「髪のボリュームが少なくなった気がする」「抜け毛が増えてきた」...こんな薄毛の症状に悩む人の数は世界人口全体の約30%、3億人近くも居ると言われています。でも一口に「世界」と言っても、地域や国によって薄毛人口率に意外と大きな差あることはご存知でしょうか?また近年では、お国によって「薄毛の原因」にも違いがあるのではないかと考えられるようになっています。
つまり日本人の薄毛には、日本固有の原因が隠されている可能性があるわけですね。日本人特有の傾向から薄毛の原因を追求していけば、薄毛を予防・改善していくための適切なヒントが得られるかもしれません。ここでは世界各国の薄毛事情と日本の薄毛事情を比較しながら、日本人特有の薄毛の特徴や原因・対策について解説をしていきます。
世界との比較でわかる「日本の薄毛事情」
日本特有の薄毛事情について考えるために、まずは世界の薄毛事情と日本の状況を比較していきましょう。
日本の薄毛率ランキングは世界14位
2009年に大手かつらメーカーが行った調査によると、薄毛の人の率は以下のようになっています。
【薄毛率のランキング】
- 1位:チェコ(プラハでの観測)42.79%
- 2位:スペイン(マドリードでの観測)42.60%
- 3位:ドイツ(フランクフルトでの観測)41.24%
- 4位:フランス(パリでの観測)39.34%
- 5位:イギリス(ロンドンでの観測)39.23%
- 6位:アメリカ(三都市での観測)39.4%
- 7位:イタリア(ミラノでの観測)39.01%
- 8位:ポーランド(ワルシャワでの観測)38.84%
- 9位:オランダ(アムステルダムでの観測)37.93%
- 10位:カナダ(モントリオールでの観測)37.42%
- 11位:ロシア(モスクワでの観測)33.29%
- 12位:オーストラリア(シドニーでの観測)30.39%
- 13位:メキシコ(メキシコシティでの観測)28.28%
- 14位:日本(東京での観測)26.78%
圧倒的1位なのはチェコで、ほぼ2人に一人が薄毛という状態です。4人に一人強という薄毛率の日本は、世界規模だと14位に留まっています。まだ日本はそこまで「薄毛大国」ではない...というように感じられる方も多いのではないでしょうか?
日本より上位なのは...
しかしここで着目していただきたいのが、日本より上位の国のすべてがヨーロッパ・アメリカといったアジア系以外の国であるという点です。古来より狩猟を行い肉食系であった白人民族と、農耕を主とし草食を基礎としてきたアジア系民族では、男性ホルモンの分泌量に大きな差があることがわかっています。コーカソイド(白人系)に比べてモンゴロイド(黄色人種)は男性ホルモンの分泌量が少ないのです。
鍵はホルモン分泌量
AGA(男性型脱毛症)は、DHT(ジヒドロテストステロン)という活性型男性ホルモンが頭皮・毛乳頭等に攻撃をしかけることによって起こります。つまりホルモンの分泌量の多寡といった「薄毛の遺伝的な要素」は、白人系の方が平均的に多く持っているというわけなんですね。白人系の国々が日本より薄毛率が高いのは、当然の結果とも言えるでしょう。
では、同じ「アジア人系」で比較をしてみるとどうでしょうか?日本人の薄毛事情がやや深刻であることがわかってきます。
日本はアジア最大の「薄毛大国」?
今度は白人系の国々を除外し、アジア圏での薄毛率ランキングを見ていきましょう。
【アジア圏での薄毛率のランキング】
- 1位:日本(東京での観測)26.78%
- 2位:中国・香港(香港での観測)24.68%
- 3位:シンガポール(シンガポールでの観測)24.06%
- 4位:タイ(バンコクでの観測)23.53%
- 5位:台湾(台北での観測)22.91%
- 6位:マレーシア(クアラルンプルでの観測)22.76%
- 7位:韓国(ソウルでの観測)22.41%
- 8位:中国・上海(上海での観測)19.04%
同じアジア圏でのランキングでは、日本は堂々の「1位」となってしまっています。では日本人に「薄毛の遺伝的な要素」が大きいのかというと、これが必ずしもそうとは言えません。
例えば遺伝要素のひとつとされる「男性ホルモン分泌量」は、日本は世界と比較して低いことがわかっています。例えばお隣の国である韓国と比較をしても、男性のテストステロン量の分泌量はやや少ないと言われているのです。にも関わらず、日本の方が韓国よりも4%以上も薄毛の人が多いというのが現状なんですね。
近年の研究では、遺伝的要素が薄毛に与える影響率は25%程度であるとも言われるようになっています。つまり民族的な要素(遺伝的要素)だけでなく、生活習慣等の要素が日本を「薄毛大国」としている可能性が考えられるわけです。
日本の薄毛事情の変化
アジアの中では「薄毛が多い国」となっている日本ですが、日本国内での薄毛事情はどのように変化してきているのでしょうか?
