不適切データ新たに233件 首相、法案提出の方針変えず

政治
2018/2/26 20:00
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 厚生労働省の裁量労働制調査に不備があった問題で、加藤勝信厚生労働相は26日の衆院予算委員会で、新たに233件の不適切データを確認したと明らかにした。野党は裁量労働制を盛り込んだ「働き方改革関連法案」の提出断念を要求。安倍晋三首相は「しっかりとデータの精査も行いながら準備している」と述べ、現時点で今国会への提出方針は変わらない意向を強調した。

 加藤氏は厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査」の事業所別調査を精査したところ、一般労働者の中に1日当たりの時間外労働は「ゼロ」と記しているにもかかわらず、月や週単位では時間外労働があったと記載しているケースが233件見つかったと説明した。「常識的に考えてあり得ないし、合理的ではない」と述べた。

 厚労省はこれまで同調査で、同じ人の残業時間が1週間よりも1カ月の方が短いケースなど誤記入が疑われる不適切データを117件確認している。加藤氏は1日の労働時間が2時間以下となっている誤記入のケースを挙げ「あまりにも短いので違和感を感じるのは事実だ」と述べ、精査を急ぐ考えを示した。不適切データの数はさらに増える可能性がある。

 立憲民主党の長妻昭代表代行は、首相が不適切なデータをもとに裁量労働制で働く人の労働時間が一般労働者より短いと答弁したとして、データの撤回を求めた。首相は「精査をしている中でデータ自体を撤回することは適切ではない。しっかりと精査することが大切だ」と拒否した。

 希望の党の玉木雄一郎代表は法案の提出は見送るべきだと迫った。首相は「法案は働く人たちの目線に立っている。厚労相のもとで法案を準備している」と述べた。ただ厚労省のデータの精査が終わる前に法案を提出することに関しては「まだ党に(法案を)諮っていない段階で確定的なことを申し上げられない」と述べるにとどめた。

 自民党は27日、厚生労働部会を開き、働き方改革関連法案への対応などを協議する。厚労省が不適切なデータが見つかった経緯について説明する予定だ。

(衆院予算委の詳報を電子版に▼経済・政治→政治)

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