高知県内シラスウナギ漁最低 採捕量が前年同期比4%
シラスウナギが入らず、空の養殖池(高知市春野町森山)
ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの今季の採捕量が国内外で低迷する中、高知県内でも極度の不漁となっている。漁期が始まった昨年12月16日以降、「県しらすうなぎ流通センター」(南国市久枝)に集まったシラスウナギは約4・2キロ(2月15日現在)と、前年同時期の約4%しかない。漁期は3月5日までで、過去最低だった2012年の106キロを下回る公算が大きい。ウナギ価格の値上がりは必至だ。「今年の池入れはまだゼロ。これだけ捕れないのは記憶にない」
県内で養鰻(ようまん)と飲食店を展開する「フジ物産」(静岡市)の三谷広康支店長が嘆く。
高知市春野町森山にある同社の養殖池。例年なら仕入れたばかりのシラスウナギが入っている池がいくつかあるが、今年はゼロ。42面ある池のうち28面は空っぽで、残る14面も入っているのは昨季に仕入れたウナギだ。
仁淀川で漁をする男性(36)=土佐市=は「昨年は2キロぐらい捕れたけど、今シーズンは100グラムにも満たない。夕方から翌朝まで漁をして5匹ぐらい(約1グラム)の日もあった」。漁の回数も減らしたといい「資源保護のため2年ぐらい禁漁した方が良いのでは」と提案する。
不漁に伴い価格も高騰している。昨季は1キロ当たり109万円だったシラスウナギの取引価格(水産庁まとめによる)は、今季は「県内で250万円。県外なら400万円以上で仕入れる業者もあるようだ」(県内の養鰻業者)という。
原価上昇により、県外ではかば焼きなどの価格に転嫁する動きも出始めている。高知市の飲食店も「夏場にかけて、数割ほどは値上げせざるを得ないだろう」としている。
一方で、現場の漁師からは「実際はもっと捕れているはずだ」という声も。100グラム単位で捕っている人を見掛けるという情報もあるといい、複数の漁師や養鰻業者は「暴力団関係者が相場より高い値でシラスウナギを買い付け、闇ルートに流れているのでは」と指摘する。ある県内漁師は「今年は県外の相場が相当良いので、かなり県外に流出しているはずだ」とみる。
同課の西山勝課長は「違法な漁の取り締まりは県警と連携し強化していく。ウナギの資源は、間違いなく減少している。養鰻業者などから漁期の延長要請もあり、どう対応するか慎重に判断する」としている。