日本の薄毛率は拡大傾向にある
世界的な薄毛調査が行われるようになったのは2000年台に入ってからのことですが、日本国内での薄毛率の調査は1980年台から行われていました。その調査結果によると、日本人の薄毛率が年々増加していることがわかります。
【薄毛率の変化】
1982年 |
約15%(600万人程度) |
1984年 |
約18%(750万人程度) |
1991年 |
約19%(870万人程度) |
1995年 |
約21%(950万人程度) |
1998年 |
約24%(1100万人程度) |
2001年 |
約25%(1200万人程度) |
2004年 |
約26%(1300万人程度) |
22年間の調査の中で、薄毛率は実に167%という驚異的な増加傾向を見せています。また2007年以降のデータでもこの率は微増を見せており、2017年現在では更に薄毛率が上がっているようです。現状「世界14位」という地位に留まっている日本ですが、いずれは「薄毛率世界TOP10」に躍り出てしまう可能性も否定しきれません。
薄毛に悩む女性も増加中
2000年台に入り化粧品メーカーが行った調査では、女性の中で薄毛に悩む人の率は約10%、10人に一人であるという結果が出ていました。男性がAGAを発症する率に比較すると、やや少ないという結果が出ていたのです。
しかし2014年に入りインターネットで行われたアンケート調査では、「薄毛への不安がある」と回答をした率が男性が平均78%だったのに対し、女性も平均66%という高い回答率が見られました。特に40代以上になると、薄毛の前兆である髪のボリュームダウン・ハリ・コシの無さが気になる人の率は80%以上にもなっています。
また女性向け薄毛対策グッズの購入率も上がっていることがわかってきました。2004年の段階では女性向け育毛剤等の頭皮ケアグッズの市場規模は60億円規模程度だったのですが、2016年には実に177億円を越える規模に拡大をしています。12年間で約3倍という大規模な拡大ですから、それだけ「薄毛に悩む女性」が増えていることがわかりますね。今や日本では薄毛の悩みは「男性だけのもの」ではなく、「男女共通の悩み」となっていると言えるでしょう。
若い世代での髪の悩みも増加
日本の薄毛調査でわかってきたのが、20代~30代の若年層で髪の悩みを持つ人が増えている傾向です。
【「髪のボリュームが無い・量が少ない」と感じる人】
年代 |
男性 |
女性 |
20代 |
約20% |
約12% |
30代 |
約33% |
約14% |
40代 |
約38% |
約18% |
50代 |
約45% |
約24% |
【「髪が細い」と感じる人】
年代 |
男性 |
女性 |
20代 |
約14% |
約12% |
30代 |
約16% |
約10% |
40代 |
約20% |
約17% |
50代 |
約21% |
約18% |
【「抜け毛が増えた」と感じる人】
年代 |
男性 |
女性 |
20代 |
約13% |
約20% |
30代 |
約17% |
約20% |
40代 |
約27% |
約19% |
50代 |
約30% |
約17% |
薄毛の年齢による割合分布から見ると、20代は全体の約7%程度で、40代(約35%)・50代(約45%)に比べまだまだ少ない傾向にあります。しかしボリューム感・抜け毛の増量といった「薄毛の初期症状」を感じているのは、5人のうち一人といった高い割合です。薄毛というと「加齢のせい」と考える人が多いですが、20代前半でも髪のボリュームダウンに悩んでいる人が多い現状を鑑みると、必ずしも「加齢だけ」が薄毛の原因であるとは言い難いところがあります。
日本人の薄毛が増えている理由は?
