1月に突如解散を発表し、ファンに大きな衝撃を与えたアイドルネッサンス。ラストライブのチケットは早々にソールドアウトし、会場には多くのファンが駆け付けた。またライブの様子はSHOWROOMで生中継され、最終的な視聴者数は2万5000人を超えた。
開演直前、アイドルネッサンスが円陣を組みステージへと向かう様子が会場のモニターに映し出されると、場内は割れんばかりの歓声に包まれる。それぞれ異なる白い歴代衣装を身にまとった8人は、サンボマスター「ミラクルをキミとおこしたいんです」で勢いよくラストライブの幕を開けた。シングルリリースされ、アイドルネッサンスの夏のテーマ曲としてファンにはおなじみの大江千里「夏の決心」を歌い終えた8人は元気いっぱいに挨拶。その後、宮本茉凜は「夏の決心」リリース時の衣装、百岡古宵は「ベステンダンク」のミュージックビデオで着用している衣装、石野理子は「太陽と心臓」を初披露した頃の衣装、南端まいなはデビュー曲「17才」をリリースした頃の衣装、比嘉奈菜子は8人体制がお披露目された「君の知らない物語」のリリース時の衣装、新井乃亜は2016年11月の東京・Zepp DiverCity TOKYOワンマンで披露された衣装、野本ゆめかは「Funny Bunny」リリース時の衣装、原田珠々華は「YOU」のミュージックビデオで着用した衣装であることを明かした。
オリジナル曲「Blue Love Letter」でパフォーマンスを再開したアイドルネッサンスは、最後のライブであることを噛みしめるようにしながら次々と楽曲を届けていく。この日のセットリストはファンからのリクエストが反映されており、lyrical schoolとのコラボで話題を集め、1月に行われたライブで初めてアイドルネッサンスのみのバージョンが披露されたBase Ball Bear feat.RHYMESTER「The Cut」や、シンガロングで会場が満たされた岡村靖幸「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」など、“名曲ルネッサンス”で生まれたカバー曲がパフォーマンスされた。
最新のセーラー服衣装に着替えたアイドルネッサンスは、オリジナル曲「交感ノート」でライブ後半戦へ。4年間の活動で磨き上げた美しいコーラスワークで魅せる「若者のすべて」、セリフパートで原田が「これからもずっと大好きです!」とファンに思いを告げた「愛はおしゃれじゃない」、アイドルネッサンスのキュートな部分を見せる「金曜日のおはよう」に加え、ファン人気の高い「シルエット」や「Funny Bunny」といったロックチューンがダイナミックに披露されると、会場は大いに沸いた。
これまでアイドルネッサンスが“名曲ルネッサンス”でカバーしてきた楽曲は計74曲に及んだ。そしてこの“名曲ルネッサンス”を締めくくるべく、彼女たちがこの日のために用意した75曲目は、デビュー曲の提供者であり、オリジナル曲も手がけるなど縁の深いBase Ball Bearの「changes」。この日を境に新たな道へと進む8人の背中を押す、変わっていくことを肯定するこのナンバーを、比嘉の振り付けで力強く届けた。
「Music Lovers」のあと石野がパフォーマンス中に負傷し退場してしまうハプニングもあったが、直後の「YOU」の途中で無事に復帰。続く「君の知らない物語」ではエモーショナルな歌声でオーディエンスを圧倒した。そして原田の歌い出しを観客が息を呑んで見守った「前髪」が終わると、8人は今の心境をそれぞれ口にする。宮本はファンへの感謝の気持ちを伝えたあと、メンバーに向かって「みんなとはおばあちゃんになっても一緒にいたいと思っています……好き!」と告白。原田は「アイドルネッサンスを観たとき、手を伸ばしたら届きそうで、でも届かない、星のようだと思った」「本当にアイドルになれてよかったです」と瞳を潤ませる。百岡は「私の人生の中に、みんなの人生の中にアイドルネッサンスがいることが本当にうれしい。つらくなったらお空を見上げてください。お空はつながっています!」と会場にただよう悲しいムードを吹き飛ばした。
南端は「皆さんが『自分らしくいていいよ』って言ってくださって、4年間、自分らしくを貫いて続けてこれました」と語りながら涙。「アイドルネッサンスが一番私らしくいられる場所。アイドルネッサンスにいる自分が好きでした。皆さんとアイドルネッサンスが大好き」と振り絞るように語り、南端のキラーフレーズ「待ってるにゃあ!」で挨拶を締めくくった。比嘉は自身の夢だった沖縄での凱旋ライブが叶わなかったことに悔しさをにじませ、メンバーの顔を見ながら「みんなで沖縄行こうね。そのときは海に向かって歌いたい曲がある。セットリストは私が考えるから」と呼びかけると、最後は「いつまでもみんなの太陽でい“たいよう”!」と得意のダジャレを披露した。
幼稚園に通っていた頃からトップアイドルを目指していたという野本は、やっとの思いで勝ち取ったアイドルネッサンスという場がなくなってしまうと知ったときは立ち直れなかったという。彼女はそんな思いを打ち明けながら「理想のアイドル像とはかけ離れている自分がイヤでアイドルが嫌いになってしまいそうなときもありました。そんなときに皆さんは楽しむことや自分でいることの大切さを教えてくれました。このことをいつまでも忘れずに生きていきます。ゆめはファンの皆さんが大好きです!」と力強く語った。ここまで気丈に振舞ってきた新井も、自身の番が来ると思わず目から涙をあふれさせてしまう。新井は声をつまらせながら「この9人が出会えたのは奇跡です。本当によかった。みんなと一緒にここまでこれてうれしい。4年間本当にありがとう」と、2015年9月に卒業した橋本佳奈を含むメンバー全員に感謝の思いを伝えた。
最後にマイクを手に取った石野は「アイドルネッサンスのみんなと、もう二度と戻ってこない時間……青春をアイドルネッサンスにすべて捧げました。人生を捧げたからこそ、みんなで悩むこともありました。でもここまでやってきて気付いたのは、青春は作るものではなくて気付かないうちに、自然にできていくものだということ。新しい道に進もうとしている今も青春です。私たちが得ることができなかったものはもちろんたくさんありますけれども、人生を分かち合った大切な仲間、スタッフさん、皆さんからはたくさんの愛をいただいたと心から思っています。アイドルネッサンスは解散しますけど、私たちが生み出した曲たちは時を越えて長い間たくさんの人たちに愛されていってほしいなと思っています。個人的にはアイドルネッサンスでしかできなかったこともたくさんさせていただいて、感謝しています。私はアイドルネッサンスのみんな、ファンの皆さん、アイドルネッサンスが歌ってきた音楽が大好きでした。これまで温かい応援をしてくださり、ありがとうございました」と8人の挨拶を締めた。
本編ラストを飾ったのはデビュー曲の「17才」。全員がうしろを向いているうちにフロアは白いサイリウムで埋め尽くされ、その光景を見たメンバーは驚きの表情を見せる。全力のパフォーマンスを届けた8人は清々しい表情でステージを下りた。アンコールを受けて再び登場したアイドルネッサンスは「17才」をもう一度披露することを予告。最後はファンも一緒に「17才」を合唱し、全25曲の演目を終えたアイドルネッサンスは8人で手をつないで深くお辞儀をした。盛大な拍手に包まれながら、アイドルネッサンスの活動に幕が降ろされた。
※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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