プラザ合意から33年、1985年は何だったのか

失われた20年から抜け出せていない原因は

プラザ合意の会場となった米ニューヨークのプラザホテル、2015年撮影(写真:写真:ロイター/アフロ)
現在、トランプ政権下において、円高ドル安が進んでおり、1985年のプラザ合意後にも円高ドル安に推移した経緯があります。『1985年の無条件降伏 プラザ合意とバブル』を基に今、現代史の転換点といえる1985年を振り返ってみます。

「失われた20年」の原点

1970年代から80年代にかけて、日本経済は活力にあふれ、アメリカを猛然と追い上げていた。アメリカも、このままではやられてしまうと、日本経済を警戒していた。当時のアメリカにとって、脅威だったのは、中国ではなく、日本だった。

79年には、アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲル氏が『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出し、日本では70万部を超えるベストセラーとなった。この本は日本の経済成長の原因を探ったもので、日本人の学習意欲、読書意欲を高く評価している。なによりもこの本は、日本人に「もしかすると、日本はすごいのかもしれない」と自信を持たせた。

最近になって中国でも中国語訳が出て注目されており、本のタイトルはまさしく直訳の『日本第一』という。国と国の比較は難しいものだが、ひとつの尺度として、GDP(国内総生産)の数字を見てみよう。85年のGDP(当時はGNP=国民総生産)は、世界の首位がアメリカの4兆3400億ドルで、2位が日本の1兆3800億ドルだった。

この年の世界のGDPを総合計すると12兆4000億ドルだったから、計算すると、アメリカは世界のGDPの35%を占めている。まさしく超大国だ。しかし、2位の日本も12%を占め、アメリカに迫っていることが分かる。太平洋戦争が終わったのが1945年だから、そのわずか40年後には、日本は、アメリカを追い上げる国として復活した。アメリカには及ばないにせよ、このころ、日本国内でも、「日本は経済大国」という言い方をするようになった。

3位は、当時の西ドイツで6500億ドル(世界の5%)だった。日本のちょうど半分の規模であり、日本経済がいかに大きかったかを示している。4位はフランス、5位はイギリス、6位はイタリア、7位はカナダだった。この7か国が、主要国首脳会議(G7サミット)のメンバーになるのは、ごく自然なことだった。

ちなみに、中国は、ようやく8位に入っているが、GDPは3100億ドル、世界の2%に過ぎない。やがて日本を抜き、アメリカに次ぐ経済規模になってG2を自称するようになるとは、このころ、だれも思わなかった。

当時、G2という言い方はなかったが、もしG2という言葉があるとすれば、それは、アメリカと日本のことだった。

その日本は、80年代末にバブル経済の絶頂期を迎えたものの、90年に入るとバブルが崩壊し、「失われた10年」の長期不況に入った。失われた10年が終わるはずの2000年になっても不況は終わらず、失われた10年は「失われた20年」となってしまった。

2011年には東日本大震災が起き、失われた20年は、いろんな意味でどん底に陥った。そこに登場したのが安倍晋三首相のアベノミクスだ。アベノミクスは高評価と酷評とに二分され、なお、評価は定まらない。ただ、公平に見て、失われた20年が「失われた30年」になることをアベノミクスが防いだのは間違いない。しかし、アベノミクスからの出口が見えないこともまた事実である。

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  • 改革を怠るナマケモノb6bc65546d0b
    いや、単純に、すべき改革をせず(したとしても中途半端)、成功体験にあぐらをかいて変化を拒み続けた結果だと思います。

    これからも、名前だけは大層な「改革」が「中途半端に」なされ、実質的にはほとんど何も変わらないまま衰退を続けていくのが目に見えています。

    本当に「勤勉」ならば、すべき改革も成し遂げられるはずなのですが。
    up17
    down1
    2018/2/27 12:29
  • NO NAME9684dd236848
     プラザ合意が無条件降伏とは言い過ぎだ。当時は異常なドル高だった。新婚旅行に出てアンカレッジでロレックスをカードで(ドル建て)購入、成田空港での申告で4万円払ったが、プラザ合意後のカード決済時にドル高解消で安く上がったことを思い出した。
     当時を思い起こすと妥当な合意だったと思う。問題はその後で、異常な円高まで進んだ要因をもっと丁寧に分析すべきで、(確かにスタートはプラザ合意だが)原因を単純化するのは如何なものかと思う。
    up18
    down4
    2018/2/27 09:54
  • NO NAME5674ad88ade7
    経済大国だなんだの持て囃されても結局軍事、市場、科学技術をアメリカにおんぶにだっこでチートした結果の経済成長
    本当に大国で欧米と対等で有れば今の中国のようにプラザ合意の様な一方的に国が衰退するような条件、一種の経済戦争を無条件で白旗を受け入れるような事はない
    ww2でコテンパンにやられた結果欧米に無条件で降伏するようトラウマになったまま
    up13
    down3
    2018/2/27 08:30
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