朝鮮総連中央本部に発砲 男2人逮捕
23日午前4時前、東京・千代田区にある朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会の中央本部の前に右翼団体の関係者と見られる2人組の男が車で乗りつけ、拳銃の弾を数発撃ち込みました。警戒に当たっていた警察官が建造物損壊の疑いで男2人を逮捕し、詳しい状況を調べています。
捜査関係者によりますと、23日午前4時前、東京・千代田区にある朝鮮総連の中央本部の前に2人組の男が車で乗りつけ、門の扉に向けて拳銃数発を撃ち込んだということです。弾は門の扉に当たりましたが、けが人はいないということです。(略)
この事件は、在日コリアンを標的とした明白なヘイトクライムである。しかもこの犯罪の実行犯の一人が、5年前には在日の集住地域である大阪・鶴橋で自分の娘(当時中学生)に「鶴橋大虐殺を実行しますよ!」と叫ばせていた極右活動家であることを考えると、この社会がヘイト暴力のピラミッドを着実に登りつつあることに戦慄を覚えざるを得ない。
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そして、この銃撃事件そのものより恐ろしいのは、朝鮮総連に対してならこのような犯罪行為でも許されるかのような「空気」や、事態の深刻さをまったく理解していない無関心さがこの社会に蔓延していることだ。
総連なら銃で攻撃しても許されるのか
(略)
朝鮮総連が事態を深刻に受け止めているのは、日本政府が北朝鮮の脅威を強調し、社会的排外主義が強まる中、朝鮮総連は攻撃してもいいという雰囲気が感じられるからだ。今回の事件を報道した記事には「気持ちは分かる」や「自作自演ではないか」などの書き込みが少なくない。南副議長は「今回の事件の背景には、日本政府の朝鮮総連に対する敵視政策が存在する」と述べた。
そんな人間のクズどもが大手を振ってまかり通ってしまうのは、重大なヘイトクライムに対して政府が非難声明も出さず、マスコミが糾弾することもない、日本社会の根深い差別体質のせいである。関東大震災時の朝鮮人虐殺や朝鮮人強制連行・強制労働、軍用性奴隷(いわゆる「従軍慰安婦」)制度など、数々の非人道的犯罪行為への反省を怠ってきた結果が、こうした差別排外主義につながっている。
このままでは、この国はまたかつてのような破滅的過ちを繰り返すことになる。
[1] 冨増四季 『ヘイト暴力のピラミッドに照らした分析』 京都事件から見えるもの―被害者代理人弁護士の視点から― 2014/1/20
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