同僚はブロックできるか

(仮定の話で、別に私が今の会社に不満を抱いているわけではない、念のため)

LINEでもTwitterでもFacebookでもInstagramでも、気に入らない人がいたらブロックできる。ブロックするとその人からのメッセージは一切届かなくなる。世の中には不愉快な人がいるので、ブロックはデジタル化されたソーシャル・コミュニケーションにおける権利となってきている。

社会におけるコミュニケーションツールの普及に伴い、企業内でも類似のコミュニケーションツールを導入する例が増えている。私の場合、Facebookでは自社製のWorkplaceを使い、現職ではSlackを使っている。面白いことに、こうした社内ツールにはブロック機能がないようだ(実装されているものがあれば教えてください)。

同僚をブロックできないのは、当たり前と思うかもしれない。上司・部下を含め、同僚にムカつくことはあるだろう。でも一緒に仕事をしているんだから、そうした人間関係の問題は解決していけばいいじゃないか、と。あるいは解決せずにどうするんだ、と。日々一緒に生活する可能性のある人を、ブロックして関係を終わらせてしまっていいはずはない。

そもそも、もしブロックできてしまったら、会社という組織が成り立たなくなる恐れがある。上司をブロックしたら指示は届かなくなるのか? 部下をブロックしたら仕事はどうなるのか? 部の人間が一斉に誰かをブロックしたら? ブロックは組織を破壊する、とても攻撃的な手段となりえる。

しかし企業がある程度以上大きくなると、顔も分からない、見たこともない人が出てくるのが普通である。違うオフィスの違う部署で働く、仕事でまったく絡まない人も沢山いるだろう。そういう人とオンライン上では時にすれ違う。そんな時に不愉快な目に合ってもブロックできないのだろうか。

Workplaceを使っていたときも、そういう議論があった。同僚とトラブルがあった時は、ブロックするのではなくHR(人事)に連絡せよ、というのが模範的な回答であった。

とはいえ「知らない同僚ともいつか仕事をするかもしれない。だからブロックしてはいけない」という問題は、実はTwitterやFacebookでも同じである。私は何人かブロックしているけれど、転職する時に「もしかしたら新しい会社ではこういう人と仕事の付き合いがあるかもしれない」とブロックを少し解除したことがある。私はチキンな社会人である。

同じように、いま十代でTwitterやInstagramを使いこなしている人達は、就活の前後でブロックしていた面倒な大人たちとリアルに出会っていくのかもしれない。まあ、聞かれても本当のアカウントを教えなければいいのだけど。ブロックできない現実というのは本当に遅れている。

なんの話かよく分からなくなってきたのでそろそろ終わらせると、私は社内コミュニケーションツールでも同僚をブロックする機能があっても良いと思う。そしてブロックしてはいけない仕事のやりとりと、ブロックできるそれ以外のやりとりは、システムで分離していくべきではないかと考える。

実際、Slackが本当に不愉快なのは、雑談のせいで仕事の話が流れていくことだ。仕事の話は属人性をなくしてブロック不可、それ以外の話は属人的なままブロック可とすれば良い。

ブロックはやりすぎだとしても、仲の良い同僚からは即座にメッセージが届き、嫌な同僚からのメッセージは一日に一度まとめて届くとかでもいい。メールではフォルダに振り分けたりして出来たことである。この点、Slackは明らかに退化している。

あるいは、不愉快な人とのやりとりは、自動的に適切な表現へ翻訳してあげるのが良い(最近そういうショートショートを書いた)。Googleならきっとできるでしょう。

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