現在の日本では、男性1,200万人以上、女性600~1,000万人以上が薄毛に悩んでいると言われています。なぜ日本が「薄毛に悩む国」となったのか?その点を各国の薄毛事情と照らし合わせながら考えていきましょう。
食生活による影響が大きい?
まずは前述した「薄毛の多い国」TOP3の食生活について見てみます。
チェコ
野菜料理が少なく、「肉の添え物」といった扱いである。豚・牛・アヒル等の肉類がメインで、ハムやソーセージ類も豊富。味付けには塩・ラード類がよく使われる。
スペイン
オリーブオイルが多用される。アルムエルソという午前の軽食、メリエンダという午後の軽食の時間があり、1日に約5回食事を取る習慣がある。20世紀末になってからはハンバーガー・フライドチキン等のファストフード店も増加。児童肥満率の原因とも指摘されている。
ドイツ
肉料理とジャガイモが中心。ヴルストと呼ばれるソーセージ、野菜類はザワークラウト等、保存食文化が発達しており、反対に生野菜等を食べる習慣が少ない。温かい食事を取るのは1日1回程度で、塩蔵品等の「そのまま食べられる食事」を取ることが多い。
上記3カ国の傾向を見ていくと「脂質」と「塩分」の多さが浮かび上がってきます。脂質(油分)を多く取った場合に体内で消費が進むのがビタミン類(ビタミンA・ビタミンE・ビタミンC等)です。
これらのビタミン類は健康な髪の毛を作るためには欠かせない栄養素ですが、脂質たっぷりの食事でビタミンを消費し、更に野菜類の摂取が少なければ、体が慢性的にビタミン不足となっていることも考えられるでしょう。
また塩分の多い食事は血管を縮めて血液をドロドロにし、頭皮の血行も悪くさせていきます。塩分過多の料理は内臓も疲弊させ、代謝力を落としていくため、これも健康な髪が生まれなくなる(=抜け毛が増える)ひとつの理由であると考えられますね。
欧米化・食の崩壊が進む日本の食文化
次に「脂質」と「塩分」という2つのポイントで「日本の食生活」を振り返ってみましょう。元来日本人が食してきた「和食」では、野菜類や豆類の摂取が多く、脂質は控えめでした。しかし「食の欧米化」「外食習慣の増加」が進むに連れて、日本人の脂質摂取量は増えてきています。
実はオーバーしている現代食と脂質
厚生労働省の指針によれば、適切な脂質摂取量は1日に必要なエネルギー(カロリー)の約20%~30%です。1日に2,000キロカロリー程度の食事を摂る人であれば、50g前後が上限というわけですね。
ところが朝食にマーガリンをたっぷりと塗ったトーストを2枚食べれば、脂質は一気に20g近くも摂取したことになります。また日本人が外食でよく食べる「ラーメン」の脂質はこってり系だと66g以上であり、1杯食べるだけで「脂質オーバー」となってしまうのです。もちろん、揚げ物類等も脂質をたっぷりと含んでいます。
塩分も...
また近年のファストフード類・インスタント食品等の利用率の増加から、日本人の平均的な塩分摂取量も非常に多い状態です。男性の平均塩分摂取量は11.1g、女性の平均摂取量は9.4gで、WHO(世界保健機関)が目安としている「1日5g未満」の約2倍という高い摂取状態が続いています。「油が多い食事」「塩の多い食事」が、日本人を薄毛へと導いている可能性大というわけですね。
アジア各国の違いとは?
