- 通信制高校 一ツ葉高校
- 通信制高校 徹底解説!
- みんなと一緒に卒業できますか? -単位制と学年制について-
新着記事一覧
みんなと一緒に卒業できますか? -単位制と学年制について-
投稿日:2017年1月24日 | カテゴリー:通信制高校のこと 高卒資格・高認試験のこと
単位制と学年制について
一ツ葉高校への入学相談の際に「みんなと一緒に卒業できますか?」と尋ねられることがよくあります。「みんな」というのは同学年の人たちという意味で、留年の形にならないで、学年が遅れないようにということです。
答としては、ほとんどのケースで「大丈夫です。みんなに遅れない形で卒業できますよ!」ということになりますが、今回はどうしてそれが可能なのかということを詳しく説明しましょう。
そもそも「留年」って何なんだ?
同学年のみんなと同じ時期に卒業できるかを尋ねられるケースは、その生徒が前籍校で「留年」を示唆された場合がほとんどです。多くは出席日数の関係で、あるいはある科目の点数が足りなくて進級できないなどのケースです。
3年生の後半に「卒業」ができないということで相談に来られる場合もありますが、やはり「進級」ができない、つまり次の学年に上がれないために相談に来られる方が多いです。それではどうして進級ができないのか、逆に言うと「どうすれば進級できたのか」というところから説明しましょう。
実は一ツ葉に「留年」や「学年」はないってほんと?
本当です。
実は一ツ葉高校には留年がありません。留年どころか本当は「学年」もないんです。
一ツ葉高校だけでなく、一ツ葉高校と同じ制度を採用している、学年のない高校は今日では日本中にたくさんあります。
それらの高校では実際には学年による区別はないのだけれど、卒業時期がわかりやすいようにとか、履修する科目を把握しやすいようにとかいう理由で名目上の学年を使っている場合もあります。しかし正確に言うと「何年生」とは呼べないのです。
そのような高校を「単位制高校」と呼びます。「単位制」でない高校は「学年制」と言います。
「学年制」とは
「学年制」には「学年」がありますから、進級や留年があります。
学年制とは卒業までに必要な学習内容を高校なら3つの学年に割り振って、「これが終わったら1年生が修了で、次2年生になれますよ。2年生の内容が終わったら3年生になれますよ。3年生の内容が終わったら卒業ですよ」という仕組みです。
ですから、「1年生」とは入学して1年目の生徒というよりは、正確には「1年生に配当された科目を履修している人」ということになるでしょう。
学年制では、1年生の内容が終わらなければ、毎日学校に行っていても、いくら成績が良くても2年生にはなれませんし、2年生が終わらなければ3年生になりませんから、1年生から2年生に上がれなければ、卒業までに追いついて同じ時期に卒業することは不可能になってしまいます。
各学年で勉強する科目と時間数は、各高校では教育課程表によって定められています
例えば高校1年では、国語総合を週に4時限、現代社会を2時限、数学Ⅰを3時限、数学Aを2時限、化学基礎を1時限、・・・という感じで、全日制高校だとおよそ15科目くらいで合計30時限くらいに定められています。
2年生では現代文Bが3時限、古典Bが2時限、世界史Aが2時限、・・・。3年制でも日本史Bが4時限、数学Ⅱが4時限、・・・という具合です。
この週あたりの授業時間数を「単位数」と言います。
「えっ!学年制でしょ?」と言われてもそのとおりなんです。
実は全日制高校も「単位」に基づいてカリキュラムを考える単位制ではあるんです。正確には「単位制と学年制を併用」しているのが「学年制高校」で、「単位制のみ」で組み立てるのが「単位制高校」なんです。
話は戻って、高校1年生を終えるということは、1年生に定められた科目全てについて「単位を修得する」ということなのです。それで1科目でも単位が修得できないとその学年を修了することができず、これを学校用語では「原級留置」と言い、いわゆる留年です。
その場合さらに困ったことに、修得できなかった科目以外の単位も全て消えてしまうのが一般的です。つまり再履修の2回目の1年生では前年に単位修得できたはずの科目も最初から受講し直さなくてはならない仕組みになっているのです。
どうすれば進級できる?
