「マイルドヤンキー」を異常と思う東京圏こそが異常である
先日のエントリー「『マイルドヤンキー』はアメリカ先住民ではなく英国人である」で、最近流行のマイルドヤンキー論について触れたが、さらに考えてみると、これは日本社会の分断、東京圏の孤立を象徴する傾向ともいえる。
日本社会が分断されているといっても、「マイルドヤンキーが出てきたということは、日本社会が分断されたということである」という意味ではなくて、「もともと存在していた一定のライフスタイルを今更『再発見』して『マイルドヤンキー』と呼んで珍しがるほど、東京圏のライフスタイルは特殊なものになっている」という意味である。
マイルドヤンキー論を唱える者に言わせると、たとえば以下の特色は「異常」なことなのである。
この特徴のうちで比較的新しい傾向といえば、子どものキラキラネームくらいであって、それ以外は昔からどこにでもあったライフスタイルのはずである。このように昔から一定の割合で存在したライフスタイルなのに、それが「コロンブスのアメリカ先住民発見」のように、「最近まで未知だったものを初めて見つけた」かのように騒いでいるのが、博報堂などで仕事をしている東京圏のマーケティング関係者ということになる。
なんのことはない。逆に東京圏の人間こそ、生まれ育った地元で暮らし、小学校時代からの友人と付き合い続けることが、理解不能な異常行為としか思えないような生活状況になっているということであろう。今までは異常ではなかったことが異常に思えるようになってきたからこそ、(東京圏の)メディアで取り上げるようになったのである。
マイルドヤンキー論が照らし出しているのは、異常ではない生活を異常と感じるようになってしまった東京圏の異常さである。
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そういう層は昔からいたという指摘はおっしゃるとおりですね。
ただそれが一気に増えたという実感は地方出身者としてあります。
一昔前のマンガでも湘南爆走族、ビーバップハイスクールからカメレオン、特攻の拓など不良漫画全盛だったころの田舎のヤンキーは酷いものでした。しかし今はそんなバイオレンスな部分を誇る層はほとんどいません。(もちろんごく一部にはいますが)
要は全体的な嗜好がどんどんマイルドに寄っていっている、そしてそのマイルドな層は昔であればヤンキーになってバイオレンスに夢中になっていた層が担っている。そういう認識です。
あんまり都会からの視点がどうこうってのは関係ない気がします。
投稿: こま | 2017年11月10日 (金) 11時40分
東京で生まれ育った人間の意見は無視かよ
博報堂とか、TV業界だとか、派手な生活を好む奴らは
東京人じゃなくて地方出身者中心なんだからな
あまりにも偏った視線と意見で驚くわ
投稿: かなみん | 2017年11月11日 (土) 11時54分
昔から存在していたと書かれているヤンキー的な人種は、こまさんの書かれているようにもっとワイルドだったし、そしてそれも元々アメリカのストリートギャング文化の模倣だし、そんなに目くじら立ててどれが正常だ異常だと言うほどの事では無いかと。
投稿: とら | 2017年11月11日 (土) 12時01分