経営学の視点を株式投資へ(続)
先日、イラストメインの簡単な経営学の本を読み、それを株式投資に活かす考え方をまとめました。
【前回記事】
今回も前回同様に経営学の視点を株式投資に活かせると考えるポイントを記します。
それは経営学者コトラーの『競争地位別戦略』と呼ばれる考え方です。
私はこの考え方が株式投資の銘柄選別の際に、「見込違いだった」と、当初の見込みと実際の企業のギャップ生んでしまうことを避ける術だと考えます。
ぜひとも気楽にご覧ください。
企業を4種類に分ける
経営学者コトラーは企業によって取るべき戦略が異なると考え、4種類に分けました。
それが競争地位別戦略です。
4種類とは以下のとおり。
シェアNo.1の「リーダー」
トップを狙うNo.2「チャレンジャー」
No.3以下でトップを狙わない「フォロワー」
特定の市場で地位を築く「ニッチャー」
もう少し詳しく。
「リーダー」に分類される企業は、潤沢な経営資源があります。そのため経営資源の質も高いNo.1です。
「チャレンジャー」は、経営資源の量は「リーダー」に劣ります。しかし、規模はそれなりに大きいトップを狙う企業です。
「フォロワー」は、経営資源の質も量も劣り、そもそもトップを狙わない企業です。
「ニッチャー」は、経営資源の質は高いけど、ニッチな市場で活躍する中堅以下の企業です。
株式投資に当てはめてみる
さて、上記の4分類の簡単な説明を見るだけでも、投資家として頭の中にそれぞれの企業イメージがなんとなく浮かぶと思います。
自動車メーカーであれば「リーダー」はトヨタでしょうし、他の業界でも「リーダー」や「チャレンジャー」は調べればすぐにわかると思います。
「フォロワー」はその他多数ぐらいの位置付けでしょうか。一社一社あげればキリがないかもしれません。
「ニッチャー」はすぐには思い浮かばないかもしれませんが、意識して調べれば独特なポジションなので見つけ出すことができるでしょう。
投資で考えた場合、皆様はどの分類の企業に投資をしたいでしょうか。
それぞれの投資方針があるので、どれを選ぶかは様々だと思いますが、この分類と自身の投資方針を照らし合わせると「見込違いだった」と失敗することが減ると思います。
例えば、株価の振れ幅が大きいことをリスクと言いますが、大きな成長期にある企業はリスクが大きいです。株価のリスクよりも、安定的な成長と十分な配当や優待を望むのであれば「リーダー」に分類される企業に投資をしたいです。
米国企業では「配当貴族指数」という連続増配をする企業群で構成された指数があります。構成されている銘柄はP&Gをはじめとした業界でトップシェアの企業が多いです。大きな株価のリターンがありませんが、その潤沢な経営資源と質により安定的成長することができ、株主のために配当金を増やし続けてくれます。
個人的な考えですが、「フォロワー」は投資対象として魅力がありません。
無難な経営かもしれませんが、その業界全体(または所属する国内)の成長に左右される企業といえ、個別企業に投資する意味がないといえます。
業界の成長が弱まれば、真っ先に存続が危ぶまれるでしょう。
私は「ニッチャー」な企業への投資にチャレンジしたいです。
多くの企業が参入する分野は競争率も高く、企業が勝ち取る利益も多くのライバルと分配しなければなりません。
対して、大企業も中々参入できないような、マニアックな分野で活躍する企業であれば商品・サービス価格の優位性が高く、経営体力を削る競争も少ない利点もあります。
特別な技術や資源を持ち、大幅成長やテーマ性に注目されることで株価の上昇幅も大きくなる可能性があります。
しかし、規模が小さい企業である場合が多く、大企業ほどの潤沢な経営資源はありません。
なので、仮にニッチだと考えた分野の参入障壁が低くなった場合は非常にネガティブな状況に陥ります。
その点は投資家としても見極めが必要だという意味で、少し難しい投資になるかもしれませんね。
この4分類はシェアが明確ではないIT企業には有効ではない可能性もあります。
ご自身がどの分類に投資をしているのか、ぜひ改めてチェックしてみてください。
ご覧頂きありがとうございました。
【参考図書】