サイホンの原理を使った小水力発電施設を整備しようと26日、福井県おおい町名田庄納田終の南川小松砂防ダムで公開実験が行われた。同町民やNPO法人、電気事業者などでつくる「南川上流域の活性化事業協議会」が整備するもので、同様の発電設備が砂防ダムに設けられるのは福井県内で初めて。ダムに穴を開けなくても済むのが利点で、来年7月の事業化を目指している。
同協議会は昨年、県の「1市町1エネおこし事業」の一環で、この発電施設を整備しようと結成された。
サイホン式の発電施設はダムに穴を開けず、配管を敷設して取水する。最初にポンプを使って取水管の中を水で満たすと、サイホンの原理で次々と水が流れ出し発電する仕組み。
ダムへの影響が少ないほか、安価で設置できるのが特長。県内では大野市内のダムに同様の設備があるが、砂防ダムに設置されるのは初めて。
同ダムは高さ19メートル。砂防だけでなく貯水池としての機能もある。最大出力約80キロワットを見込んでいる。
この日は小規模な設備で公開実験を行い、同協議会のメンバーと名田庄納田終区の住民約10人が参加。同協議会のメンバーで、理創電力(本社福井市)の吉田裕則社長(36)がサイホン式取水や発電の仕組みを説明した。今回は出力200ワットに成功し、同協議会ではまずまずの感触を得た様子だった。
参加した名田庄納田終区の小松輝治さん(77)は「資源を有効活用できるのは良いこと。この水力発電を皮切りに南川上流域が少しでも活発になればと期待している」と話していた。
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