のぶみ氏の絵本を批判するならば
情報管理LOGの@yoshinonです。
記事中に間違いが、ございました。
私が、勝手にNHKのと思い込んでいましたが、「わたしおかあさんだから」は、huluオリジナル番組「だい!だい!だいすけおにいさん!!」で流されたものでした。謹んでお詫び申し上げます。
また、訂正させていただきます。NHKの「おかあさんといっしょ」で流されたのぶみ氏の『あたしおかあさんだから』が炎上していますね。それと一緒に彼が今まで発行してきた絵本にも批判が集まってきています。確かに彼の作風は、私は好きにはなれそうもありません。しかし、その批判は本当に的を射ているのか?とちょっと首をかしげてしまう部分もありました。
今回は、のぶみ氏の絵本批判に対する批判をしてみたいと思います。
【 のぶみ氏の絵本を批判するならば 】 1.今回の騒動の概要 2.のぶみ氏の絵本 3.のぶみ氏の絵本を批判するならば |
まず、最初に明らかにしておきたいのは、私はのぶみ氏のことははっきり言って好きではないということです。
Twitter上でも今回の批判に関して、こんな感じのツィートをしてしまいました。
たぶん、私が彼のことを好きになれないのは、その作風の「あざとさ」が鼻につくからだと思うからです。とはいえ、「好き」か「嫌いか」と、批判の妥当性は別次元の問題なので、あえて書いていこうと思います。
今回の炎上の件ですが、様々なところで話題に上がってるので、すでにご存知の方が多いかと思いますが、一応概要を書いておきます。
かつてオシャレをしていたお母さんが、子どもを育てることで「わたしお母さんだから」様々なことを我慢するという歌詞でした。のぶみ氏は、「お母さんに対する応援歌のつもりだった」と言っています。しかし、お母さんに対する『子育てを最優先にする"献身的な"お母さん像を「呪い」のように押し付けている』(引用:『あたしおかあさんだから』歌詞への批判受け、絵本作家のぶみさんがコメント 「これはママおつかれさまの応援歌」
)という批判が上がっているのです。さらに、自身のFacebookで「お母さんだから我慢していること」を募集するなど、偏った情報収集による部分も批判に晒されているようです。
『あたしおかあさんだから』歌詞への批判受け、絵本作家のぶみさんがコメント 「これはママおつかれさまの応援歌」
全文表示 | 「ママおつかれさまの応援歌」が炎上 母親だけに自己犠牲を強いる? : J-CASTニュース
まあ、これらの批判に関しては、分からないではないなと思いました。特に彼の作風であるところの「あざとさ」が、100%発揮された結果だろうなと。まあ、子ども番組で歌わせるような歌でもないだろうしね。
歌詞に関する批判に関しては、他のところでやっていただくとして、彼の絵本についての批判についてです。
彼の絵本については、かなり前から批判的な声が上がっていました。
絵本は誰のためにある? のぶみ氏炎上を見て考えたこと
のぶみの絵本は賛否両論! ほかにもある「子どもに読ませたくない」と物議醸した人気絵本|サイゾーウーマン
「ママがおばけになっちゃった!」に対する息子の批判がまっとうすぎる - 仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長
それらの批判は、分からないでもないなと思ってしまうわけです。
彼の絵本の主要ターゲット層って、「【拡散希望】感動する本当の話」みたいなのをやっている層とモロかぶりするのでしょうね。だからこそ、逆に相容れないという人も多いのだろうなと思います。
『このママにきーめた!』
ママを喜ばせるために生まれてきたというメッセージが、織り込まれた作品です。これをわざわざ子どもに読ませる必要があるのか?という謎メッセージがてんこ盛りと批判を受けています。あと、虐待されている子も親を選んできたのか?という点も批判されていますね。
また、『このママにきーめた!』は、子供が親を選んで生まれてくるという話です。これは、のぶみ氏と親交のある産婦人科医、池川明氏の唱える説ですが、池川氏は、虐待を受けている子供も自ら虐待をする親を選んできたと主張しています。 「子供があなたを選んで生まれてきた」というのは、親にとってのメルヘンとしては受けがいいのだと思いますが、子供に「この環境に生まれたのは自分の選択なんだ」と思わせる影響については考えられているのでしょうか。
絵本は誰のためにある? のぶみ氏炎上を見て考えたこと
彼のよく批判に上がる絵本。
『ママがおばけになっちゃった!』
これもよく批判に上がっている絵本の1つです。
Amazonのレビュー欄を見たらよく分かります。
まさに、真っ二つという感じ。そして、1をつけている人は、酷評という…。
レビューの1つを見てみますか。こんな感じ。なかなか厳しいですね。
「この子私がいなくなったらどうなっちゃうの?」と考える大人向けの絵本です。子供の可愛さ健気さ逞しさにホロっとしたい大人向けの本です。
Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: ママがおばけになっちゃった! (講談社の創作絵本)
子供に与える絵本ではありません。
良質の本と日々対峙する司書や私設図書館を運営する方々が軒並みこの本を酷評している事実を出版社は考えて頂きたい。 子供に母親の死を考えさせるという事は与える側に相当な覚悟が必要。 世界中に子供向けの素晴らしい本が存在します。 辛い心を癒し話を聞き分かり合える親友のような人生を救ってくれる本が存在する。 そんな中でこの書を子供に与える意味が全く理解出来ない。
なんの覚悟も無いマーケティング至上主義の欺瞞に満ちた本です。自戒を込めて、与える側も賢明でなければいけません。
さて、のぶみ氏の絵本批判ですが、批判内容としては、大まかにざっくりと分類すると以下のようになるのではないかと思います。
・あざとい→親を泣かせるために書いている
・子ども向けではなく、親向け
・「生」や「死」というテーマを軽く扱いすぎ
・大人のエゴが見える
・内容が薄い
まあ、他にもあるかもですが、だいたいこんな感じでしょう。
これらの批判を読んでいて、まあだいたいそうなんだけど、彼だけを批判するというのは、どうなの?とか思ってしまったのです。
例えば、「はせがわくんきらいや」の長谷川集平氏の絵本にこんな絵本があったの知ってるでしょうか?