日本に比べ、韓国・中国といった他のアジア地域では「その国ならではの食文化」がいまだ強く根付いており、日本のような食文化の性急な変化は見られていません。またアジア各国それぞれの「アジア民族に合った食事」が、それぞの国民の体の調子を整え、薄毛に良い効果をもたらしているのではないかと注目されています。
インド
薄毛率最下位を誇るインドの食生活の基盤「カレー」には、多量のスパイス(香辛料)が使われています。ターメリック・サフラン・ナツメグ等の香辛料には新陳代謝を活発にする効果があり、更に血行を促進させて毛乳頭等の働きをサポートしてくれます。
韓国
国を代表する食品である「キムチ」に悪玉コレステロール低下効果があり、これが脂質抑制に繋がっているのではないかとも言われています。
中国
中国を代表するお茶である「烏龍茶」に脂質を分解する効果があることは有名ですね。また四川料理等を始めとする薬膳料理にはインド同様数多くの香辛料が使われており、体の巡りを内側から整える効果を持ちます。
タイ・インドネシア
東南アジア各国では唐辛子を料理に多用する傾向を持ちます。唐辛子のカプサイシンには育毛効果を持つ「IGF-1」という因子を増やす効果があるとされ、東南アジア各国での薄毛率の少なさの原因のひとつとも考えられています。
アルコールによる影響も見逃せない
薄毛の人が多い国である「チェコ」「ドイツ」の共通点として挙げられるのが、ビールの圧倒的な消費量です。チェコのビール消費量は世界1位で、年間149リットルものビールを飲んでいます。またドイツも世界3位にランキングされており、「水代わり」として消費されているとも言われる状態です。
また薄毛率2位のスペインと4位のフランスの共通点と言えば、「ワイン」の生産大国であるということが挙げられるでしょう。どの国もアルコールの消費量が多く、日常的にお酒を嗜んでいるというわけですね。
薄毛対策の敵!アルコールの本性
しかしアルコールの摂取は、ハッキリ言って薄毛には良くないことだらけです。アルコールを摂取すると、食事やサプリメント等で摂取したビタミン類・アミノ酸等の栄養素の吸収がジャマされてしまいます。つまり髪を作るための「原材料」がきちんと吸収されなくなってしまうのです。
またアルコールを分解するために肝臓がフルに働かなくてはならなくなり、新たな髪を作るための力(新陳代謝)等も衰えやすくなります。更にアルコール分解の機能が追いつかなくなれば、有害物質「アセトアルデヒド」が発生し、これによってAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)も増加します。大量の酒類の摂取が、薄毛率を押し上げている可能性も否定できないでしょう。
日本人はアルコールの有害物質を分解しずらい
日本のアルコール摂取量自体は、各国と比べて控えめです。しかし日本人の場合、薄毛に良くない有害物質「アセトアルデヒド」を分解する力が総じて弱いという点には着目しておくべきでしょう。日本人の約50%はアルデヒド脱水素酵素(ALDH)のうち、低濃度でも活性化する「ALDH2」の活性が弱いのです。
カンタンに言えば、「お酒に酔いやすい」というわけですね。酒に酔いやすいということは、それだけAGAの原因であるDHTを発生させやすいことになります。自分の酒量をわきまえずに飲む人は、それだけ自分の薄毛の原因を増やしていることになるのです。
「髪の洗いすぎ」も原因のひとつ?
「髪を毎日のように洗うのは当然のこと」...現代の日本人の多くが、こう考えていることでしょう。2017年現在、日本人の約70%は毎日シャンプーをし、20%は1日おきに洗っていることがわかっています。しかしこれはごく最近の事情です。昭和40年台~50年台に入るまで、「毎日シャンプーをする」という習慣は日本でもほとんどありませんでした。そして世界基準では、実はまだこちらが「常識」だったりするのです。
【世界のシャンプー事情】
シャンプー回数 |
国名 |
週4回程度 |
アメリカ、インドネシア、中東、トルコ等 |
週3~4回程度 |
ドイツ、イギリス、スペイン |
週3回程度 |
中国、ロシア、オーストラリア等 |
週2~3回程度 |
インド、フランス等 |
毎日しっかりと髪を洗う、人によっては朝・晩2回髪を洗う--このような徹底した清潔主義が根付いている国は、世界でもほとんど無い状態です。これには日本の水道事情が恵まれているという点も関係しているのですが、1980年台以降の「清潔志向」も大きく影響をしていると言えます。
しかしこの一見すると「髪に良い」と思われるシャンプー習慣が、髪に大きなダメージを与えている可能性があることが近年わかってきました。特に問題とされているのが、市販シャンプーの多くに使われている高級アルコール系界面活性剤の「洗浄力の強さ」です。
安価に作れる高級アルコール系シャンプーは脱脂力が強く、頭皮が本来必要としている潤いまでも奪い去ってしまいます。結果として頭皮が乾燥したり、乾燥を改善しようと過剰に皮脂が分泌され、ベタベタ頭皮となってしまうのです。
上記のような悪循環を起こしてしまうのです。日本の洗髪頻度が世界的に見て非常に多いという点が、日本の「薄毛率」を押し上げている可能性は十分考えられると言えるでしょう。
シャンプーの悪循環
- シャンプーで頭皮が乾燥する
- → 皮脂が過剰に出る
- → 洗わないとベタベタする
- → シャンプーの回数が増える(↑1.に元に戻る)
上記のような悪循環を起こしてしまうのです。日本の洗髪頻度が世界的に見て非常に多いという点が、日本の「薄毛率」を押し上げている可能性は十分考えられると言えるでしょう。
「ストレス」の多さも薄毛を増やす?
