公益社団法人全国出版協会
INFORMATION
- 2017年のコミック市場規模発表
紙+電子で2.8%減の4,330億円、紙は初の二桁減、電子は17.2%増
- 出版科学研究所は2018年2月26日、2017年(1~12月期累計)のコミック市場の統計を発表しました。紙と電子を合わせたコミック市場規模(推定販売金額)は前年比2.8%減の4,330億円となりました。
-
- ■コミックス市場は電子が紙の売り上げを上回る
- 紙と電子を合算したコミックス(単行本)の市場規模は前年比0.9%減の3,377億円とわずかに減少しました。紙のコミックスが同14.4%減の1,666億円と二桁の落ち込みをみせた一方で、電子は同17.2%増の1,711億円と成長を続け、比率は紙49.3対電子50.7と、紙のコミックスの売り上げを電子コミックスが初めて上回りました。
-
- ■紙市場は12.8%減の2,583億円 コミックスが14.4%減と過去最大の落ち込み
- 2017年の紙のコミック全体(コミックス+コミック誌)の推定販売金額は、前年比12.8%減の2,583 億円と16年連続のマイナスで、統計開始以来初の二桁減となりました。内訳はコミックス(単行本)が同14.4%減の1,666億円、コミック誌が同9.7%減の917億円。
- コミックスは過去最大の落ち込みで、これまで市場を支えてきたビッグタイトルの完結
や部数規模の縮小、またこれに替わる新たなヒット作が出ていないこと、読者の紙から電子へのシフトによって、大幅な減少となりました。
- コミック誌は、占有率の高い週刊少年誌が1割以上落ち込んだことが全体に影響しました。少女向けの『flowers』(小学館)が「ポーの一族」の新連載をスタートし好調だったほかは、各誌落ち込みが続いています。


- ■電子は17.2%増の1,747億円 電子コミックスが牽引
- 電子コミック市場(電子コミックス+電子コミック誌)の推定販売金額は前年比17.2%(256億円)増の1,747億円。内訳は電子コミックスが同17.2%増の1,711億円、電子コミック誌は同16.1%増の36億円となりました。
- 電子コミックスは、無料や値引きなどのキャンペーンによって、完結した過去作品を中心に売れ行きが伸びています。また、エロ・グロ要素の強い青年向けの作品、BLやTLジャンルの作品など、もともと電子で占有の高いジャンルも成長を続けています。しかし、無料で読めるコミックスの増加、過去作品の電子版がそろそろ出尽くしたこと、さらに違法海賊版サイトの影響も少なからずあり、電子コミックスは16年ほどの成長には至りませんでした。
- 電子コミック誌は堅調に伸びていますが母数が小さく、紙のコミック誌の5%にも満たないため、紙の落ち込みを補うほどには至っておりません。
-
- ※便宜上、作品単体として独立して配信されている電子コミックを「電子コミックス」と呼称している。
※電子出版市場規模は、読者が支払った金額を推計したもの。広告収入は含まない。雑誌には定額制読み放題サービスを含む。
- なお、本レポートの詳細は、『出版月報』2018年2月号(2月26日発行、頒価2,160円)に掲載しています。