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遅延男の言い分は絶対に正しい 女性専用車両案件

女性専用車両の設定に反対し、ラッシュの女性専用車両に乗り込み、乗客とやり合った末電車を遅らせる「遅延男」。痴漢男も大迷惑ですが、遅延男も結構な迷惑です。

遅延男の言い分は絶対に正しい 女性専用車両案件

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女性専用車は、10両に1両程度、しかもラッシュ時だけ。大半の場合、男性は自由に車両をセレクトできます。反対する理由は1つもないわけですが、少し考えた結果、遅延男の言い分が正しいことが分かりました。

(昔の)南アフリカで、命がけで白人バスに飛び乗った黒人を拍手喝采するなら、この遅延男にも拍手喝采を与えるしかない。善の装いをまとった差別であっても、差別は差別だと気づかせる深みのある運動。

ということです。南アフリカというのは、恥ずかしながら自分の勘違いで、フリーダム・ライド(自由のための乗車運動)は、1960年頃、アメリカ南部で行われた運動でした。

冷静に考えれば、ラッシュの女性専用車両に乗り込む「遅延男」の行っている運動は、フリーダム・ライドと全く同じ理屈です。

黒人差別と男女差別では次元が違う、と反論する方はいないでしょう。また、強者(男性)ならば、差別しても構わないという方もいないでしょう。確かに、女性専用車両に見られる差別は、ほかの車両(10両編成なら9両もある)に乗れば済むことですので、差別としての印象は弱いかもしれません。

しかし、全ての差別や人権侵害が、初めは善や正義の装いをまとって近づいてくることは、歴史的に有名な話です。もちろん鉄道会社に、男性差別の意図は全くありませんが、差別や人権侵害の萌芽は、敏感に感じ取って摘んでおくのが、私たちの社会にとって得策なのです。

学校でのいじめに対して、教師や(加害者の)保護者が、悪ふざけしていただけだと主張することが、最近もありました。あなたが、教師や学校に厳しい批判を浴びせるのは、子どもを苦しめる、差別や人権侵害の芽は確実に摘んでおこうという運動です。「人権を守るには人権を守るしかない」 これは、はてなブロガーのわっと ( id:watto )さんの言葉ですが、人権を善や正義によって、留保してはいけないのです。

驚いたのが、共産党の元代議士が「意図的に女性専用車両に乗り込み注意を受けながらも決して降りようとはせず、トラブルを起こしてダイヤに遅延をもたらす男性集団の考えには絶対に賛同できません」と発言していること。共産党は戦時中に、戦争に反対したという理由で、正義の名のもとに多くの同志を失っているはずです。よもや忘れたとは言わせません。

全ての差別や人権侵害が、初めは善や正義の装いをまとって近づいてくる。当初は非常にささいなことであり、多くの人が問題視しないことです。人権に敏感なはずの共産党の元代議士すら、騙されてしまっているのです。

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改正労働契約法・改正労働者派遣法による人権侵害も全く同じ

改正労働契約法、改正労働者派遣法に伴って、現在、多くの労働者が雇い止めなど、不利な条件を突きつけられています。

もともと家政婦などごく一部にしか認められていなかった派遣労働制。余りにも人権侵害の可能性が高く、戦後、長らく認められなかった制度です(当たり前です。いつでも自由に労働者をクビにできる制度です)。しかし、1986年に労働者派遣法が導入されました。当初は13業務に限定され、労働者保護の色合いが濃く、大きな反対運動は起きなかったと聞きます。社会党と共産党が、将来、労働者の権利が大変なこととなると、ひとり猛反対した記録が残っています。

全ての差別や人権侵害が、初めは善や正義の装いをまとって近づいてくるということです。

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対立する人権との調和

一方、女性専用車両によって、いくつかの権利が保護されました。過去に痴漢に遭い、満員電車がトラウマになってしまった女性が、安心の場を確保できる権利は、言うまでもなく非常に重要です。痴漢冤罪という、未然の人権侵害を防ぎたい男性の声も理解できます。

  • 男女同権(基本的人権の尊重)。
  • 女性が、安心の場を確保できる権利。
  • 男性が、痴漢冤罪という未然の人権侵害を防ぎたいという要求。

この3つを同時に満たす施策が必要で、それは決して女性専用車両ではありません。

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id:CALMIN 白人専用車と女性専用車は同一視できないという理屈を理解するのは難しいですか? 

差別の度合いは同一視できませんが、差別の萌芽として同一線上にあるということです。アナロジーに対しては、それは別種であると反論するのが、まず定石ですので、逆に書く前にその反論を想定しています。そのため、いじめという人権侵害が、悪ふざけという体裁で現れ、放置すれば拡大してしまうという事例を含んでいます。ここで、悪ふざけ=いじめではありませんが、萌芽とその行く末という点で通底します。そのため、「同一視できない」のは事実ですが、通底するという点でご理解いただければ幸いです。