マネー研究所

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仕事やめたい40歳 遺産1億円で人生逃げ切れる? ゴールから逆算する家計改善メソッド(3)

2018/2/28

写真はイメージ=123RF

 目指すは収支盤石な「安泰家計」、しかし現実は日々のやりくりに四苦八苦――。そんな「お困り家計」でも、プロから見れば打つ手はある。本コラムでは、実際にあった家計相談を基に、金融ITに強いMILIZEがシミュレーションを用いて改善に必要な金額を逆算。ファイナンシャルプランナー(FP)の前田晃介氏が具体的な改善策を提案する。3回目は、遺産相続で1億円を手に入れた40歳独身男性の相談。「仕事をやめて好きなゲームだけして生きていきたい」――。果たして望みはかなうのか。

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 「まとまった遺産が入ったんですが、これで残りの人生、働かずに暮らせないでしょうか?」

 今回、私(FPの前田晃介)の事務所にやってきたのは、チェーンストア大手に勤める独身サラリーマンのEさん(40歳男性)です。聞けばEさん、遺産相続で約1億円(相続税を支払った後の手取り金額)を手にしたとのこと。「サラリーマンの生涯年収は3億円くらいですよね。ならその3分の1があれば、もう働かなくてもいいんじゃないかなって……」とEさん。なるほど、お気持ちはよくわかります。

 「それで1億円を元手に増やしてみようと、スマートフォン(スマホ)の広告に出ていたFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨に投資してみたんですよ。最初、100万円ももうかったんで『これならいけるかも?』と投資額を増やしたら、あっという間に1000万円の損失が出ちゃいまして」。なるほど、すでに1000万円の損失ですか……(この時点で少し頭が痛くなりました)。

 「残り9000万円と貯金で500万円、合計9500万円が手元にあります。話は戻りますが、これでなんとか働かずに暮らしていけないでしょうか?」とEさんは聞きます。私は、「残念ですがEさん、老後を迎えた途端に資金が尽きてしまいそうです」とお話しせざるを得ませんでした。

■9500万円あっても66歳で赤字に

 Eさんは東京23区内の賃貸マンションで一人暮らし。年収は約600万円で、結婚する気はなく、収入の大半を趣味のゲームに費やしているそうです。「仕事をやめたい。つらい」と繰り返すEさんに理由を聞くと、仕事の内容に興味が持てない、職場の人間関係も悪い、出世コースに乗れず先の展望もないとのこと。そんな中、遺産でまとまった金額が入ったことから、「仕事をやめてゲーム三昧の人生」という夢をお持ちになったようです。

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