登山家、チーム抜け出しK2単独登頂目指す 安否に懸念
世界第2位の高峰K2で初の冬季登頂を目指すポーランドの登山チームによると、メンバーの1人、デニス・ウルブコ氏(44)がチームを抜け出し、単独での頂上アタックに臨んでいる。
登山チームの広報を担当するミカル・レクシンスキ氏はBBCに対し、ロシアとポーランドの二重国籍を持つウルブコ氏が24日に、パキスタンと中国の国境にあるベースキャンプを離れたと述べた。ウルブコ氏とほかのチームメンバーとの間で口論が起きていたという。
この時期に単独登頂を目指すのは「完全に自殺的」との指摘も出ている。
レクシンスキ氏は、冬季登頂の認定を確かなものするため、ウルブコ氏は今月中に登頂しようとしたのではないかと述べた。同氏は、ウルブコ氏が自分自身やチームを危険に陥れるようなことはせずに、必要とあらば引き返すだろうと信じていると語った。今後48時間が死活的に重要だという。
なぜ対立が起きたのか
ウルブコ氏は自分の計画について話すのを拒否し、通信機器を持たずに出発したという。
チームのシェルパはAFP通信に対し、「2月中に頂上アタックするようチームを説得しようとしていた」と語った。「チームのリーダーと激しい議論になり、何も言わずに頂上に向かった」。
単独登頂はどのくらい危険なのか
プロの登山家たちは、ウルブコ氏の決断に驚愕している。
パキスタンの登山家、ミルザ・アリ・バイグ氏は、「冬にK2登頂を目指すのは完全に自殺的だ」と述べた。
ウルブコの登山仲間、カリム・シャー氏もバイグ氏に同調し、ウルブコ氏の行動は「非常にリスキーだ」と語った。シャー氏は、「彼(ウルブコ氏)は登山家の間で『ヒマラヤ専門家』として知られている。(中略)しかし、彼の判断は正しくないし、彼のような立場にある人物にふさわしくないものだ」と述べた。
ウルブコ氏は、世界に14ある標高8000メートル以上の山すべてに登頂しており、登山家として高い評価を受けている。先月には、フランス人登山家のエリザベート・レボル氏を救助し、ニュースになった。
(英語記事 K2: Fears for climber Denis Urubko after expedition row)