マツタケ近縁種のバカマツタケ 人工栽培に初成功 良食味生かし有利販売へ 奈良県
2018年02月28日
人工栽培に成功したバカマツタケ(奈良県森林技術センター提供)
奈良県森林技術センターと森林総合研究所は27日、マツタケと近縁種のバカマツタケの人工栽培に初めて成功したと発表した。バカマツタケは、マツタケと見た目や食味、香りが似たきのこ。菌糸を培養して苗木と一緒に植え、広葉樹の多い林で発生させる。採集より安定生産が見込め、良食味を生かした有利販売ができるとして、奈良県内のきのこ農家に技術の普及を進める。
バカマツタケは全国の広葉樹林に発生し、やや小ぶりでマツタケ程度の大きさに育つ。戦後に発見されたため知名度は低いが、食用にする。マツタケ同様、菌床栽培や人工栽培ができなかった。
開発した栽培法は培地で2カ月間、菌を培養。菌糸を砕いて土壌資材と混ぜ、苗木の根に密着させて林内に植える。苗木や林の樹種はミズナラ、コナラ、クヌギ、ウバメガシなどブナ科の広葉樹が適する。
奈良県内で2016年11月に約10本植え、菌糸などの塊「シロ」を3本で確認。17年10月にきのこ1個が発生した。シロは菌糸が定着した証拠で、今後もきのこの発生が見込める。
技術はマツタケへの応用も期待できる。同センター森林資源課は「広葉樹を生かし、収入増加や荒廃した里山の手入れを兼ねた栽培につなげたい」と普及に期待する。
バカマツタケは全国の広葉樹林に発生し、やや小ぶりでマツタケ程度の大きさに育つ。戦後に発見されたため知名度は低いが、食用にする。マツタケ同様、菌床栽培や人工栽培ができなかった。
開発した栽培法は培地で2カ月間、菌を培養。菌糸を砕いて土壌資材と混ぜ、苗木の根に密着させて林内に植える。苗木や林の樹種はミズナラ、コナラ、クヌギ、ウバメガシなどブナ科の広葉樹が適する。
奈良県内で2016年11月に約10本植え、菌糸などの塊「シロ」を3本で確認。17年10月にきのこ1個が発生した。シロは菌糸が定着した証拠で、今後もきのこの発生が見込める。
技術はマツタケへの応用も期待できる。同センター森林資源課は「広葉樹を生かし、収入増加や荒廃した里山の手入れを兼ねた栽培につなげたい」と普及に期待する。
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17年豆乳 製造量が最高更新 前年比8%増 無調整伸び
日本豆乳協会によると、2017年の豆乳製造量は前年比8・1%増の33万9281キロリットルで、過去最高を更新したことが分かった。前年超えは9年連続となる。大豆と水のみを原料とする無調整豆乳の伸びが特に大きい。同協会は「健康を気遣い、豆乳を常飲する人が増えた。家庭、外食ともに料理の材料として使われる機会が多くなっている」と分析する。
分類別に見ると、最も伸び幅が大きいのは無調整豆乳で、前年比19%増の9万304キロリットルだった。「製造技術が高まり、豆乳に残る大豆の臭みが軽減されて飲みやすい商品が多くなった」(同)という。
製造量が最も多い調製豆乳も堅調で、7%増の18万1890キロリットルだった。
消費の拡大に合わせ、豆乳メーカーは大容量パックや原料にこだわった無調整豆乳を充実させる。業界最大手のキッコーマン飲料(東京都港区)は、国産大豆を100%使用した無調整豆乳を3月26日に発売する。飲みきりサイズの200ミリリットルに加え、調理向けや毎日飲む消費者を意識した1リットル入りの商品も用意する。
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一方、果汁入り豆乳飲料が2%減の1万5198キロリットルとなるなど、風味付けした豆乳飲料類は微減だった。