それでは進級するというのはどういうことかというと、1年生なら1年生に定められたすべての科目について単位を修得することが必要なんですが、全日制高校の場合、単位の修得は「出席して授業を受ける」ことと「定期考査で合格点(=赤点より高い点数)を取る」ことで可能となります。
どのくらいの出席が必要かというのは学校ごとに定められているのですが、2/3以上の出席としているところが多いようです。具体的には国語総合が4単位の場合、年間の授業はだいたい35週ですので35×4=140時間の授業がある計算になります。これの1/3以上の出席が必要ですから、47時間休むと時間数が足りなくなります。
特に注意が必要なのは1単位科目です。1単位ということは週に1回、ある特定の曜日に授業があるわけですが、35回の授業のうち12回欠席でアウトです。年間の授業日数が220日あったとして、12日しか欠席していなくてもたまたま同じ曜日で、その曜日にこの科目があれば引っかかってしまいます。
もう一つは定期考査の点数です。これも学校によって定められています。30-40点くらいが基準というのが一般的ではないでしょうか。定期考査の回数は2学期制の学校と3学期制の学校でも異なると思いますが、学年成績は各学期の平均点に平常点を加味して算出するケースが多いようです。
この出席と成績の条件を、学年配当のすべての科目でクリアして学年を修了することができる仕組みです。
ほとんどの学校では原級留置の可能性がでてくれば、親や本人に通知されるでしょうし、成績に関しては補習や追試験などを課すことで単位を認めてもらえるケースもあります。また、1科目又は2科目までの未修得であれば進級を認めると定めている学校もあるようです。学校ごとの詳細は在籍している学校に相談してください。
「単位制」と高校卒業
それとは異なり学年という区切りがないのが「単位制」の学校です。
単位については「1単位時間を50分として、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする」と高等学校指導要領に記載されています。つまり通信制を除く高校では、例えばコミュニケーション英語Ⅰが3単位であれば50分授業を35×3=105時間行うことになります。そして多くの学校が1年間に35週程度の授業を行うような計画になっていますので、1週間の授業回数も3回となるのです。
そして指導要領では卒業までに履修させる単位数を「各教科・科目の単位数並びに総合的な学習の時間の単位数を含めて74単位以上とする」と定めています。一般によく聞かれる高校卒業要件で「74単位以上の単位修得」とはこの部分を根拠にしたものです。
単位制高校では、学年がありませんから修得単位が74単位以上に達したところで卒業要件を満たしたことになります。学年制では1年生が30単位であれば原則的に30単位すべてを修得しなければ進級ができなかったわけですが、単位制は1年目に26単位修得して、翌年は32単位修得するということも可能となる仕組みです。
学年制では30単位に対して数科目を修得できずに24単位であれば進級できずに卒業が遅れてしまいますが、単位制であれば1年目に30単位の履修登録をして6単位が取れずに24単位であっても、翌年以降にその分を取り返すことも可能です。
通信制高校などの多くの単位制高校では個人別にカリキュラムを組み立てることができますから、その年によって履修科目数を調節することも可能だからです。
「単位制」のメリット
このように「単位制」とは、修得単位数を積み重ねていって、合計単位数で卒業要件を満たしとところで卒業が可能となるという制度です。
既に気付いた人もいると思いますが、学年制の高校では1年間の修得単位数を30単位程度としてカリキュラムを組み立てています。これを3年間繰り返すと約90単位になりますね。学年制の高校を卒業する人たちは本来74単位で卒業基準は満たしているはずなんですが、3年生の学年を終えるという条件のために15単位以上多く単位を修得しなければならないんです。
そのため、1年生を終えて転校してくる生徒は30単位程度の単位を修得済みですので、残り2年間で44単位程度を修得すればいいことになります。1年間で考えると、22単位は学年制の学校の2/3程度の内容になりますから随分余裕ができます。
2年生まで終えていれば60単位修得していますので、残り14単位。これは半期程度で十分修得可能な単位数と言えます。「みんなと一緒に卒業できますか?」と相談に来る人は2年生を終えて3年生の前半期間のことが多いですから、その時点で転校してくれば残り半年間で74単位をクリアすることは難しいことではないわけです。
これが「みんなに遅れないで卒業できる」理由です。学年制の高校で卒業が危うくなった場合は、一ツ葉高校など単位制の高校に転校することで道が拓けることも知っておいてください。