食間の酸性フルーツティーは歯に悪い=英研究
フルーツティーやフレーバーウォーターなど酸性の飲み物を食事と食事の間に飲むと、歯が消耗してエナメル質が損傷することがあると、英研究チームが論文を発表した。
英キングス・コレッジ・ロンドンの研究チームは、食間に酸性の飲み物を飲んだり、口の中で味わい過ぎると、歯の酸蝕症のリスクが高まるという研究成果を、英国歯科ジャーナルに発表した。
重度の酸蝕症で歯が摩耗した300人の食生活を調べた研究によると、間食の回数が増えると共に、問題が悪化することが分かった。
スカッシュやコーディアルなどの果汁飲料、フルーツティー、ダイエット飲料、加糖飲料、フレーバーウォーターは全て酸性で、歯を摩耗させると研究者たちはいう。
こうした飲み物を絶えずすすったり、飲み込む前に口の中に含んでいると、歯の酸蝕症のリスクが高まるという。
論文の筆頭著者で、キングス・コレッジ・ロンドン歯科研究所のシアーシャ・オトゥール博士は、「こうした飲み物を5分以上かけて飲んだり、口の中で食べ物を転がしたり、果物をそのまま食べるのではなく数分かけてちびちびかじったりすると、間違いなく歯に害を与える」と話す。
「昼食のデザートとしてリンゴを食べるなら、夜はもう酸性のものを食べない方がいい」
「夜にワインを一杯飲みたいなら、朝はフルーツティーを飲まない方がいい。大事なのは食生活のバランスだ」
研究者たちは、レモンスライスの入った水やフルーツ味の熱いお茶などの飲み物を1日に2度、食間に飲む人は、飲まない人に比べて中程度か重度の酸蝕症を患う可能性は11倍以上だと発見した。
しかし、酸性の飲み物を食事と一緒に飲んだ場合、リスクは半減する。
砂糖の入っていない清涼飲料が、歯を侵食する危険は、砂糖を含む清涼飲料と同じくらいだという。酢やピクルス食品も酸蝕症を引き起こすという。
最新の調査で、英国の青少年の大半は酸蝕症が原因で、歯の表面が欠損していることが分かった。これは、高齢者にみられる歯の損傷の主な原因だという。
英国歯科医師会保健科学委員会のラス・ラドワ委員長は、「食事と一緒に酸性飲料を飲むと、悪影響を抑えられる。食べ物を噛むことで唾液の分泌が増えるからだ。唾液はアルカリ性で、酸性飲食物を薄める働きをする」と話す。
「飲み物を冷やすほうがいい。そして、時間をかけてちびちびとではなく、一度に飲むこと。清涼飲料を飲むのは、食事中に限定するといい」
またストローを使えば、飲み物に含まれる酸性分が歯に触れるのを防げるという。
ラドワ氏は、酸性飲食物摂取後に水や、牛乳などの栄養のある飲み物や、チーズなど食べ物で中和させるのも良いとも説明する。
酸性飲料とは
- アルコール
- フルーツティー
- フレーバーウォーター(果汁や香りを加えた水)
- スカッシュ
- ダイエット飲料(砂糖の代わりに人工甘味料を使った、カロリー少なめの飲み物)
- 加糖飲料
酸性でない飲み物は
- 水
- 茶
- コーヒー
- 牛乳
- 炭酸水
歯の酸蝕症とは
- 歯の硬組織の進行性欠損。バクテリアの働きを介さない化学過程による
- 飲食物の砂糖成分よりも、酸性分の影響のほうが重大(砂糖のほか、バクテリアも酸蝕症ではなく、虫歯を引き起こす)
- 食生活や生活習慣、環境、場合によっては薬もリスクを高めることがある
- フッ素入り歯磨き粉、あるいは洗口液を使い、食生活を改善することで、酸蝕症のリスクを下げられる
(出典・英歯科医師会)
(英語記事 Sipping acidic fruit teas can wear away teeth, says study)