同協会は20年までに製造量50万キロリットル超えを目指す。目標の達成に向け、「需要の伸びしろが期待できる若い人たちへのPRを強めていく」と意気込む。
2018年02月27日
日本の木造家屋は、その場に適した木材を使う
日本の木造家屋は、その場に適した木材を使う。土台には長持ちし腐りにくいヒノキ、はりは曲げに強く頑丈な松。柱は加工しやすく木目が美しい杉といった具合に。「適材適所」はここから来ている▼「材」の特質を知ることすなわち「家」を生かすこと。人事の要もここにある。安倍首相らが佐川国税庁長官を適材適所と繰り返すところを見ると、役人の世界の適材とは「見ざる・聞かざる・言わざる・逃げ回る」を貫き、官邸に忠誠を誓う人なのだろう▼人使いは難しい。黒田如水が息子の長政を叱った言葉が伝わる。「部下を夏の火鉢や日照りの雨傘にするな」。長政が配下の能力や適性を見抜けず、人材を生かせていないことを叱り、適材適所の大切さを説いた▼皆さんの職場はどうだろう。夏の火鉢、日照りの雨傘のように、無駄で効率の悪い仕事を精神論で部下に押し付けてないか。若者を生かせないリーダーは失格だと、ビジネス論で脚光を浴びるマルチタレントの西野亮廣さんが夕刊紙で語っている。30~60代の発想で乗り切れるほど甘い時代ではない。10、20代がアイデアを出したいと思い、それを受け入れるリーダーでなければ「会社ごと倒れる」と▼若者登用の適材適所は、あらゆる組織改革に通じる。材は磨かれて財になる。
2018年02月28日
平昌五輪あす閉幕 日本選手の奮闘に勇気
韓国・平昌冬季五輪での日本選手の大奮闘に笑顔と勇気をもらう。メダルは20年前の長野大会を超え、冬季五輪史上で過去最高。「決して諦めない」。そんな思いを改めて思い起こす大会となった。
「KKコンビ」が象徴的だ。日本選手団の主将でスピードスケートの小平奈緒、旗手を務めたスキージャンプ・葛西紀明の両氏の頭文字である。
小平選手は金メダルの期待を一身に背負い、そして見事に勝ち取った。その実績もさることながら、試合後の立ち居振る舞いにも感動が募る。ライバルで韓国の李相花選手を気遣い、泣き崩れそうになった彼女を抱きかかえた。共に競い、支え合い、高め合った。だからこその気配りだったろう。
45歳の葛西選手は思ったような成績を残せなかったが、前を向く。「もっと進化し練習して、次はメダルを取りたい」と視線は4年後の北京五輪へ。その時は49歳となるが、レジェンド、伝説の男である。あくまで頂点を目指す。中年の星でもある葛西選手に背中を押されたと感じた人も多いに違いない。
今回の大会での圧巻はフィギュア男子・羽生結弦選手である。持病、大けが、被災。あらゆる困難に立ち向かい五輪連覇の偉業を成し遂げた。フリー演技で力を出し切り、「勝った」と何度も叫び、痛めた右足首をさすった。あらゆるものに「勝った」のだ。演技を見守った出身地の仙台市民は金メダル獲得の瞬間、涙した。東日本大震災から間もなく7年。羽生選手自身も被災し避難所暮らしを経験した。「あの時に比べれば、どんな困難にも耐えられる」と語り、被災地を笑顔にしたいとの思いも込め滑りきった。
JA全農が支援するカーリング女子の笑顔も印象的だ。かたくなに張りつめる「頑張れ」ではない。顔が晴れ晴れとする「顔晴れ」こそが欠かせないと教えてくれた。日本中を笑顔にする「顔晴れ」を招いたと言えよう。
スピードスケート女子団体追い抜きで高木美帆選手らチームの快挙も特筆すべきだ。個の限界を全体で補う。日本人が得意とするチームワーク、連携こそがスケート王国オランダに完勝した理由だ。選手の奮闘に、三つの力を合わせれば十人力とも読める協同組合の「協」の字が浮かぶ。
