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【芸能・社会】猿翁、閉館前1日だけの舞踊公演 中日劇場に45年の感謝2018年2月28日 紙面から
歌舞伎俳優の市川猿翁(78)が27日、名古屋市中区の中日劇場に急きょ、登場した。猿翁率いる澤瀉屋にとって3月に閉館する中日劇場最後、1日だけの舞踊公演。カーテンコールでいすに座り、言葉を発せないながらもゆっくりと左右の腕を広げ、驚喜にわく観客に45年の感謝を表した。 猿翁の弟子、市川右團次(54)が座長の「歌舞伎舞踊特別公演」。右團次らの昼の部の熱演を客席で見ていた猿翁は舞台を指さし、出演したいとの意思を秘書に示した。 夜の部最後の「連獅子」の幕が下りた後。緞帳(どんちょう)が再び上がり、右團次と市川弘太郎(34)の獅子の中央に猿翁。観客は「おおー」とざわめき、総立ちに。猿翁はまず左手を広げ、次に右手、両手をできるかぎり、精いっぱい広げた。両脇の獅子が頭を下げると猿翁もわずかに頭を下に動かした。 2回目の後にはアンコールの拍手も。登場したのは3回、計5分ほど。1973年の中日劇場初舞台で自ら演じた「連獅子」を思い出したのか、舞台から降りた猿翁は「もっとやりたかった」との意思を示したという。 猿翁は、300年ほど前の元禄年間にさかのぼる宙乗りを1968年に復興させたとされる異端の役者。通常は花道上の18メートルだが、中日劇場で84年に初めて、より長い対角線の斜め約32メートルを飛び、スーパー歌舞伎をダイナミックに昇華させた。猿翁にとっては「私の演劇人生で不可欠な劇場」。2003年に脳梗塞などを発症したが、05年にもカーテンコールで中日劇場に登場。現在は車いすを使い、話すことや体を動かすことも難しいという。 秘書は「中日劇場に愛着があって見に来ました。右團次の舞台に、いてもたってもいられなかったんだと思います」。ほかの関係者も「あれだけ腕が動くなんて」と舞台人の意気込みに驚いた。 ◆市川右團次「感動しました」「中日劇場で積み上げてきた思いがふつふつとわき上がって、登場されたのだと思います。とても感動しました」
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