検察が異例の求刑放棄 被告の自白調書証拠採用されず 大阪地裁堺支部
常習累犯窃盗罪に問われた被告の男(30)の論告求刑公判が26日、大阪地裁堺支部(渡部市郎裁判長)であり、検察側は、求刑せずに結審した。
求刑放棄は異例。事件への関与を認める被告の供述調書が証拠として採用されなかったことが理由とみられ、無罪の公算が大きくなった。
検察側は論告で「裁判所の決定は、証拠能力の判断を誤っており、極めて遺憾」と主張した。判決は3月14日に言い渡される。
被告は平成29年5月、大阪府松原市の路上で通行中の女性のカバンをひったくろうとしたとして逮捕、起訴された。
弁護側は警察官から「物証がある」と言われて自白したが、実際はやっていないと無罪を主張。一方、検察側は、男が別の窃盗事件で逮捕され、警察で取り調べを受けていた際に、ひったくりに失敗した事件として、この事件を自供したとしていた。
渡部裁判長は「追及されているわけでもないのに自白に至った経緯は唐突」などとして、自白調書の不採用を決定した。