選手たちは雪国を中心に、農業が基幹の地方出身者が多い。小平選手の父・安彦さんは稲作農家で長野・JA信州諏訪の組合員でもある。「日の丸」を背負い闘うと同時に、地域の誇りを胸に競い合った。大自然と豊かな食で幼い時を過ごした原風景こそが頂点を目指す原動力になったはずだ。中家徹JA全中会長が師と仰ぐ協同組合の先人・宮脇朝男氏が掲げた「先憂後楽」の四字を思う。困難を突破すれば、やがて未来が開ける。五輪での日本選手の活躍は、この言葉を裏付けた。
2018年02月24日
英国・農村での不法投棄 奪われる美しい景観 特別編集委員 山田優
英国最大の農業団体である全国農民組合のミューリグ・レイモンド前会長は、先週開いた総会で任期満了のあいさつをした。焦点は、1年後に見込まれる欧州連合(EU)からの離脱に伴う政府への注文。英国が独り立ちした後に、季節労働者の確保や農業貿易をどうするかなどの問題が山積している。農家の最大の関心事が、離脱対策であることは間違いない。
ただ、あいさつの中で興味を引かれたのは、ごみの不法投棄対策に触れたことだ。一度訪れれば分かるように、英国の農村は息をのむほどに美しい。日本など海外からも多くの観光客が訪れる。住民たちは、伝統家屋や生け垣の外観を磨き上げる。外観を害するような看板などは厳禁で、自宅の壁や屋根の素材、色も規制されている。見事なまでに調和の取れた英国の農村イメージと、不法投棄の話は結び付かない。
実際には事情が異なるようだ。英国環境・食料・農業省が昨年10月に出した文書には、年間に100万件を超えるごみ不法投棄が地方政府から報告されている。前年の7%増しだ。3分の2が家庭ごみの不法投棄で、道路沿いで目立つ。不要な家電製品などが多く、処分に困って車でポイ捨てというケースが多い。当然、都会から離れた農村部が多く被害を受ける。
英BBC放送のサイトを見ると、道路脇に古い家具や壊れた窓枠が積み上げられた画像が並ぶ。地方自治体にとって投棄されたごみ処理のコストは、イングランドだけで年間に日本円で900億円がかかり、財政を圧迫している。不届き者のポイ捨ては、紳士の国でも深刻だ。
英国政府は、地方自治体などが、発見したその場で罰金を徴収できる仕組み作りを進めている。自分で捨てなくても、無登録業者に処分を依頼し、その業者が不法投棄した場合、発覚すれば罰金の対象になる。東京都千代田区などは禁止場所での路上喫煙者に罰金2000円を科しているが、英国の場合は最高額は6万円余りと高額だ。
前会長は、政府がごみ分野の規制強化を速やかに実行することを求めた。農村に暮らす人たちが、不法投棄の被害者。農地のごみは目障りなだけではなく、自分たちの豊かな生活を支える観光や農産物の販売に悪影響を与える。場合によっては危険物質が流れ出したりする恐れもあるだろう。
絵に描いたような英国の農村風景を思い出しながら、ごみの不法投棄問題の根深さを感じた。
2018年02月27日
TPP再交渉認めぬ 政府は明確に否定せず 自民議連
自民党国会議員有志による議員連盟「TPP交渉における国益を守り抜く会」(江藤拓会長)は21日、党本部で会合を開き、環太平洋連携協定(TPP)に関し、米国との再交渉は認めないとの立場を確認した。再交渉を前提にTPP復帰を検討する米国に対し、再交渉に応じない日本の姿勢を明確にして国内農家の不安を打ち消す狙い。ただ、政府の担当者は将来的に再交渉に応じる可能性については明確に否定しなかった。
江藤氏は会合で、集まった議員らに「再交渉はあり得ないと皆で確認したい」と呼び掛けた。再交渉をちらつかせる米国の動きについて「(TPPは)血を吐くようにしてたどり着いた合意だ。それを平気で投げ捨てておいて勝手なことを言うなというのが私の本当の気持ちだ」と話した。
安倍晋三首相は1月29日の衆院予算委員会で、再交渉について「現在、考えていない」などと明言を避けていた。
