ドローンの機体を調べたところ、飛行経路はGPS誘導され、最大100キロメートルもの航続距離をもっていた。これは戦艦大和の主砲の約2.4倍以上もの射程距離であり、伊東温泉から東京駅の距離に匹敵する。
だがそれ以上に注目すべきは、これらの機体がありふれた民生品で構成されたハンドメイドだったことだ。動力は草刈り機のエンジン、胴体は木とプラスチック、爆弾は手榴弾(ロシア側はウクライナ製と主張)、電子機器は市販品であった。英エコノミスト誌等の見積もりによれば、これら機体の価格は数千ドル(約数十万円)でしかなかった。
当初、ロシア軍の複数の戦闘機がダメージを負ったとの報道も出たが、ロシア側は被害は一切なかったと主張している。ただし、12月31日にも同空軍基地はドローン攻撃を受け、少なくとも2名のロシア軍人が死亡した。この他にも定期的な攻撃が行われ、何らかの損害が出ている可能性もある。
65年ぶりに航空機攻撃にさらされる大国
この事件は、英エコノミスト誌が「自家製ドローンは既存の軍隊の脅威」として取り上げたほか、他の各種報道も大きく取り上げ、さまざまな専門家が論評している。
では、なぜ、被害もよく分からない攻撃が大きな論議を呼んでいるのだろうか。それは、これまでは米中ロ等の大国にのみ許された「大国の軍隊への航空爆撃」という手段が、小規模な武装勢力によって安価かつ容易に可能になったことが、いよいよ証明されつつあるからである。