モニカ・ルインスキー氏、クリントン元大統領との不倫は「重大な権力乱用」
ビル・クリントン元米大統領と不倫関係にあったホワイトハウスの元インターン、モニカ・ルインスキー氏(44)が、自分たちの関係はクリントン氏による「重大な権力乱用」に当たると述べた。ルインスキー氏は、性暴力の被害者と連帯する「#MeToo(私も)」運動を踏まえ、25日付の米誌バニティ・フェアに寄稿した文章で当時を振り返った。
当時22歳のルインスキー氏は、27歳年上のクリントン氏と恋愛関係になった。
ルインスキー氏は署名記事で、スキャンダル発覚後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたことを明らかにした。大統領との関係の詳細がメディアや法廷で明かされ、「公の場で暴露され、社会からのけ者にされた」ことが原因だったという。
2人の関係は1998~1999年、米メディアで連日、大々的に報じられた。クリントン氏は当初、関係を否定したが、後にルインスキー氏と「不適切で親密な肉体関係」を持ったことを認めた。
米下院の共和党が、連邦捜査官に偽証したとして大統領の弾劾裁判手続きを開始した。クリントン氏は最終的に無罪となり、2001年1月まで任期を満了した。
ルインスキー氏は2014年に、自分たちの関係は合意の上だったと雑誌記事で述べた。最新記事でルインスキー氏は今でもそれは事実だと認めつつ、2人の間にあった「すさまじい権力の落差」に言及している。
当時の自分は、不倫関係にどういう結果が伴うか「限られた理解しかなく」、今でも日々後悔しているとも書いている。
「辞書の上での『合意』の定義とは。何かが起こるのを許可すること」
「それでも、力関係や大統領の立場、私の年齢を考えた上で、この場合の『何か』とは何を意味したのか。(中略)彼は私の上司だった。地球で最大の権力を持つ人だった。27歳年上で、もっと分別があってしかるべき、人生経験の豊富な人だった」
2014年に公の場で発言するようになったルインスキー氏は、ネットいじめ非難を繰り返し、ネットいじめの「患者第1号」と呼んでいる。
「#Me too」運動
バニティ・フェアへの寄稿でルインスキー氏は、女性が公に性的加害行為や攻撃を非難する動きが拡大していることにも触れた。
「#Me too」運動の中心人物の1人と知り合い、スキャンダルの最中の自分が「あまりにも孤立」していたことを同情され、涙が出るほど感動したと書いている。
「他人を従属させようとする人間にとって、相手を孤立させるのは、実に効果的な方法だ。それでも、当時のことがいま起きたのだとしたら、あれほどの孤独は感じなかっただろう」
「ビル・クリントン氏と私の間の出来事は性的暴力ではないと、私のホワイトハウス経験は『#Me too』運動にあてはまらないと、そういう意見の人さえいる。けれども今の私たちは、当時の出来事は、重大な権力乱用だったのだと承知している」
(英語記事 Monica Lewinsky: Bill Clinton affair a gross abuse of power)