会合では出席議員からこの点に質問が集中。「(合意内容を)1ミクロンも動かさないぞという強い決意で政府も臨んでいただきたい」(古川康衆院議員)など毅然(きぜん)とした対応を求める声が相次いだ。日米自由貿易協定(FTA)交渉を迫られることに対して懸念の声も上がった。
これに対し、内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久・政策調整統括官は「一般的に政府の答弁は、あまり将来のことを予断することは言わないのが通常だ」などと曖昧な答弁に終始。米国から再交渉や2国間のFTA交渉を迫られる可能性については「今すぐ米国から何か言われる状況ではない」とした。
TPPを巡っては、トランプ米大統領がテレビのインタビューで「以前、結んだものより、十分に良いものになればTPPをやる」と再交渉を前提に復帰を検討する考えを表明。ムニューシン米財務長官は、復帰の可能性を含めて「活発に議論している」と述べている。
2018年02月22日
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2018年02月28日
“お役立ち”営農技術 篤農家の知恵 ネットで共有 成功招く“経営術”
これまで篤農家から教えてもらっていた優れた農業技術や経営のノウハウが、インターネット上でやりとりされるようになってきた。栽培マニュアルをネット販売したり、ネットで資金調達をするクラウドファンディングの仕組みで提供したりする事例も生まれている。
ヤフオク 3件1万円 高知市 雨森克弘さん
高知市春野町で40アールのミニトマトをハウス栽培する雨森克弘さん(58)は、農業技術情報などをオークションサイト「ヤフーオークション」に出品している。ヤギの飼い方や、ハウスの軒を安価で高くし高軒高でトマトを栽培するハイワイヤ方式に対応させる方法など、約20項目を提供する。
ヤフオクに情報を提供し始めたのは昨年6月から。落札価格を設定し、3項目セットを1万円で販売している。情報提供を希望する場合は、落札した人にPDFファイルで情報が送られる。疑問点や質問は雨森さんが電話で直接対応もする。効果がなければ返金するとしているが、返金された事例はない。
雨森さんは「最初はまさか売れるとは思わなかった。反響があり、実際に売れて驚いた」と話す。台湾からも注文があり、今までに約50件の販売実績がある。
他に、シャンプーの泡でハウスを保温する方法なども出品する。雨森さんは「以前は近所の篤農家などに聞いていた情報が売れる時代。自分が考案した情報が世界に発信できる。農家の持つ情報を提供する仕組みが確立し、少しでも農家の収入につなげたい」と話す。
「HPに」賛同者出資 宇都宮市 阿部英生さん
宇都宮市の阿部梨園は4月、農業経営のノウハウをインターネットで無料公開する。同園が3年かけて取り組んできた経営や運営改善のアイデア約450のうち、汎用(はんよう)性のある300事例を掲載する予定だ。
園主の阿部英生さん(40)は3年前、梨のブランド化と生産効率化を図り、外資系企業などで活動していた佐川友彦さん(33)を経営実行者として迎え入れた。
以来、園地マップ作成や樹木に識別番号を付けて管理する方法、従業員の作業表の改善、顧客データ管理法、組織改善策などを実行した。こうした改善策が奏功し、ブランド梨として高級百貨店と取引するまでに成長した。
4月には項目を整理して、ノウハウ集としてホームページ(HP)に掲載する。広く周知するためクラウドファンディングで運営資金を募ったところ、1カ月間で農家ら325人の賛同者から446万円の出資が集まった。
