こんばんは。今日は夜の投稿です。
今日は昼から喫茶店に行きなかなか読み進んでいなかった本を読みました。集中して読んだ甲斐があり、あっという間に読み終えることができました。また内容的に非常に興味深い所があったので、その一部分を紹介したいと思います。
『人口減少時代の都市 成熟型まちづくりへ』は中公新書から出版されいるもので、タイトルからはとてもネガティブな印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。現在の日本は地方都市を始め人口減少が起こり始めており、今後は大都市においても人口減少を避けるのは不可避である。その結果経済規模が縮小し、都市が赤字になり潰れてしまう。そこで逆に人口減少をチャンスと捉えて、成熟型のまちづくりを行っていくことを提案しているのが、この本の趣旨となっています。
考えてみれば現在までの日本の都市は、戦後から人口拡大を続けておりそれに見合った仕組みづくりなどは進んでいました。しかし逆に言えば人口減少などが起こったことは無いので、それに対応できるノウハウが無かったというのが、日本人が危機感を抱く要因な気がします(もちろん私もですが)。
その中で個人的に興味を持ったのは、富山市が行っている都市計画についてです。具体的な方針としては公共交通機関の沿岸に沿って居住を誘導するものです。つまり現在進んでいる一極集中を目指すのではなく、むしろ多極化をつくってそれらを公共交通機関のネットワークで結ぶ考え方です。
政策の核となったのは鉄道、ライトレール(路面電車)、バスなどの充実です。実際に富山市は公設民営として日本初のLRT(次世代型路面電車システム)を導入しました。(下図)
また居住推進地域への経済インセンティブを建設事業者と市民に付与することです。さらに富山市の特徴として中心市街地の都市景観を創出しようとしている点があります。これまでは収益にならない分野としてあまり着手さえていませんでしたが、ここを改善することによって魅力が生まれ、結果的に人口増加や経済の発展を生むことが出来ます。
他にも様々な政策を行いましたが、特に重要な点として
①公共交通機関の充実が基本
②商業は民間に任せ、市は民間が担えない基盤整備とまちづくり機能に特化し、両者の役割分担を図る
③中心市街地と公共交通期間への多極的な居住を促進し、決して一極集中を促さない
④居住推進地域へは強制によるのではなく、経済的インセンティブを用意したうえで、あくまでも市民の自発的意思によって移転するものとすること
⑤こうした都市政策が実は最終的に税収の増加という形で経済的なメリットを生み出すこと、それが市民の福祉水準の向上に還元されることを丁寧に説明し、政策の合意形成を図るべきこと
以上5点にまとめることができます。
もっと詳しく知りたいという方は以下のサイトがよくまとめられているので、紹介したいと思います。
この本には富山県の他にも様々な例を紹介していますが、続きは本をご覧になっていただけたらと思います。
私が一番感じたのは、動かないとそのまま消滅するのは仕方ないということです。特に人口減少が起こることが分かっており、そのままの政策でうまくいく根拠は何もないわけです(というよりだからこそ赤字になっている訳ですが)。だからこそしっかりと現実と向き合い、改めて時代に合った政策を打ち出すことが重要だと思います。また市民も真摯に問題と向き合って自主的に参加する必要性もあります。
この本を読んであまりネガティブに考えなくなった点は、自分にとってはとても良かったことです。また、この記事を読んで少しでも興味を持っていただけらば、この記事を書いた意味はあったのかなと思います。
今日は以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました(*^-^*)