薄毛になる原因のひとつとしては「ストレス」の存在も挙げられます。ストレスが増えると体をコントロールする神経である「自律神経」の切り替わりが乱れ、血管を収縮させる「交感神経」ばかりが過剰に働くようになってしまうのです。結果として頭皮の血行等も悪くなり、髪の生成も正常に行われなくなってしまいます。
また交感神経が過剰に働くと胃腸等の消化器官へ血が巡りにくくなり、消化機能も低下していきます。せっかくアミノ酸やミネラル・ビタミン等が豊富な髪に良い食事を心がけても、ストレスが溜まっていればそれらの栄養素を体が十分に吸収できません。
これも髪を細くしたり、ボリュームを減らす要因となります。更に、ストレスを起因とした免疫機能の異常が、「円形脱毛症」等の薄毛症状をもたらすこともあります。
あらゆる意味で、「ストレスは薄毛の元」と言えるのです。
さて、では世界的に見た日本の「ストレス度」はどの程度なのでしょうか?
【ストレス関連の日本のランキング】
総労働時間世界16位(年間1735時間)
アメリカやギリシャ、チリ等に比べると意外と低い位置にあります。ただこの数値は「サービス残業」を含んでいないことに注意が必要です。「サビ残社会」である日本が正確な申告をした場合、総労働時間ランキングは飛躍的に上がる可能性が高くなります。
世界幸福度ランキング51位
国民が幸福度を感じる度合いはかなり低いと言えそうです。タイの32位、台湾の33位、マレーシアの42位等、アジアの国と比べても低い傾向を見せています。
自殺率ワースト6位
10万人あたりの自殺者数は90カ国中世界第6位という状況です。特に15才~39才の死因の1位が「自殺」となる等、若年層が深刻な状況となっています。
睡眠時間ワースト1位
睡眠は脳の疲れを取る最大のストレス解消手段とされています。ところが日本の睡眠時間は平均434分(7時間強)と世界最短です。最も睡眠時間が長い中国と比較すると、1時間48分(2時間弱)という大きな開きが生まれています。
各種のランキングを見てみると、日本のストレス度は「かなり高い」と言えそうですね。またWebアンケート調査結果でも、「ストレスが蓄積している」と回答をした人は76%~78%となっており、やはり「ストレスフル」であることが伺えます。仕事の疲れやストレスが、日本人の薄毛率を高めてしまっているのかもしれません。
「ネットの見すぎ」が薄毛の原因に?
近年、薄毛の原因として注目をされ始めたのが「眼精疲労」の問題です。スマホやパソコン等で目を酷使すると、「メチオニン」や「L-システイン」といった髪を作るために必要なアミノ酸が消費されてしまい、健康な髪の生成に支障が生じます。
また目の焦点を近くに合わせ続けていると「毛様体筋」という目の筋肉が酷使され、自律神経が乱れて頭皮の血行も悪化してしまうのです。
若年層ほどスマホ利用率が高い
では日本の「スマホ使用状況」は世界と比べてどうなのでしょうか?
