豊前海のアサリ復活へ 養殖法確立へ4市町連携 地域に適した手法探る 年間漁獲目標1000トン、県も支援 [福岡県]
「豊前海一粒かき」と並ぶ地元ブランド「豊前海アサリ」づくりを目指し、京築の2市2町(行橋市、豊前市、苅田町、築上町)が、新年度から連携することになった。かつて全国有数のアサリ産地とされた豊前海だが、今はその面影すらない。それぞれの地域に応じた養殖技術を確立し、アサリを加工し販売まで手掛けることで、漁業振興を目指すという。養殖の現状を探った。
バケツを一回り大きくした樽(たる)が並ぶ水槽に、昨秋にふ化した0・5ミリほどのアサリの稚貝が数え切れないほどいる。豊前市の豊前海そばにある県水産海洋技術センター豊前海研究所。その一角の光景だ。
3月からは、センターが開発した海で効率的に育成できる装置「かぐや」に稚貝を並べ、岸壁から2カ月ほどつるして1センチほどに育てる。このやり方は、陸上の水槽で育てる従来の育成法に比べ期間を大幅に短縮し、生産コストは10分の1。その後、稚貝を砂利入りの網袋に入れて干潟に置くと、1年から1年半ほどで3センチほどの成貝になるという。
一方、築上町が行っているのは、干潟に置いた砂利入りの網袋で海の天然の稚貝を採取し、1年半ほどで3センチ以上の成貝に育てる方法。半年に1回程度、網袋を裏返すことによって、成長を促すことができるという。
センターによると、豊前海(福岡県側)のアサリ漁獲量は1986年にピークの約1万1千トンだったが、2003年以降は年数十トン規模まで低迷している。
築上町の場合、7キロほどの砂利が入った網袋からは1シーズンに平均0・5キロのアサリが採れた。現在、2200袋を町内の干潟に設置しており、1・1トンの漁獲量が見込める計算だ。
天然採苗、人工採苗であれ、砂利入り網袋を使う点では変わらない。県が豊前海での目標に掲げる年間漁獲量千トンまで回復させるには、数百万袋の網袋が必要となる。網袋の確保が課題の一つだろう。
また、豊前海に面した干潟でも、地形や潮流によって天然の稚貝をほとんど採取できない地点もある。センター漁業資源課の中川清課長は「天然採苗か人工採苗かそれぞれの干潟に適した方法を見つけ、さらに改良する必要もある」と説明。2市2町の取り組みを支援する考えだ。
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京築地域の主な潮干狩りは、28日から豊前市の松江浦海岸、3月1日から築上町の浜の宮海岸などで解禁となる。
海岸の一角には網袋が置かれている場所もあるが、県や築上町は「アサリを増やす取り組みの一環であり、手を付けないでほしい」と呼び掛けている。
=2018/02/25付 西日本新聞朝刊=