「銃のいかなる禁止も支持しない」 全米ライフル協会

ホワイトハウスの前で、「撃たないで」と手に書き抗議する若者たち Image copyright EPA
Image caption ホワイトハウスの前で、「撃たないで」と手に書き抗議する若者たち

米フロリダ州の高校で17人が死亡した銃乱射事件を受け、銃規制をめぐる議論が米国内で高まるなか、全米ライフル協会(NRA)の広報担当者は25日、「銃のいかなる禁止も支持しない」と述べた。

今月14日の高校乱射事件を受け、ドナルド・トランプ米大統は銃規制の強化策を複数提案したが、NRA幹部の発言はトランプ氏の提案に反対する姿勢を示しているようにみえる。2016年の大統領選挙でNRAはトランプ氏を支持していた。

事件以降、銃規制強化を訴える人たちはNRAを強く非難している。

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乱射事件後にNRA会長が非難した7つのこと

NRAの広報担当者、デイナ・ラーシュ氏は米ABCテレビとのインタビューで、フロリダ州などの乱射事件はNRAが引き起こしたものではないと述べ、地元警察の失態と政治家の怠慢が原因だという考えを示唆した。

フロリダ州当局は、事件が起きたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校には武器を携帯した学校専従の警官がいたものの、銃乱射が起きている建物の中に入り犯行を阻止しようとしなかったと発表している。

一方、同高校の生徒たちは25日、事件以来初めて高校に登校した。学校によると、保護者が付き添うなかでの登校は「環境に慣れる」ことが目的だという。さまざな支援サービスが校内で準備された。28日には、通常の授業を再開する予定。

25日午後、銃規制を訴える活動をするエマ・ゴンザレスさん(写真左)など高校の生徒たちが登校した Image copyright Getty Images
Image caption 25日午後、銃規制を訴える活動をするエマ・ゴンザレスさん(写真左)など高校の生徒たちが登校した

トランプ大統領の銃規制提案

トランプ大統領は先週、教師が武装すればが武装すればフロリダ州の事件のようなことは防げると述べた。トランプ氏は、他人には見えない形で武器を携帯する教師がいれば、攻撃は「たちまち」終わらせられると語った。

さらにトランプ大統領は、一部の銃の購入に関する年齢制限を現在の18歳から21歳に引き上げることを提案した。14日の事件のニコラス・クルーズ容疑者は19歳だった。

トランプ氏はこのほか、半自動小銃を自動小銃のように改造するバンプストックなどの部品の禁止や銃購入者の身元確認の改善を提案した。

フロリダ州のリック・スコット州知事は23日、州内で銃器を購入できる年齢制限を21歳以上に引き上げ、精神病歴のある人物による購入を「実質的に不可能」にするよう、州議会に呼びかけた。

スコット知事はこれまでNRAから、自分たちを応援する政治家として高く評価されていた。

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米NRAの政治力 乱射事件が相次いでも規制進まず

米企業のNRAボイコット広がる

乱射事件のあったフロリダ州のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちの呼びかけを機に、複数の米企業がNRAとの関係を中止している。

複数のレンタル自動車会社を持つエンタープライズ・ホールディングスやエイビス・バジェット・グループは、NRA会員への割引特典を終了すると発表した。

同様に、生命保険会社メット・ライフや自宅警備システム会社シンプリセイフ、引越しサービス会社アライド・バン・ラインズ、ノースアメリカン・バン・ラインズ、インターネットセキュリティ会社シマンテックなどが、NRA会員への割引特典を中止すると発表した。

米航空会社のデルタとユナイテッドも24日、NRA年次総会に参加する会員への割引特典を中止すると発表。自分たちの企業情報をNRA公式サイトから削除するよう求めた。

NRAの会員数は公称500万人。

学生や保護者は何を求めている?

先週22日にトランプ大統領は、生徒や教師、家族約40人をホワイトハウスの大食堂に招き入れ、話を聞いた。

ホワイトハウスの外では、ワシントン近郊に住む何百人もの10代の若者たちがデモ集会を行っていた。一部の参加者は、教師を武装させる案を支持すると語った。

銃規制を訴えるデモ参加者たち(25日、米フロリダ州ポンパノビーチ) Image copyright Getty Images
Image caption 銃規制を訴えるデモ参加者たち(25日、米フロリダ州ポンパノビーチ)

14日の事件で娘のメドゥさんを失ったアンドリュー・ポラックさんは、「我々は国として、我々の子供たちの期待を裏切った」と語った。フロリダ州での犠牲者数は、米公立学校で起きた乱射事件では過去2番目に多い。

ポラックさんは、「学校での乱射事件が1回でも起きたなら、問題を解決しておくべきだった」と述べ、「だからすごく腹が立っている。私は娘にもう二度と会えない」と語った。

2012年の米コネティカット州のサンディフック小学校で起きた乱射事件で、息子のダニエルさんを失ったマイク・バーデンさんは、銃を増やしても解決策にはならないと話した。

バーデンさんは、「殺傷能力のあるものを扱うという恐ろしい責任を負う以前に、学校の教師たちはただでさえ抱えきれないほどの責任を負っている」と語った。

多くの若者が支持する一部の武器禁止案は、国民の「武器を保有し携行する権利」を保障する憲法修正第2条の支持者の主張と真っ向から対立している。

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【フロリダ高校乱射】 なぜ戦争の武器が簡単に買える 生徒が大統領に

(英語記事 Florida school shooting: NRA 'doesn't back any ban' / Firms abandon NRA amid consumer boycott

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