2016年段階でのスマホ普及率は全体で54.7%で、世界では14位と意外と低めです。しかし若年層への普及率は飛躍的に高く、10代では94%、20代では84.5%、30代でも81.5%がスマホを所持しています。若年層の普及率を見れば、所持率世界1位であるアジア首長国連邦(UAE)の73.8%を軽く凌ぐ結果です。
また日本人全体のスマホ利用時間平均は3.5時間程度で、各国の中でも比較的短い利用時間に留まっていますが、10代~20代では「5時間以上」「7時間以上」の使用をすると回答する率が高くなります。10代~30代の20%近くが「スマホ依存気味である」という回答もしていました。日本人の場合、若年層ほどスマホを見ている時間・頻度が多い傾向があります。
近年の「髪の悩み」の低年齢化に、スマホ等の液晶画面の凝視が影響を及ぼしている可能性も考えられるでしょう。
日本人の「近視の多さ」も関連している?
更に注目をしたいのが、日本人の近視率の多さです。40才~50才前後の人の近視率を調べた調査では、以下のような結果が出ています。
【国別の近視率】
- 中国:約22%
- インド:約28%
- シンガポール:約35%
- アメリカ:約22~24%
- 日本:約42%
また文部科学省の統計によれば、12才以下の子供の約30%、15才以下の約53%に近視の傾向が見られることもわかっています。日本はいわば「近視ナンバーワンの国」なのです。
近視を矯正するためには、コンタクトレンズやメガネをかけざるをえません。しかし近視用のコンタクトや眼鏡は、主に「遠くを見るため」に作られているものです。近視用のメガネやコンタクトをつけたままパソコンやスマホを見た場合、眼精疲労の度合いは強くなってしまいます。
しかし近くを見ている時には「モノが見えづらい」とは感じにくいので、眼精疲労を自覚することが少ないのです。このような「近視による隠れ眼精疲労」の存在が、薄毛を促進させている可能性も否定できません。
今日から始める5つの対策
各国と比較した「日本人に薄毛が多い理由」からは、以下のような薄毛対策が考えられます。
食生活を見直そう!
まず第一が「食生活の見直し」です。脂質・塩分の多い食品類(揚げ物・ファストフード・レトルト・インスタントラーメン等)を控えることが先決と言えます。
また植物性タンパク質やミネラル類が豊富に摂取でき、なおかつ脂質が少ない「和食」を中心とした献立を考えるようにしてみましょう。和食特有の「うまみ」の元である昆布だし・鰹だし等の出汁類をしっかり取ると、醤油・味噌・塩等の使用量を控えやすくなるのでおすすめです。
薄毛対策の食事については、食事で薄毛対策を!育毛・発毛効果が期待できる栄養素や食べ物とは?で必要な栄養素やバランスについて解説しています。
飲酒習慣を控えよう!
できれば完全に「禁酒」をするのが理想的です。しかし完全に断つのが難しいという場合には、まず「頻度」を減らすところから始めてみましょう。週に2~3日以上は休肝日を設け、飲酒をする場合にも「酔過ぎない酒量」を規定するようにしてください。
使うシャンプーを見直そう!
現代の日本では、洗髪頻度を減らすのは難しいかもしれませんね。そのためシャンプーによるダメージを減らすために、使用するシャンプーをダメージの少ないアミノ酸系シャンプーに切り替えてみましょう。
薄毛対策に適したシャンプーの種類や選び方などはスカルプシャンプー・育毛シャンプーの選び方 ~薄毛・抜け毛対策に最適なのは?で詳しく説明しています。
ストレス解消策&睡眠時間の確保を!
趣味やスポーツ等に打ち込む時間を作り、ストレスを定期的に発散することも大切です。また1日の睡眠時間をできるだけ長くし、体だけでなく「脳の疲れ」を取ることも意識しましょう。
パソコン・スマホの使用を工夫しよう!
PC・スマホは一定時間使用したら必ず休憩をし、目を休めるようにしてください。近視メガネを使用している場合にはスマホ利用時等にメガネを外す習慣を付け、眼精疲労を防ぐのも良いでしょう。「スマホ依存度が高い」と感じたら、一度「スマホ断ち」をしてみるのも手ですよ。
おわりに
長年染み付いた生活習慣や食習慣を一度に変えるのはなかなか難しいものですよね。まずは最も思い当たる点から少しずつ習慣の改善に取り組んでいきましょう。一歩ずつでもキチンと改善をしていけば、5年後・10年後といった「将来的な髪の状態」も大きく変わってくるはずです。