農家が情報を購入するときの煩雑な決済手続きの手間を省くため閲覧は無料にしたが、出資者の半数は農家。返礼品として、梨やポロシャツの他、農家向けに経営ノウハウの出前授業を提供しているが、出資した農家からは出前授業への要望が多いという。
佐川さんは「われわれが培ってきた経営ノウハウを公開することで、他の農家の役に立ちたい。農家の高い生産技術を生かすための経営の工夫を広く共有できれば、産地の振興にもつながる」と期待する。
特許取得ぜひ
坂野雅敏・全国農業改良普及支援協会会長の話
集落で伝承してきた農業生産や経営技術は、高齢化や離農者の増加で上から下の世代に直接伝えるのが難しくなってきた。インターネットで普及する動きは、自然な流れだろう。熟達した農家の小さな工夫は商品価値があり、需要が高い。情報提供者には、有償・無償いずれの場合も事前に特許取得することを勧める。転売や、そこから発生するトラブルを防ぐためだ。
2018年02月27日
[ここに技あり] タマネギ苗移植用 穴あけ器自作 作業時間4分の1に 埼玉県日高市 高沢諒平さん
埼玉県日高市の野菜農家、高沢諒平さん(29)はタマネギの苗を定植するときに、マルチに簡単に穴を開ける「移植穴あけ器」を自作している。角材で作った木枠に、先端をとがらせた棒24本を接着。これを穴のないマルチに押し付けることで、一度に24カ所の穴を開ける仕掛けだ。手作業で一つ一つ穴を開けるより正確で、時間も4分の1ほどに短縮できる優れものだ。
タマネギ栽培は一般的に穴の開いたマルチを使うが、隙間から雑草が生えてしまうため除草に手間がかかる。そこで穴なしマルチに小さな穴を開けてから苗を定植することで、除草の手間を省こうと考えた。
ただ、手作業で穴を開けると1列で2時間ほどかかった。「もっと手間も時間も省力化できないのか」。そこで、とがった棒を木片に取り付け、マルチに押し付ければ一度に穴が開くのではないかとひらめいた。早速、木片に8本のとがった棒を取り付けたところ、狙い通り瞬時に8カ所開いた。その後、「木枠をもっと大きくして棒の数を増やせば、さらに効率的になる」とサイズを大きくした“完全版”を作った。
作り方はこうだ。まず長さ約100センチの木片3本を平行に3本並べる。両端を畝幅に合わせて配置し、真ん中にもう1本を置く。次に横に渡すように畝幅に合わせた長さ約50センチの木片を6本置き、上からくぎを打ち付ける。カッターで先をとがらせた直径1センチ、長さ10センチの木の棒を24カ所に取り付ける仕組みだ。ドリルで深さ1センチほどのくぼみを作り、棒を入れて接着剤で固定する。棒は縦15センチ、横20センチの間隔。木枠を固定するため、L字型の金具を内側4カ所に取り付ければ完成だ。高沢さんは「これ以上枠を大きくすると重くなり持ち運びが大変になるので、この大きさが最適」とみる。
材料は全てホームセンターで購入でき、「1000円ほどで作れる」と高沢さん。木枠のサイズや棒の間隔などを調整すれば、他の作物でも応用できるという。
埼玉県農業大学校を2015年に卒業し、昨年から本格的に農業を始めた高沢さん。70アールでタマネギの他、ニンニクやトウモロコシなどを直売所や飲食店などに直接販売している。「全て一人でやるから出荷準備や配送作業に時間がかかる。だからこそ効率的に農業ができる工夫をしていきたい」と笑顔で話す。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください
https://www.youtube.com/watch?v=mrRe-o5QamU
2018年02月27日
酪農界挙げ人材育成 生乳生産基盤強化 北海道12者で組織
