トヨタ自動車は2日、デンソー、アイシン精機と共同で人工知能(AI)など自動運転技術を開発する新会社を設立すると発表した。技術者を中心に1000人規模で今後数年で3000億円以上を投資する。トヨタは2020年から自動運転車の本格投入を始める計画。国内外の技術者を大量採用してAIの応用技術やソフトウエアなどの開発スピードを高める。
新会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント」を3月下旬までに東京都内に設立する。AIを使った画像認識や運転時の状況判断、自動運転に使う高精度地図の自動生成技術などの開発を進める方向だ。
トヨタは16年、米国にAI研究開発子会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)」を設立して自動運転の基礎技術を研究している。トヨタ本体では製品化に向けた開発を手掛けてきた。自動運転車の実用化に向け、新会社ではデンソーなどグループ各社が持つ技術や人材を集約する。
まずはトヨタから200人、デンソーやアイシンなどから100人が出向して300人体制で事業を始め、数年内に1000人に人員を増やす。英語を公用語とし、国内外の優秀な技術者を積極的に採用する方針だ。
新会社の最高経営責任者(CEO)にはトヨタのTRIで技術部門トップを務めるジェームス・カフナー氏が就任する。同氏は米グーグルのロボット部門長として自動運転技術の開発を担っていた。
トヨタは20年に高速道路での自動運転技術を実用化し、20年代前半には一般道にも広げる計画を持つ。同時に高速道路などエリアを限定した上で完全自動運転ができる「レベル4」相当の技術の確立も目指している。
今年1月には米アマゾン・ドット・コムや中国ライドシェア最大手の滴滴出行など5社と共同で自動運転技術を使った新たなモビリティーサービスの創出で提携すると発表した。
AIやソフトウエアなどの分野では多くの業界で優秀な技術者が不足している。トヨタが国内でも人材の大量採用に乗り出すことで、人材の獲得競争が一段と激しくなる可能性もある。