いよいよ開幕したJリーグ。誤審はとりあえず置いといて、なかなか話題にならない好判定をちょっと解説しながら振り返ろうと思います。
各試合ハイライトからの選出なので、東京×浦和での荒木主審の再開チームの見極めがめちゃ上手かったとかはありません。あくまでハイライトに載るようなシーンでの好ジャッジです。紹介する順番も適当です。


東京V×千葉 9分
主審:三上正一郎 判定:退場

解説するまでもなく、決定的な得点機会阻止でレッドカードです。この判定を評価する理由は単純に「ちゃんと判定してますねー」ということだけではなく、“状況”にあります。
9分という非常に早い時間、しかも開幕戦です。それでも退場に相当する反則であることに間違いはありません。状況に惑わされずに、スムーズに毅然とした態度で正しい判定をしたところはもっと評価されてもいいのではないでしょうか。


湘南×長崎 16分
主審:家本政明 判定:ゴール許可

これは長崎のJ1初ゴールのシーン。評価されるべき判定は2つあります。
1つは、GKに防がれたシュートをした選手のオフサイドを取らなかったこと。ゴール前が混戦という中で裏に抜け出してきた選手が“オンサイド”であることを正しく判定しています。副審をやっている方は分かると思いますが、意外と難しいんですよね。
もう1つはゴールを認めたこと。ゴールした田上選手がヘディングしたとき、GKの前には長崎の選手がオフサイドポジションにいます。「GKのプレーに干渉したのでは」と言われるかもしれませんが、GKは直前のシュートをセーブした影響で倒れています。懸命に腕を伸ばしましたが届いていませんね。これはオフサイドポジションにいる長崎の選手がいてもいなくてもセーブすることは不可能だと思います。GKが立っていたらオフサイドを取ったかもしれませんが、GKの状況を見てオンサイド、ゴールを認めた判定は素晴らしいですね。

湘南×長崎 78分
主審:家本政明 判定:湘南に直接FK

先程と同じ試合での決勝点のシーンです。湘南の選手が倒されたのですが、こぼれ球は湘南の別の選手に繋がりました。アドバンテージを取ってもよい状況ですが、家本主審は流さずにファウルの笛を鳴らし直接FKを与えます。結果的にそのFKから得点が生まれました。
アドバンテージを取らなかった理由として反則した場所がFKを行うとすれば良い位置であること、こぼれ球を拾った選手のトラップが浮いて、さらにやや後ろに流れたためシュートしても得点の可能性が非常に低いことがあります。アドバンテージを取った場合、こぼれ球を拾った選手がシュートを撃てばそこでアドバンテージの効果が切れます(いやアドバンテージは続いていてプレーを戻してのFKだよ、と言われたら僕は反論できませんが)。それならば無理な体勢でシュートが撃たれる前に笛を鳴らし、より得点する可能性が高いFKを与えたほうがいいでしょう。湘南に与えられた勝ち点3は、良い意味で家本主審の活躍がもたらしたのかもしれませんね。


京都×町田 42分
主審:谷本涼 判定:ゴール許可

これは町田の2点目のシーン。クロスボールをGKの前で合わせ、ゴールを奪いました。GKとの接触がありますが、これはGKに向かっているわけでもなく、GKがキャッチしたボールを頭で突いたわけでもない正当な競合いです。反則を取らずにゴールを認めたナイスジャッジだと思います。

山口×熊本 86分
主審:山岡亮介 判定:ゴール許可

熊本が1点を返したシーンです。ゴールをした熊本の選手は、この角度では微妙なところですがオフサイドポジションにいる可能性があります。横からの映像がないので申し訳ないですが、ここではオフサイドポジションにいたと仮定して解説します。
クロスボールが蹴られたとき、得点した選手はオフサイドポジションにいます。ですが、クロスボールに対して山口の選手がスライディング。僅かですがボールに触れています。つまり意図的にボールをプレーしたためオフサイドは認められません。それを見極めてオフサイドを取らず、ゴールを認めました。オフサイドポジションにいたという仮定の上での話ですが、試合終盤でも集中力を切らさずに正しくゴールを認めたナイスジャッジですね。

大宮×甲府 51分
主審:中村太 判定:甲府にPK PKのやり直し+GKに警告

これは甲府にPKが与えられたシーンです。
最初にエリア内で倒れる選手がいます。ただこれはノーファウルの判定。しかしその直後、大宮の選手が腕を上げてボールに触れた(不自然な位置に腕がある)ためハンドリングを取りPKを与えました。
最初の交錯シーンで集中を切らさず、その後のハンドリングを見逃さなかったのは素晴らしいと思います。ノーファウルであることをジェスチャーで表した上で、その後のハンドリングも落ち着いて判定しましたね。

更にもう1つ。このPK、一度はGKがセーブします。しかし副審がしっかりと見ていました。
{C144F9F7-6C61-4173-ABEA-8AB578E16958}
GKがキック前にゴールラインを越えていますね。副審が旗で合図し、中村主審がやり直しを命じます。そのときに忘れずに警告を提示したのも素晴らしいですね。連続してナイスジャッジができたことはポイントが高いのではないでしょうか。


J1J2第1節好ジャッジの振り返りはここまで。次節も素晴らしい判定が多く見られるといいですね(誤審は減らしましょー)。
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