北海道の酪農業界が一丸となり、酪農経営者の育成に取り組む。JA北海道中央会や道、ホクレン、大手乳業メーカー、大学、業界団体で北海道酪農人材育成協議会を設立し、2018年度は講座などで農業経営者を育成する道の事業に協力する。離農に歯止めがかからない中、経営管理技術の向上により生産基盤の強化を狙う。
2018年02月26日
サトウキビの島 未曾有の危機 葉先 茶色に・・・無念 収量最低、低糖度 鹿児島・種子島
サトウキビ産地の鹿児島県・種子島が危機にひんしている。10アール当たり収量と平均糖度の落ち込みが激しく、農家の手取り額は前年の3分の1に減る見込みだ。昨秋の台風被害が表面化した。糖度低下は同県の喜界島や沖永良部島でも広がっているが、収量にも影響を受けたのが種子島だ。島のサトウキビを全量加工する製糖会社の製糖量も過去60年で最低になりそうだ。JA種子屋久は「このままでは島の基幹産業が成り立たなくなる」と悲鳴を上げる。
「こがんとで糖度が上がるわけなか」。23日、サトウキビ畑を見回った中種子町の農家、梶屋良幸さん(67)は吐き捨てるように言った。通常ならまだ青々としているはずが、梶屋さんがつかんだ1本は葉先まで茶色く変色していた。従来は12月中旬の収穫開始から、徐々に糖度が上がっていく。だが、今年は糖度の低下が止まらず、農家は焦りを募らせる。「サトウキビの成長も進まず、収量もかなり少ない。こんな年はなかった」。梶屋さんの表情は暗い。
台風に病気発生
8~10月に相次いだ台風が原因だ。種子島は、8、9月の生育期に葉が裂けたことで成長が著しく鈍化した。
回復の兆しが見えてきた10月、再び台風被害が発生したことで、糖を蓄える登熟期も十分に光合成ができなかった。傷んだ葉先からはサトウキビさび病が広がった。広範囲で葉先が茶色くなり、さらに状況が悪化した。
喜界島や沖永良部島は8、9月の生育期には台風の影響が少なかったため収量に大きな影響はなかったが、糖度は伸び悩んだ。沖縄県でも一時、糖度の低い状態があったが、2月になって回復に向かっている。
手取り額に直結
種子島が深刻なのは、農家手取りに直結する収量、糖度のいずれもが、過去にないほど落ち込んでいることだ。
JA種子屋久が20日に試算したところ、10アール収量は過去5年平均より15%少ない4・9トンにとどまる見込み。原料価格や交付金の額を左右する平均糖度は、20日現在で10・46と前年より3、前々年より2低い。JAによると、昨年は7万7000円だった10アール当たりの農家手取り額は、わずか2万7000円。「ここ数年、不作の年が続いており農家に蓄えがない。離農者の増加につながりかねない」と懸念する。
製糖業「大赤字」
サトウキビ関連産業も揺らいでいる。島内のサトウキビは、全量を新光糖業が製糖する。農業の専門部署を設け、収穫に使う機械の手入れや資材の処分などを請け負う。島のサトウキビ産業にとってなくてはならない存在だが、同社の長野研一中種子工場長は「今期は大幅な赤字になるのは間違いない」と明かす。
島全体の生産量が過去最低であることに加え、平均糖度が低い原料は砂糖の歩留まり率が悪い。今期の製糖量は1万500トンで工場を稼働した1957年以降、過去最低になる見込みだ。収益性が悪化している中、今のところ撤退の予定はないというが、「農家の営農意欲が下がって面積が減り続ければ、事業継続が難しくなる」と長野工場長は話す。(金子祥也)
2018年02月24日
「秋はるか」高温に強く業務向け 「ヒノヒカリ」より15%多収 農研機構
農研機構・九州沖縄農業研究センターは19日、「にこまる」よりも高温登熟耐性が優れ、病害虫にも強い多収の水稲新品種「秋はるか」を育成したと発表した。東海以西での栽培に適し、農薬を減らした低コスト生産で安定収穫が期待できる。炊飯米の粘りが強くないため大量炊飯に向き、手頃な価格が求められる外食・中食産業での活用を見込む。
