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【格闘技】

山中「ふざけるな!」 ネリが体重超過で王座剥奪

2018年3月1日 紙面から

計量で2.3キロオーバーとなったチャンピオンのルイス・ネリ(手前右)と、にらみつける挑戦者の山中慎介=東京・飯田橋のホテルグランドパレスで(河口貞史撮影)

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 世紀の因縁戦がまさかの事態になった。3月1日のボクシング・ダブル世界戦(東京・両国国技館)の前日計量が28日、東京都内であり、WBCバンタム級王者のルイス・ネリ(23)=メキシコ=が体重超過で失格となり、王座を剥奪された。上限53・5キロに対し、1回目は2・3キロオーバー、2時間後の再計量でも1キロ減らすのが精いっぱいだった。前王者の山中慎介(35)=帝拳=は200グラムアンダーの53・3キロで一発クリアした。山中が勝てば新王者となり、ネリが勝つか引き分けなら王座は空位となる。

 「ふざけるな!」

 ネリの大幅な体重超過が明確になった瞬間だ。どよめく報道陣を貫くように、山中の怒りの声が周囲に響いた。自らの計量では、はかりの上から鬼の形相でメキシカンをにらむ。会場を去る際には、怒りのあまり涙も浮かべていた。

 それも当然だ。昨年8月に不本意な4回TKO負けでV13を阻止された。それ以来ずっと、再戦を狙ってきた宿敵が、2・3キロ(1回目)もの体重超過。ひとつ上のスーパーバンタム級(55・3キロ)さえ越える体重で登場したのだ。

 ネリ陣営によると、今回の減量は2カ月前にチームに合流したペレス栄養士が担当。水抜きと言われる、意図的な脱水状態を作って体重を落とす減量に取り組んだが、これが失敗したという。ペレス栄養士は「今朝で3キロオーバー。私の経験では落とせるはずが、ネリの体質が合わなかった。私の責任。山中には申し訳ない」と説明した。

 その後、ネリは縄跳びなどで汗を流し、時間切れ寸前まで粘ったが、再計量で落ちたのは1キロだけ。結局、1・3キロオーバーで王座は剥奪され、1日の試合は山中のみに王座の可能性がある変則タイトルマッチになった。

 「試合中止の選択肢もあったが、事情があったというし、再計量までに1キロ落としてきたので(試合は行う)。体重差がついて山中は苦しいが、いい結果が出るよう祈るしかない」と、帝拳ジムの本田明彦会長。ネリは試合当日正午の計量で58キロを越えていた場合、何らかのペナルティーが科されるという。

 「2時間で1キロ落とせるなら、最初の計量までに落としておいてほしかった。両者万全でやりたかった。でも試合はある。気持ちを整えて向かいます」と山中。ネリは昨夏の王座奪取後もドーピング検査で禁止薬物ジルパテロールを摂取していたことが判明している。山中は体重の不利をはねのけて、失態を続ける相手を倒すことができるのか。(藤本敏和)

 

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