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「新しい時代のことに興味があった」KDDI田中社長へのラストインタビュー:週刊モバイル通信 石野純也

就任後スマホへと急速に舵を切った経緯や、5Gへの展望などを聞きました

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自他ともに認めるガジェット好きで、発表会では大手キャリアのトップとは思えない奔放な発言も多かったKDDIの田中孝司社長。同社初のWindows Phoneとしてリリースした「IS12T」の発表会で、ガジェット好きの「プロ」としてコメントしたことが受け、ネット上では「田中プロ」という愛称で親しまれています。

そんな田中プロが3月いっぱいでKDDIの社長を退き、EZweb時代"顔"としてauに様々なサービスを導入してきた高橋誠氏に、その座を譲ります。惜しまれつつも、KDDIの社長を退任する田中プロですが、現在開催中のMobile World Congressで、同氏にお話を伺うことができました。その一部始終を、田中プロ・ラストインタビューとしてお届けします。


▲社長交代の発表で、高橋誠氏(右)とガッチリ握手をかわす田中氏


――KDDIの社長として、スマートフォンへの移行を加速させてきました。まずは、8年間を振り返っていただけますか。

田中氏:僕の時代はちょうど4Gやスマホが伸びていく時代でした。地震(東日本大震災)があって、最初はとにかく大変。モメンタムを上げていくのも苦労しましたが、iPhoneの導入やスマホの浸透で、会社自身は順調に伸びていきました。

(社長を交代してから)少し間は空いてしまいますが、これから5Gの時代がきます。ネットワークはネットワークでやらないといけないが、だからといって、料金を倍にすることはできませんよね(笑)。その時代には高橋が最適だと判断しました。


――5Gは各社が異業種とのコラボレーションを加速させていますが、一方でキャリアごとの差が見えづらい印象もあります。

田中氏:ベースラインのところはやっぱりキャパシティ(容量)で、今のスマホがもっと速くなるというところは変わんないんじゃないかな。グローバルで見ても、特にビデオが増えてデータ量が上がっている。その流れは変わらない。

より速く、より快適にというのがベースにあって、そにプラスαして、いろいろなアプリケーションが出てくるんだと思います。

(今の)ネックと言われているレイテンシー(遅延)については、(5Gの導入で解決するには)少し時間がかかる。だから、モバイルブロードバンドというところは変わらないんじゃないかな。10年スパンで見て、いろいろなケイパビリティ(能力)はあると思うけど、それは高橋が考えます(笑)。



――田中社長就任前は、むしろKDDIはスマホでは後れを取っていて、就任直後から一気に舵を切った印象があります。

田中氏:急に舵を切ったよね。スマホでは、昔のような垂直統合モデルがワークしない。昔はキャリアのゲートウェイを通らないとなかなか何もできなかったけど、スマホはアプリを入れるだけで使える。そういった意味で、(キャリアは)タッチポイントを失っていきました。

KDDIはスマホシフトに遅れたということがあったので、まず大きく舵を切りました。あとは、スマートバリューで、値段を安くするから固定も買ってねというバンドルプランを始めました。アプリをアグリゲーションして、プラットフォームをつけてスマートパスを作ったのも、そのころですね。

――スマートバリューでのセット割は、他社を先駆けていました。

田中氏:今でこそ他社もバンドルサービスをやっていますが、昔は投資家から、こんなの絶対に成功しないと言われていました。歴史的に見ても、バンドルサービスで成功したものがあまりなかった。

通信業界でもなかったし、通信以外でもバンドルサービスは売上減につながると考えられていました。料金を下げてますからね。それでアップセルをする必要がありますが、アクセルとブレーキの踏み方が難しい戦略です。

――好調だった一方で、ここ1、2年はMVNOやワイモバイルに対して、苦戦しているようにも見えました。

田中氏:あまりMVNOに対して積極的ではなかったですからね。なぜかというと、自分たちのお客さんが流出しちゃうから。ところが、さすがに(MVNOのユーザーが)増えてきたので、これはまずいということで、旧来のキャリアプランとMVNOの間のところに、新料金プランを入れました。

それがワークして、解約率も落ちてきたし、いわゆるMVNOを足したモバイルIDも増え続けている。MNOのauからの流出も減ってきた。対MVNOという意味では、コントローラブルなところまで戻ってきたところで、ちょうど社長交代という流れです。



――田中社長と言えば、「IS03」発表時にSkypeを「禁断のアプリ」と呼んだことも記憶に残っています。当時は「Jibe」というアプリもありました。そのJibeは今、Googleに買収され、SMSの進化版といえるRCS(リッチコミュニケーションサービス)のためのアプリになっています。日本でもRCS導入の報道がありましたが、いかがですか。

田中氏:それはあんまり言えない。広報コメントとしては、検討中(笑)。導入するかしないかはノーコメントですが、RCSはキャリアにとってのアプリケーションサービス。

キャリアはパイプを提供するのが基本で、アプリケーションといえば電話とSMS、あとはEメール、キャリアビリング(決済)ぐらい。そんなもんで、それ以外に大きいものがない。その意味で、RCSはビッグチャレンジですね。

――RCSは何年も前から検討が続けられてきました。今年のMWCでも話題になっていますが、ようやくといった印象があります。

田中氏:つながる、というのは自分1人ではできないですからね。確かにグローバルでは、何年も前からああだこうだ言っていました。時代がそういうふうになってきたんでしょうね。こういうものは、自分のドメインの中だけなら、やろうと思えばできる。
今だとVoLTEもそうで、VoLTEで他社と接続できるかといえばそうではないでしょ。

――VoLTEも相互につなげていきたいということですか。

田中氏:そうそう。わざわざダウングレードする必要はないじゃない(笑)。国際間でも、ちょっとずつ増えてきています。


▲発表会後などの囲み取材では、注目の発言が飛び出すこともあり、話を聞く記者が絶えなかった


――スマホの立ち上げ時に社長だったこともあり、田中社長といえば、様々なOSにチャレンジしてきたという記憶があります。これについてはいかがですか。


田中氏:チャレンジすることに意義があると思っています。ほとんどがiOSやAndroidになることはみんな分かっていますが、それだけだとちょっと、ね。世の中が2種類だけに分かれるのはちょっと変で、おもしろいという人が増えてほしかった。

昔のフィーチャーフォンは、訳のわからない端末があって、ああいいうのを見るとワクワクしたでしょ? 今は全部が板型で変わらない。ただ、10年で見ればその通りかもしれませんが、30年、40年スパンで見れば、常に変化はあると思います。そういうところにはチャレンジすべきですね。

――5Gでユースケースが変わると、端末も多様化するのでしょうか。

田中氏:期待したいですよね。アーリーステージのものを不備があるといっても、仕方がないと思っています。

僕は今だと、スマートスピーカーですね。あれはいいんじゃないかと思っています。便利だし。まだちょっとおバカだけど、だんだん賢くなってくる。スマホにしゃべりかけるのはあんまり好きじゃなかったけど、家の中にスピーカーがあれば楽ちんですよね。



――田中社長というと、ネットでは「田中プロ」の愛称で親しまれていました。ご自身は、その様子をどうご覧になっていたのでしょうか。

田中氏:僕は素がガジェット派だからね(笑)。Windows Phoneのときにそう(プロと)言ったけど、今でもあれっていいよねって思っています。

万人受けはしないかもしれないですけどね。新しい時代のことに、興味があったんです。(ネットを見て)結構みんな無茶苦茶言うなぁ、ヒドイなぁと思うこともありましたけどね(笑)。僕は関西出身なので、笑いの文化があるんだと思っています。

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