2018年02月20日
ドローン散布用農薬 試験手続き簡素化 高濃度使用可能へ
農水省は、ドローン(小型無人飛行機)での散布に適した農薬の拡大に向け、手続きの見直しなどを進める。ドローンは積載量が限られるため、農薬が少量でも効くように、高濃度で散布できる商品を求める声が強い。そのため、既存の農薬をより高濃度にしても散布できるよう、農薬メーカーが国に申請する際、必要な試験の手続きを簡素化する。2018年度中の見直しを目指す。他の作物は1ヘクタールにとどまる。
2018年02月16日
森林管理の収益配分 所有者に1ヘクタール70万円 新制度理解求める 林野庁試算
新たな森林管理制度で、経営者と所有者への収益配分を巡る林野庁の試算が15日分かった。低コスト化や国の事業の活用を進めれば、市町村の計画に基づき新たな経営者に管理を委託した所有者に、1ヘクタール当たり70万円程度が支払われると試算した。所有者にも適切に収益が配分されるか疑問の声も上がる中、同庁は試算の提示で、新制度の実効性に理解を求める構えだ。
2018年02月16日
[営農ひと工夫] 重み分散 運搬楽々 一輪車支持ベルト 坂道や段差にも強く 千葉の三宅さん
千葉県茂原市で野菜や果樹20アールを栽培する三宅信夫さん(78)は、肥料や収穫物の運搬に使う一輪車の支持ベルト「楽与」を開発した。一輪車の持ち手に取り付けた金具に肩掛けベルト、腰ベルトをつなぐ仕組み。両肩にバランスよく重みが分散され、腕の負担が大幅に軽くなる。両側の持ち手をつなぐ腰ベルトで前に押せるので、坂道や段差でも移動しやすい。高齢者だけでなく、誰もが軽労化できる資材として、販売も進める。
「楽与」は、肩から外れないよう胸の部分にリング状の金具を取り付けたことで、両肩に均等に負荷がかかり、左右のバランスを安定させている。さらに左右の持ち手をつないで腰の位置にベルトを設置したことで、坂道や段差を通るときに体で支えられるようになり、使いやすさを向上させた。
背中側はつながっていないので、ベルトを装着したまま前に一輪車を傾け、積み荷を前方に降ろすこともできる。三宅さんは「楽与を使えば1日作業してもほとんど疲れない」という。
三宅さんは、70歳を過ぎてから、手付かずになっていた農地の管理を始めたが、一輪車での運搬が大きな負担だったという。そこで、一輪車の持ち手に肩ベルトを付けることを考案。しかし、そのまま片側ずつ掛けるとすぐ外れてしまい、たすき掛けにすると体が締め付けられてしまうなど、試行錯誤を繰り返した。
納得いく形になるまで開発に半年かかった「楽与」。傾斜のある圃場(ほじょう)や、足元が安定しない畦畔(けいはん)などで使える。また、三宅さんは「災害現場の後片付けでボランティアの方が一輪車を使っているのを見るが、きっと苦労しているはず」と、農業以外での活躍も期待する。
定価は持ち手の金具なども含め、1セット 5800円。本紙の読者は4500円(送料込)で提供するという。申し込みは、ファクス0475(34)3855。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください
https://www.youtube.com/watch?v=OiGACNUU5gw
2018年02月13日
「これが雑草稲」 3系統 特徴確認 はびこる前に対策を 農研機構など
農研機構・中央農業研究センターなどの研究グループは、国内で増えている雑草稲に3系統あることを突き止めた。どれも玄米が赤いが、もみの色や玄米の形、草姿などが系統ごとに異なり、雑草稲を発見する手掛かりになる。雑草稲は気付かずに防除が遅れる例が多く、同センターは特徴を知らせ、農家の早期対策を促している。
2018年02月11日