中国、習主席の任期制限を撤廃へ 2023年以降も
中国共産党中央委員会は25日、国家主席の任期を「2期10年まで」とする憲法の条文を削除する改正案を、国営新華社通信を通じて発表した。この改正によって、習近平氏は任期が切れる2023年以降も、国家主席の座にとどまることができるようになる。
新華社は25日、「中国共産党中央委員会は、中華人民共和国の国家主席と副主席は『連続2期以上はその職に就かない』という文言を憲法から削除するよう提案した」と伝えた。
これ以上の詳細は伝えていないが、提案の全容は後日明らかにするという。
中央委員会の幹部は26日、北京で会合を開く見通し。
憲法改正案は3月5日に始まる全国人民代表大会(全人代)での承認を必要とするが、これは儀礼的な手続きに過ぎないとみられている。
習主席は自らの任期を延長するだろうと、これまでも広く予想されていた。
中国共産党は昨年10月の党大会で、「習氏思想」を党規約に盛り込み、毛沢東以来の権威として習主席の地位を確立したほか、慣例の後継者指名をあえて行わなかった。
25日の発表は、多くの中国人が旧正月を終えて26日に職場に戻るタイミングに合わせてのものとみられる。さらに同日夜の平昌冬季五輪閉会式では、次回開催地の北京がクロースアップされ、習主席もビデオで短くあいさつした。
いつまで続けるのか
1953年生まれの習氏は、中国共産党高級幹部の息子で、1974年に入党。2013年に国家主席の座に上り詰めた。これまで経済改革や新規貿易ルート開拓、貧困撲滅、強硬な汚職摘発に取り組んできたほか、人権を取り締まり、愛国主義を奨励してきた。
BBCワールドサービスのシリア・ハットン・アジア太平洋編集長は、汚職摘発キャンペーンの追及によって、習氏は自分の政治的ライバルを次々に追い落とすことに成功したと指摘する。
国家主席の任期を2期10年に制限したのは1990年代から。毛沢東時代とその後の政治混乱の再発を防ぎ、権力の集中を避けるため、実験を握っていた鄧小平氏が主席の3選を禁止した。
続いた江沢民元主席と胡錦濤前主席は、それぞれ任期10年で交代した。しかし次に就任した習氏は、決まりごとの変更に積極的な姿勢を示してきた。
習氏がいつまで主席を務めることになるかは不明だが、国営「環球時報」は社説で、「国家主席の任期が終身になる」というわけではないと書いた。
同紙は、中国には2020年から2035年にかけて「安定し強力で一貫した指導体制」が必要だという、中国共産党関係者のコメントを引用している。
しかし、習氏の権力を抑制するものが今まで以上になくなる見通しに、懸念を抱く人もいる。林和立(ウィリー・ラム)香港中文大学客員教授はAFP通信に対して、「終身の皇帝になるのだろう」とコメントした。
(英語記事 China proposes to let Xi Jinping extend presidency beyond 2023)