その名も「青いドッグフーズ」。表紙からして、もうすでにエロですよね。まあ、古い作品ですけどね。中身は、もっとスゴいんだけどね。
ちなみに、「はせがわくんきらいや」は、色々考えてくれる良い絵本です。
次は、「自殺うさぎの本」です。
これ、ごくたまに絵本コーナーとかに置かれていて、驚愕するんですけど…。
うさぎがあらゆる方法で自殺を図るというブラックユーモア的本です。まさに「生と死」を軽く扱いすぎな気もしますよね。
どんどんいきますよ。
大人向け絵本の代表格といっても良い本です。
児童殺害を行った実在した2人を題材にした絵本です。読めばトラウマレベル。
エドワード・ゴーリーは、本当に色々すごいので、関連して、これもいかがでしょうか?
これは、26人の子どもが、何の脈絡もなくどんどん殺される話です。
もはや、なんなんだ…。
さらに、どんどん行きますよ!
宮部みゆきの絵本!?と驚かれた人もいるのではないかと思いますが、これは「怪談えほん」シリーズという有名作家とコラボレーションした絵本シリーズです。どれも、大人向けっぽいんですよね。でも、子どもに読んでもらいたい風を装っているという。これも絵本コーナーでギョッとする絵本シリーズですね。
自分的には、悪くはないかな?と思いつつ、「子どもがトラウマになる」という観点で考えるならば、この作品もまさにそうかもしれません。好き嫌いをしていた少年が、自分とそっくりなこびとに嫌いな食べ物をあげていたら…という内容。
もう少し紹介していきますね。
子どもの虐待を題材にした作品です。
虐待された子ども目線の内容です。虐待されている子どもガーと言っている人は、どうぞ読んでみてください。
日本傑作絵本シリーズという名称にもクラクラしますが、なんといっても大御所である谷川俊太郎氏の作品です。しかし、読んだことがある人は分かると思いますが、この絵本(といって良いのか…)は、写真で構成されています。日本人形と少女の交流が描かれているのですが、写真怖すぎです。幼心でコレを手にしたら、一生日本人形には近づけない自信があります。表紙コワイ。
最後は、これかな?
みんなに親しまれていたバスがある日、役目を終えた後に不法投棄までされてしまうという内容。うちの子もこれを読んで絶句していました。
実は、これはさらに続編があって、
と、不法投棄後のバスの運命を綴った内容となっています。
これをお涙ちょうだいの作品ではないと言えるのか?
と、ダラダラと作品を紹介してきましたが、さてここまで見てきて、のぶみ氏の絵本を振り返ってみてみると、一方的に攻められるようなものではないのが理解できるかと思います。実は、最近の絵本コーナーは、のぶみ氏のような作品も徐々に増えてきており、コレは一体どういう意図で…と首をかしげてしまうような作品も見られます。
私は、別に絵本は、メディアだと思っているので、必ずしも「子どものだけためのもの」とは思っていません。ただし、適切なゾーニングが必要な分野ではないかと思っています。あと、のぶみ氏の絵本のような、「あざとい」作品が過去になかったわけではありません。逆にこうやって、ネット時代になったことによって、そういう作品だということが、シェアされる状況というのは、悪くはないなと思っています。
結局、それを選ぶのは、購入者(親)なのですから。
「あざとい」。しかし、表現の一つ
さて、長々と色々紹介してきましたが、のぶみ氏の作品は、自分的には好きになれる要素はありませんでしたが、だからといって表現そのものを否定はしません。そういう作風が好きな人にとっては、たまらないものがあるかもしれません。上でも少し書きましたが、絵本もメディアの1つだと思っているので、表現媒体としてあらゆることが試されることは、決して悪いことではありません。
結果的に良い作品のみが、時代を超えて語り継がれるのですから。
うちの子が、喜んでいた絵本の1つ。
- 関連記事
-
- のぶみ氏の絵本を批判するならば
- 少女終末旅行は、ゆるふわ系マンガではなくガチ目のSFだった
- 1月4日まで!ビジネス書が半額以上です!オススメ本を挙げておく