨選択できる能力は皆備わっているだろうと踏んでます。
ただ特にプッシュしたい作品、特に面白かった作品はやはり多くの人の目に留まって欲しいのでそこら辺を上手いこと興味持ってくれるよう、これから改善していきたいと思います。
面白いと言ってもジャンルが違えば、読む人が違えば好みや見る箇所は違いますが同じように面白いと思ってくれる人がいればとても嬉しいです。
私のブログ以外にも漫画ブログがいくつかあるので上手いこと活用してお気に入りの漫画を見つけていきましょう。
このマンガ一巻がすごい!2018年02月編 | マンガ一巻読破
【月間ランキング】2018年02月に購入した、おすすめ漫画ランキング!【マンガ感想・レビュー】 - 勤務医開業つれづれ日記・3
今月はこれ以外に上半期の注目の新作を先取りして紹介しています。
まだ発売していない作品も多いですが店頭で見かけたらぜひ手に取って読んでみてください。
それでは今回はこの辺で。
読んでくださりありがとうございました。それではまた。